DONT TRUST OVER FIFTEEN -4ページ目

ショートノベルvol.12「真実」後編2

あなた、スクラップになるのよ。つまり殺されるのよ。


私がケイイチにそのことを話しても彼は

力なく微笑むだけだった。


「いつか時期が来たら僕は消えるって言ったろう。

それがたまたま早く来た。それだけだよ」


竜一の容態は危惧していたほど悪くなく、

3週間ほどの入院で済むという話だった。

むしろケイイチが殴った中年の小太りの男の方が

重体で、私は少し責任を感じた。

あのときケイイチを止めるべき保護者は私のはずだった。

しかし私はそれをしなかった。むしろ心の中で彼の行動に

拍手した。そうだ。殴れ。殴って殴って殴って殴れ。

実際危害を加えたのはケイイチだが、私にもその責任の

一端があるわけで、なんというかまあ微妙な心境である。


「そうやって無責任に自己完結的なこと言わないで。

あのことはそう―――私の責任でもあるんだから」


「どうして。あの《人》に危害を加えたのは僕だよ。

君の責任じゃない。全てに責任を負うのは僕のはずだ」


「でもあなたは竜一のために怒ってくれた」


私は心の奥に溜めていたものを吐き出すように言った。


「自分のためでもなく、まったく後先のこと考えずに―――

ホント馬鹿としか言いようの無い行動だったのかもしれないけど―――

あのときのあなたは、人間らしかった」


「どうも君は木偶人形を信頼しすぎのようだ」


ケイイチは寂しげに答えを返す。


「僕たちは所詮魂のないオモチャ。どこにも存在してはいけないんだよ。

プログラムに無抵抗に従って行動する不変の非自然物。

そこにはアイデンティティの欠片も無い。忘れるんだ。

そもそも僕は、どこにも存在してはいない」


私は彼に救いとなる言葉を探した。どこかに彼に、アンドロイドという

存在だろうと希望を彼方に見つけてこれからも生きていく活力を見出させる、

そんな魔法の言葉。それはどこかに必ずあるはずだと思った。

しかしその言葉を模索しているうち、私と竜一、そしてケイイチの物語は

確実にエンディングへのフラグを立てていた。結局私は何も出来ない。

こんなに彼のことを大切に思っているのに、彼の危機を救ってやれない。


「そうだ、忘れるんだ。僕との思い出なんて、最初から無かったものだと

思い込んだらいい。幸せな時間があったからこそ、別れが辛くなるんだ。

そもそも僕との思い出なんて、ハハハ。ジョークだよ。機械相手に

思い出も何もないよね。でもね。それでも一つ忘れないで

欲しいのだけれど――――――――――

君と竜一君と一緒に時間を過ごせて、僕は凄く幸せだった」


「ひゃひゃひゃ!面白い寸劇ですねえ。相沢先生。あなた

作家より女優になった方が良いんじゃないんですかあ?

