真・ショートショートvol.1「神様」 | DONT TRUST OVER FIFTEEN

真・ショートショートvol.1「神様」

「やっぱり神様なんていなかったね」


彼女はそれだけ言うとこの世の全ての悲哀を凝縮したような寂しげな顔をして、

俺と彼女の間の防弾ガラスよりも厚く強固な透明な壁の向こうで弱弱しく微笑む。


ガラスにどす黒いシミとなって飛沫しているのはいやになるほど大量の鮮血。


「そうさ、神様なんていなかった」


俺は笑った。子供相手にまんまと出し抜かれた自分への嘲笑の意味を込めて。


段階的に危険な室温上昇を続ける空間に残された時間の少なさを感じながら、

俺は一人逃げる少女の背中を見送った。