昔話に、聞いたことがある…。

 旅館に着いたら、まず足元とベルトを、診ると言う。上客かどうかの判断基準だ…祖父の言い伝えだ。


 美容院に行くときは、オシャレして行くものよ!元同僚のアドバイス。切リ方丁寧さがかわってくる!と言った。


 銀行内で、年金受取に月イチで、訪れる女性に会った。

 洗いざらしで:もキチンと糊とアイロンの掛かったブラウス。髪には綺麗にくしの目が通って清々しく心地よさが伝わってくる。思わず声を掛けたのだった。

 すると、私の月イチのプライドと心掛けです…と話してくれた。


 三十代終わりの頃だったか…。

 苦い想い出が…

 さすがに、部屋着はまずいかと、着替えはしたが、すっぴん処か、 数日間顔もろくに洗っておらず、徹夜で書き上げた原稿を、ボサボサ頭で、飛び出した。頭の中は、締切に間に合うか否か!

 田舎町の郵便局の本局まで車を走らせた。

 帰り道、安堵と共に、空腹感を覚えて、全国チェーンのラーメン店に入った。

 席についたら、混み合ってるのか、一人のお婆さんが私の席に着こうとしたときだった。

 孫らしき如何にも田舎っぺな、キツネ目の女の子が、 婆ちゃん!こっちの方が若いよ!とさけんで呼び寄せていた…。

 私はショックで、その薄汚い 女の子の方を観た!その席には、確かに黒いリクルートスーツを着た髪をきれいに一つにまとめた若い女の子が、いた。背中合わせで顔は見えなかったが、確かに若く、感じ良さそうだった…。

 

 帰り道、書き上げ提出出来た安堵感より、不燃物抱えて家路を急いだのだった…。

 

 やっぱ、中身より、人は見かけかと…。