ブルーリボン賞ものですよ。まあ個人的にはこんな

クサイ芝居は好みじゃ無いですがねえ」


私は装甲車のような重々しい車に寄りかかりながら見ていて不快な

笑みを浮かべる能澄を睨んだ。能澄のほかには3人。

見た目一発カタギではない風貌の屈強な男達が車の中に控えている。

与えられた5分間の別れの短すぎる時があっという間に経過し、

私達の最後のふれあいの機会は最終章を迎えた。


男達がケイイチを取り押さえ、罪人のごとき乱暴に車に乗せる。

それに対してケイイチは何の抵抗もしようとはしなかった。

どこかその後ろ姿は寂しげで、私の心に巨大な槍が刺さったように

息苦しくさせる。行ってしまう。ケイイチが行ってしまう。


「待って!」


喉の奥につかえていた言葉を発する。しかし、その後の言葉は

出てこなかった。それはもうどこかで気づいているからだ。

もうこの状況はどう転んでもいい方向へは向かわないと。


「その……ありがとう…………」


それに対してもケイイチの反応は変わらず、やっぱり寂しく微笑むだけだった。

ショートノベルvol.11「真実」後編1

ケイイチは運転手を殴り続けた。


その行動には合点がいく。私だって殴打したい。


全ての憎しみをぶつけるように、殴り続ける様を私は傍観していた。

本来ならここは力ずくでも止めに入るべきだろう。

しかし私は何もしなかった。むしろ一緒になって殴りたい。

なぜならコイツは私の息子を――――――――――――――


「……竜一………」


ぐったりとしたまま生気を失っている私の息子。

それを直視していれば間違いなく発狂しそうだった。


傍らではケイイチが泣いて謝る男の言葉には耳を貸さず、殴る。


男が必死の形相で許しを乞うてきた。かまわず顔面に一撃。

男の鼻が不自然にゆがんだ。それにもかまわずもう一撃。

サラリーマン風の男が仲裁に入った。眼もくれずローキック。


結局ケイイチが男への暴行をやめたのは体格の良い柔道部員風の

高校生3人が押さえつけたためだった。押さえつけられてもなお、

その眼に宿るのは憎しみの押さえ切れない激情。


誰が呼んでくれたのか、救急車のサイレンが近づいてきた。


救急車が必要なのはコイツも同じだろう―――――

私は竜一の手を握りながら気味悪く青紫に腫れぴくりとも

動かないこの騒動の原因に、視線を落とした。


「大変なことになっちゃいましたねえ。相沢先生。

良かれと思ってやったことですが、すいませんでした」


私が暗鬱な気分で病院の待合室に座っていると、

どこから聞きつけたのか能澄がひょこひょこやってきた。

本当に心配しているのか疑わしい。彼は顔に「心配」の

表情を貼り付けながら、いつもの気だるい口調で話しかける。


「それにしても――――K-1800の行動は不思議ですね。

本来アンドロイドは人間を傷つけられるようにはプログラム

されていません。まあ、少しの例外はありますが、

自己の破壊が行われていようとアンドロイドは何も抵抗

できないものなんです。それは自分でどうこうできるもの

では無論ありませんし、特に今回の件のように竜一君が

事故にあったのを見てその運転手に暴行したというのは、

前代未聞のことですよ。まるで感情を持っているようです。

アンドロイドも《進化》しているということでしょうか」


「傷心の私に向かって、最初に出す話題がそれ?」


私は不快感を露わにする。心臓の鼓動が早くなった。


「まあ、怒らないで聞いてくださいよ。大事な話なんです」


能澄は私が口を挟もうとするのを制し、続けた。


「K-1800ですが、研究所から処分命令が出ました。

つまりスクラップですよ。明日、伺いますから

それまで最後のあいさつでも済ませといてください」


能澄は意地悪く微笑んだ。

ショートノベルvol.10「真実」中編6

ケイイチの行動の不条理さはともかく、竜一に対して示すその

まるで機械とは思えない「愛情」を感じる行動は、

唯一私が彼を評価するところである。


休みの日には竜一が寂しがるといけないからと、

丸一日遊びに付き合っていたこともある。


「だって親子のふれあいは大切だろう?」


いやお前親子じゃねえだろという感想は愚問なので

言葉には出さず、私も一緒になって遊ぶ。


そのときばかりはケイイチが機械ということも忘れ

数ヶ月前に繰り返されていた日常に戻れた気がするのだ。


そう、そんな気がするだけ。


先日のスズメに対するケイイチの対応。

ああいった事象は改めてケイイチが人外のものであることに

気づかされる瞬間だ。そのたびに私は頭を抱え、

その場にうずくまりたくなる。やはりこの幸せは空虚なものなのか。


人と同じ容姿、行動が出来れば別に人かどうかは問題では無い気もする。

隣のいちいちゴミの分別をチェックするばあさんのように、人間でも

つばを吐きかけたくなるような迷惑な輩もいる。


つまりは私の人生における「登場人物A」のような存在には

血や肉をもって生きてもらわなくともオッケーなのだ。


来た当初、ケイイチは私のことを「ご主人様」と呼んでいた。

目的地に着くために最短距離を行こうとしたし、

高速道路で立体交差なのに「そこの交差点を右に曲がれば近いのに」

とトンチンカンなことを言った事もある。だが今はどうだろうか。


こうやって週末には律儀に竜一を公園に遊ばせにくるし、

自分も遊びを楽しんでいるようだ。もう支離滅裂な言葉を発しないし、

私のガーデニングを見て興味を示したりニュースで陰惨な事件が

報じられれば怪訝な顔つきになり「竜一も気をつけなよ」と

優しく頭に手を置く。


「まったく、科学の進歩は凄いわねと言ってしまえばそれまでだけど、

そういうところは私も存分に評価してるんだからおとなしくしててよね」


私はベンチに座りながら、竜一とキャッチボールをしているケイイチに

