最悪の環境でも最高の実力をだせた理由【最終話】 | マイナースポーツ日本代表【スポールブール豊田想】

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クロアチアにきて初日にロストバケッジ、二日目に違反投球、三日目に維持の一球、四日目に賭けのチェック依頼をご説明した。

そんなクロアチア世界選手権編も最終回になります。

【コンビネ運命のロシア戦】

日本  12点 対 ロシア  16点・・・

残り9球でスポールブール日本代表は負けを覚悟してもおかしくない状況にいた。運命とは時に非情である。

日本代表にとっての大一番で対戦相手ロシアはこれ以上にない絶好調だった。

彼のこれまでの大会結果をみても15点が平均だった。

その彼が残り9球を残して既に15点。

しかもロシアは10連続得点で波に乗っている。

10連続得点は過去15年間私のスポールブール対戦相手もそして自分自身もなし遂げた事がない。まさにここにきて未知の世界との相手との勝負となった。

スポールブールは直接相手の体や、プレー中の相手のボールを邪魔したりできないため、相手へのプレッシャーは点差を広げない事である。

残り球数が少ない中で5点差以上の点差になると相手にプレシャーを与える事ができず相手のペースで試合が進んでしまう点差である。

相手が点を獲るのならば自分も獲り続けないとプレシャーを与える事はできない。そう私はもう一球も失敗できない状況に追い詰められていた。

スポールブールの試合(コンビネ)では各チームにタイムアウトが1度認めらえている。実はこの少し前のタイミングで岡本監督がタイムアウトをとっていた。このタイムアウトを使い日本代表は基本事項を確認した。

次はどっちがビットを投げてどっちがティールを行うのか。

そして岡本監督が最後に放った言葉「ビットティールをやっていこう」

この言葉を実行する時が今だった。

外せば負けが決定すると言っても過言ではない場面で私は投げた瞬間、大声が自然とでた。投げた瞬間成功を確信したからである。

ビットティールは2点が加算されるため14点 対 16点となり、残り8球でとうとうロシアの足元が見えてきた。

自分はここに存在すると言わんばかりに私はユニフォームの日の丸を右手で叩き自分を鼓舞した。日本代表は強い!そう自分に言い聞かせるように。
 
残り8球でロシアはここで単純な戦略ミスを犯した。日本代表がタイムアウト時に入念に確認していた事をロシア代表は確認していなかったのである。
(ロシア代表は球を投げる順番だったが転がす順番と勘違いをしてビットを遠くに置いたのである。)

この試合で初めて私に流れがきた。いや先ほどのビットティールで流れを呼み込んだのである。

ボールを転がしに行こうといく彼を止めて、順番が違うと伝える。

明らかに相手は同様していた。

ロシア痛恨の4球連続ミス。私は二球を決めてとうとうロシアを捕まえた。

残り4球で16点 対 16点。

残り4球はロシアが転がし約15m先の直径1m40㎝の円の中に入れれば1点、私は約15m先のボールにほぼダイレクトで当てれば1点である。

まずはロシア代表が1点を決め 
17点 対 16点

すぐさま日本代表が1点を返す 
17対 対 17点

(残り3球)

ロシア代表が再び1点を決める
18点 対 17点

すぐさま日本代表が1点を返す
18対 対 18点

(残り2球)

ロシア代表が意地で1点を決める
19対 18点

もう一球も外せない状況で私も決める
19点 対 19点

(残り1球)

