イリュクシオンの炎の車 | DONT TRUST OVER FIFTEEN

イリュクシオンの炎の車

足が痛い。馬鹿に痛い。猛烈に痛い。積極的に痛覚を刺激されている。ズキン、ズキン。最初はまだ愛想のある痛みだったのが今やバクン、バクンと巻きヅメの馬鹿野郎は無遠慮かつ感情丸出しで俺を苦しめる。巻きヅメというのはツメが肉に嫌になるほど食い込むもので足を酷使するアスリート達がなる一種の職業病だ。俺くらい酷いのになると選手生命を断つには十分である。実際俺はこのおかげでリレーから外されている。俺にとってリレーは部活の目的だった。陸上を続ける意味そのものであった。その陸上をやる意味を無茶苦茶に、完膚無きまでに撲殺された。この悲しみと落胆と悲哀が同時に襲ってくるどうしようもなく鬱積した激しい憤り。この気持ちのスカッとする魔法のような解決法。それが見つからない。日々悶々と過ごしていてストレスは快調に増していくばかりである。そういえば今日、陸上部の先生にこのことを話したら、突然「立て」と言われそれから一言「腐るなよ」と言葉をかけられた。それは同情からくる言葉だったのかもしれないが荒んだ心に深く響いた。久々に「本当の言葉」を聞いた気がした。夜明け