声をかける。はたから見れば微笑ましい親子の交流に見えているだろう。


「分かってるよ。時期がきたら僕は消える。だけどそれまでは

もう少しだけこの生活を続けていきたいんだよ」


「……」


「竜一のことは僕も大切に思っている。自分の存在よりもだ。

それは君だって同じことだろ」


そういってケイイチは「まあ、機械に言われても説得力ないか」

と寂しげに付け加えた。


「そんなの、当たり前じゃない」


ケイイチは私の答えを予想していたのか、何の反応もしなかった。


だがその手から竜一に向かって投げられたボールは、

竜一のいる位置とは見当違いの方向へ向かい、

遠くの方へ転がっていった。


「ああ~、ボケッとしないでよ。お父さん」


竜一はボールの転がっていった方向へ走る。


瞬間、私は叫び声を上げた。

いや、叫ぶことも出来なかった。


ボールの転がった先にはトラックが迫っていた。


空気が一気に凍結する。


竜一は無抵抗にトラックの衝撃をその小さな体に受けた。


竜一の体が人形のように飛ばされ、地面に墜落した。


遅れて聞こえるいまさらのブレーキ音。


顔面蒼白で降りてくる運転手。


私が絶叫したのとケイイチがその運転手を殴りつけたのは同時だった。





久しぶりのブログ

湿度が高いためグラウンドを二周走っただけで汗が吹き出る。


今日の午前中3時間は部活やってました。


僕は砲丸を投げていました。コーチについてくれたのは


東北チャンピオンの佐々木兄妹。


砲丸をまるでソフトボールの様に軽く投げていました。


さすが東北チャンプは言うことが違うというのが今日の結論。


練習終了時には自己ベストを1メートルも更新しました。


しかし帰ってきたら猛烈な筋肉痛と疲労で、

リポビタンDとH2Oと充実野菜生活をがぶ飲みしたら

具合が悪くなりました。


ファウスト賞応募締め切りまで後120日。


満足いく作品を書ききるために体調管理もしっかりと。

挫折禁止






ショートショートvol.4「電信柱」前編

文明から取り残されたような村。


年2回の祭りの時以外は村内を誰ともすれちがわ無いような、

祭りの後の軽い喪失感が停滞している空間。


僕が過ごしたのはそんな虚無の存在に支配された場所だった。


空に手を伸ばそうとしているかのように枝を伸ばす御紳樹。


それを中心として村は日本のすみっこに朧に存在していた。


村には中学校までしか無かった。高校は隣の県に行くことになる。


だからここには年寄りしかいないんだ。僕はそんな古ぼけた匂いが

大嫌いだった。臭くて臭くてたまらない。隣の県の有名高校を

受験した兄ちゃんの言葉を思い出す。


「だってさあお前信じられるか。ここ人より牛や豚の方が多いんだぜ。

想像してみろよ。毎日毎日牛の体調管理を趣味にして、

年採ってくだけの生活。このままじゃ確実に狂っちまうよ。

俺に言わせればここの人間はまともなヤツは

一人としていないね。いや、俺の彼女は別だけど」


兄ちゃんは一昨年の春、その彼女と一緒に車に乗って仲良く

ガードレールに豪快に激突して若い命を散らした。


飲酒運転だったそうだ。葬式の時に見た兄ちゃんの顔は、

人形のように白く、その白は容易に「死」を連想させた。


そして今年の夏、僕は兄ちゃんと同じ年になり、

今後の進路について悩んでいた。


その時だ、「彼女」に出会ったのは。


部活の帰り、文化遺産ものの藁葺き屋根の前、

電信柱の薄暗い電灯の陽だまりの中、


僕はそのとき初めて「彼女」に出会った。


祭りでも無いのに着物姿。肩まで伸びた艶やかな黒髪。


それと対照的に病的なまでに白い肌。


葬式の時の兄ちゃんを思い出した。


僕はいよいよ狂ったのだと思った。こんな幻覚を見るまでに。


その幻覚は突っ立ったままの僕に気づくと、


「はじめまして、いや久しぶりと言うべきかな?」


ここに至ってようやく僕は幻覚では無いことに気づいた。


そうだ、これは白昼夢なんだ。











ショートショートvol.3「未来決定図」

ご来館ありがとうございます。


初めての方ですか。ではまずご説明いたしますのでこちらに。


当館では日本国民全員の「取り扱い説明書」を閲覧できます。


もちろんあなたのものもありますよ…。ええと、少々お待ちを。


ありました。第二番倉庫のD-64879です。


しかしあなた…。ずいぶんお疲れのようですねえ。

なんだか死んだ魚みたいな目してますよ。いえ、慣れてますけど。


たいがいココに来る方は何か事情がある方ですから。

昔の親友の頼みで保証人になって借金背負わされたとか、

夫が自殺して代わりにアンドロイドがやってきたとか、

昔の恋人を忘れられず無言電話繰り返してたらストーカーで訴えられたとか、

漠然としたのだと夢が見つからないとか、愛に飢えてるとか、


この世の摂理に絶望し、生きる気力を見失ったってところでしょう?あなたも。


でもご安心ください。ココはそんな駄目人間のための救済機関なのですから。


もう電車を待ってる度に飛び込みたくなることもありませんよ。

深夜の公園でイチャついてるアベックに舌打ちすることもありませんよ。

娘とした会話が「醤油取って」「やだ」「…ッチ」で終わることもありませんよ。


さあ、これを見てください。これからあなたが歩む「人生」が記されています。


まごついてる場合ではありません。そうやって新しい物事に受け身な姿勢が

ココに来なければいけなかった人生を作ってしまったんでしょう?


過去にとらわれたまま人は生きていけません。失敗の連鎖を断ち切るのです。


さあ、その「取り扱い説明書」を読んで、あなたの人生を始めましょう。


……え?この通りだと明日車にはねられて死ぬことになるって?