私は知らず知らずのうちにロシア代表にプレッシャーをかけ続けていた。

ロシアはここ一番で1点を取り損ねた。

19点 対 19点

この一球を当てれば私の勝利だ。

試合中明らかに強いのはロシアだった。でもずっと勝つのは日本だと思って自分を鼓舞してきた。私には絶対に勝たなければならない理由があったからだ。

それを証明するために2年間ほぼ毎日練習してきた。いやスポールブールを始めて15年。それを証明するために今この場に立っている。

日本代表の存在価値を最大限に上げるために。
それが日本代表の役割であり日本人では私にしかできない事であり、この世界選手権でしか成し遂げられない事でもある。

だから日本を代表して今この場にいるのである。

私は静かにボールを投げた。

投げた瞬間に勝利を確信しガッツポーズと雄叫びが自然とでた。

完璧なフォームから放たれた完璧な一球だった。

この瞬間のために今までの苦労があったのか。

今までの苦しみから解放された瞬間だった。

その感触に嘘はなく、ボールは綺麗にヒットした。

会場からは割れんばかりの拍手。

私は岡本監督とがっちり握手をした。

「私はこれがみせたかったのです」

予選突破というこの最悪の環境で最高の結果、最高の試合を岡本監督にみせたかった。今までほぼ一人でスポールブール発展のために本気で毎週練習環境を整えてくれている岡本監督。現地でもフォーム修正のために毎朝練習を繰り返した。ここで負けては今までのご苦労が半減してしまう。

スポーツは勝つことが最大の恩返しとなり、やってきた事の証明となる。

この試合初めて点をリードしたのが試合終了の瞬間だった。
また練習でもできなかった四連続成功がこの大一番でできたのはまさに奇跡である。

この予選突破という勝利は私だけでなくまさに日本代表団全員の試行錯誤の結果であり日本で応援してくれている皆さんに捧げる勝利だった。
想いを持つと実力以上の力がでる。

皮肉にもこの試合の審判は私の違反投球をマークした某国の審判だった。
彼はこの試合中に一度もその笛を吹く事なく試合を終えた。
そして審判として異例の勝利の祝いの言葉を私にくれた。
彼も自分の仕事を全うしただけであり、今となっては感謝さえしている。
日本はマークされる存在になったという事実、そして大会等日本の環境を整える必要な事実が認識できたからだ。確実に日本スポールブール界は発展に向かっている。

「本当に勝ったのですね」私は帰りのバスの中で岡本監督に問いた。

それぐらい信じられない大逆転劇だったのだ。

ロシア戦勝利後、私はまだまだ勝利に飢えていた。

こんなに苦労したのだからここで終わってたまるか。

まだまだ上にいける気持ちだった。

翌日、予選突破して目標のベスト8をかけたアルジェリア戦に挑んだ私には強い気持ちはあったが、朝晩毎日の修正フォーム練習で体はボロボロになっていた。体感では成功したと思ってもわずかなミスで成功とならなかった。
(違反投球は一球もなかったが・・・)

試合中、全く相手のプレッシャーを感じなかった。

どうやったら勝てるか、どこに隙があるのか。常にどうすれば勝てるのかを考え試合に挑めた。今までの世界選手権は大会途中に満足したり、試合途中に負けを感じてしまったり弱い自分が多く存在したが、今大会はいかなる時でも強い気持ちを取り戻せた。この点が一番自分で成長した点だと思う。

私を破ったアルジェリアは銅メダルを獲得した。

予選で私を破ったモンテネグロは銀メダルを獲得した。

こうして2015年世界選手権(クロアチア大会)は幕を閉じた。

しかし私の世界選手権はまだ終わっていない。

全く負けた気がしないのだ。

世界選手権自体の結果には満足をしているが、全力で戦えた気がしない。
まだまだ自分の実力はこんなものではないと心のそこで叫んでいる。

次回世界選手権は2017年モロッコ(カサブランカ)で行われる。

後たった2年。私の次の目標はもうそこに向かっている。

カサブランカでメダルを獲得した時にこのクロアチア世界選手権が私の中でようやく幕を閉じるのかもしれない。

最後に今大会スポールブール日本代表の応援を頂いた全ての方にこの場をかりて感謝の言葉をお伝えしたい。

「スポールブールという名も知れない競技にご興味を持って頂き有難う御座います。スポールブールの魅力を伝えるべく日々努力していきますので今後ともご支援、ご声援を宜しくお願い致します」

【岡本監督とロシア戦後に勝利を記念して】


【違反投球のチェック依頼をした審判と】



【帰国後既に次回大会に向けての朝練は始まっている】


【日本でも多くの未来の日本代表が育ってます】



【もう一人の日本代表小林選手と】


【9ヶ月間世界選手権までメンタルコーチ頂いた長田先生と】



【最高の日本代表団】




 

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