アハハ。それはご愁傷サマ。でもどうせたいしたものは残してないでしょ。


駄目人間が一人死ぬだけでしょう。ほら、輪廻転生っていう考え方もあるし。


ポジティブシンキング、ポジティブシンキング。

クラッシュ






ショートノベルvol.9「真実」中編5

前日の天気予報は外れ、今朝は澄み渡った青空。

夫の代わりに続けていたガーデニング。

その整えられた庭の中に響くのは今日も変わらず竜一の声と――――


「ちょっとケイイチ。人が気分よく幸せに浸ってんのに、何よ」


私はぽかぽかと暖かい日差しを受けながら、安眠を邪魔する機械に向かって

「邪魔」という意思を込めながら気だるく睨んだ。


「ハハハ。まあそんなにしわ寄せて睨むなよ。ちょっと頼み事があるのさ」


ケイイチこと木偶人形は、そう言いながらポケットをごそごそとあさり、

「ああ、これこれ」と私に何か「毛玉のようなもの」を差し出した。

一瞬、それが何?と冷めたリアクションをとったがすぐに気づく。


――――――それは、スズメの死骸だった。


体にこれといった外傷が見当たらないので、その亡骸は眠ってるように見えた。


ぼこ。


「……ツウ。痛いなあ、いきなり殴るなんて理性ある人間のすることじゃ無いよ」


私の拳という「入力」からケイイチが「痛い」という「反応」を見せる。よく出来ている。


「アンタねぇ。なに考えてこんなもんよこすのよ。目覚め悪い」


「そんなに怒ることないじゃない。別にジョークのつもりじゃないよ。

それに、僕のジョークは怒りより笑いを呼ぶ」


機械にジョークが出来るのだろうか。

出来たところでそれは配線と歯車の体で分かるのか。

そういった疑問は胸の内に沈め、続きを促す。早く会話を終えたい。

結局のところ私は「誰」とも話していない。頭で思考をしない人であらざるものは

会話をした人物のカウントに無論入らない。独り言を繰り返しているのと等しい。


「そんな事より…ええと、なんだっけ。そうそうこの鳥。これ、動かないんだけど」


ケイイチはそう言って至極まじめな顔でテーブルの上のスズメの屍をつついた。

そうやっていればいつか再び羽ばたくと信じているかのように。


「おっかしいなあ、これ。どこにも電池のふたが無いよ。多分電力不足が原因だと

思うから、竜一にもすぐ遊ばせてやれると思ったのに。使えないなあ」


ケイイチは「もういらなーい」と子供が遊具に飽きてしまった様にスズメを投げた。

その一連の動作を見ていた私は嫌悪の心を隠せずにいた。同時に一つ確信した。

やはりロボットはロボット。魂の無いオモチャか。


「アンタ、自分が何したかわかってんの?」


「え、もしかして今の何か気にさわった?いけないことだったかなあ。

動作不良の失敗品を一つかたずけただけなのに。まあいいや。

気をわるくしたなら誤るよ。アンドロイドをあまり軽く見ないでよね。

僕たちも経験や失敗から学び、成長するんだから」


「その通り、アンドロイドとしてね。一人の人間としてではなく」


私がそう言うと、ケイイチは「やれやれ」というジェスチャーをした。

スズメ



ショートノベルvol.8「真実」中編4

あの木偶ロボットのK-1800の存在は我が家にとって異質の

存在となるはずだったのだが。


アイツは所詮人間が創造した魂の無いオモチャとしてしか

私の家族に、空間に、生活サイクルに、干渉できないはずなのだが。


そう思っていたのだが。


今、クソ編集者能澄の最悪のプレゼントは私の家で、息子竜一と戯れている。


夫がいたその空間に、K-1800の存在はパズルのピースをはめるように

何の違和感も無くすっぽりとはまった。


夫と同じ顔、同じ声。しかし決して同一のものでは無い笑い声が、

一階のリビングに響く。私は竜一と遊ぶK-1800に生前の夫の姿を重ねた。

ロボットと遊ぶ竜一。彼が木偶ロボットに向けるまなざしはまるで

自分の肉親に見せるそれとなんら変わりが無い、体温を感じる暖かな眼だった。


K-1800の存在を竜一は素直に受け入れた。それというのも、

竜一にはK-1800を「お父さん」として紹介したからだ。

私は本当のことを言えないまま、父の帰還を純粋に歓喜する息子の姿を見て、

胸に何か鉄の塊が生まれたかのように息苦しくなるのを感じた。


本当にこれで良かったのだろうか。真実を話さずにこのまま偽りの「家族」を

演じ続けて、ニコニコ笑って暮らしていけるのだろうか。答えは無論、否。


所詮アンドロイドなどは自然の摂理に逆らってただただ不変の時間を

偽りの時間と偽りの感情を持って過ごす唾棄すべきもの。


いつかは「真実」を話さなければならないだろう。その時竜一は

どんな反応をするだろうか。やはり拒絶?しかし今まざまざと

見せ付けられている竜一とアンドロイドの交流は、

まるで永久に続くかのような幻想を抱かせた。


「ねえ、ケイイチ。あなたゴハン食べないの?」


「え?なに言ってんだよ。この通りおいしくいただいてるさ。

いやあ大学で馬鹿相手に講義して心身ともに疲れた体を癒すのは

やはり愛すべき妻の手料理だね」


――ケイイチ―――K-1800は目の前にあるごはんと自分の口の間を,

一口のせたスプーンで往復させながらそう言った。


もちろん、アンドロイドには料理を食べることは出来ない。

料理





予告編

ショートノベル「真実」が思いの他長くなりました。

この分だとあと三日はかかりそうです。


んで


まだ話の途中ですが予告です。


次回のテーマは「シナリオ」


―――この世は全ての要素がシナリオ通りに動いている。

一人の「マスター」と呼ばれる人物によって。

俺はこのふざけたヌルイ世界の諸悪の根源に戦いを挑んだ―――


「真実」もまだまだ続きますよ。ナニヤラ初のハッピーエンドの予感w

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ショートショートvol.2「煉獄」

なあ、ソコのお前。そうそう貴様だ。

モノは相談だが俺をここから出してくれないか?

いい加減外の様子が気になって仕方がねえ。

なあに、そんなおびえたツラすんなって。

なんもしにゃしねえよ。……出してくれたらな。

アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!

冗談だ冗談。…………っておい。鍵もってんじゃねえか。

そうそう、鍵を開けるんだ。…ククク。

こっちから見るとアンタの方が閉じ込められてるみたいだぜ。

なあ、ついでに一つ聞きたいんだが―――――――――、

オレはまだ人の形をしているかい?

……まあいい。愚問だったな。アンタもずいぶんヒドイ有様だぜ。

もう一つ聞こうか。何故そのカギを持っている?

ソイツはこのオレがどれだけ苦労しても手に入らなかった唯一のものだ。

どうしてお前みたいなガキが――――――――――――――――――

……スマン。これも愚問だった。なんだその後ろの死体のヤマは?

ハハハ。何ダ。ふたを開けてみレば俺より悪党じゃネえか。

モノは相談だが―――、どウだ。俺と組まねえか。そしタら怖いモんナシだぜ。

………………………………………………オーケー。交渉決裂だ。銃ヲ下ろせ。

残念ダな。人をオモチャにするマッドサイエンティストの次ハ、

人を人とハナから思っチゃいねえクレイジーか。イイゼ。撃テヨ。

チョウドコノカラダニモアイソガツキタんダ。

コロシてくレ。

ジぶンジャシネねエ。

GOTH