ボルダリングジム【空の向こうへ四足歩行】は2014年11月22日に
オープンし、2017年11月22日無事3周年を迎えることができました。
皆様に支えられ、運営してきた3年間が走馬灯のように頭を駆け
巡ります。心より感謝申し上げます。
今回は3周年記念ということで、強傾斜壁3面(105度・120度・165度)を
全面リニューアル致しました。
触ったことのないホールドをひとつでも多く調達し、お客様の成長を
促す課題を創り続ける。
皆様のご愛顧・ご支援に報いるためには課題の創出が決定的に
重要。今までもこれからもずっと変わらず愚直に課題を創造して
いきたいと考えています。
オープンから3年が経過し、お客様の技術やムーヴ解析能力そして
保持力が飛躍的に向上しました。
初心者課題からスタートしたお客様が、テクニカルなセットの垂壁・
スラブ壁でテクニックを身につけ、今では強傾斜壁の中級者課題で
強さを獲得しようとしています。
SORAYONのウォールで強くなっていくお客様を見ることができるのは
本当に幸せです。
3周年を前に、どうすれば強くなりつつあるお客様を更に強靭な
クライマーへ導くことができるのか?
旧強傾斜ウォールの延命策も同時並行で考えました。
今回ウォールリニューアルをしたのは旧ウォールの賞味期限切れ
ということではありません。
旧ウォールは構築してから1年8ヶ月経過した時点でも色褪せることは
なかったと自負しています。恐らくあと半年は皆様の成長を支える壁
であり続けることはできたでしょう。
実際多くのお客様から旧ウォールの延命リクエストを頂きました。
そのような状況でも変えた理由は、二つあります。
①拡張性の向上
②後進の育成
この2点です。
①の拡張性とはルートセットの拡張性ということです。旧ウォールは
ボリュームホールド(XXXL以上の巨大ホールド)占有率が2割を占め、
その他XLサイズ以上の比較的指に優しい大きめのホールドの
占有率が6割。残りの2割がMサイズ以下の占有率という構成でした。
この構成だと課題の傾向にバリエーションを持つことが難しく、また
核心の要衝がボリュームホールドで塞がれてしまい進むべき方向へ
一手が出せないという弊害もありました。
初心者向けジムを標榜するSORAYONとしては開業当時は指への
負担が大きく故障の原因になるクリンプホールド(カチ=小さいサイズ
のホールド)は避け、スローパー主体のホールド構成で多彩な
ムーヴを起こせるよう腐心していたのが実情です。
アルパイン系のクラシック課題を探求していながら現場で頻出のカチ
課題を減らしていたのはそういった背景があります。
今回NEWウォールではカチホールドとM~Lサイズの比較的小さい
ホールド増やしました。3年間のルートセットノウハウから、カチ系
ホールドでありながら、指への負担が軽減できるシェイプのホールドを
選択したつもりです。
NEWウォールは旧ウォールと比較して1.5倍多いホールドを装着
しています。ルートセットのバリエーションはこれにより飛躍的に
増加するでしょう。拡張性が向上するということは、短命で終わらない
ウォールになるということです。
少なくとも2年間は皆様の成長を支え続ける壁になることを祈念しています。
先ずは発想からコンセプトスケッチを書く。
プロトタイプを作る。
どんどんいじりながら完成形に近づけていく。
最初から完成形をイメージすることはとても難しい。
触ったことのない情報が少ないホールドは実際に壁にセットし
様々な角度を試しながら仲良くなっていく。
モノのカタチはとても複雑です。5度傾けてしまうと全く別の特性が
出現します。故に試行錯誤するステップがとても重要です。
少しずつ少しずつ丁寧にイメージに近づけていく。SORAYONの
ウォールは立ち上がりは混沌としています。安定するまで一ヶ月は
必要。お客様にご迷惑をかけるのは忍びないですが納得が
いかなければ一度セットしたホールドをリプレイスさせて頂く。
結果長い間楽しめるウォールが完成する。
ムーンボードが普遍的に存在し続けるようにSORAYONのウォールも
長く利用され続ける壁を目指します。外岩のようにいつ行っても
大好きな課題が存在し続ける・・・そんな壁にこれからも増設移設を
繰り返し仕上げて参る所存です。
旧ウォール以上に現場の臨場感溢れるリアリティのある課題をNEW
ウォールでは探求していきますね。乞うご期待ください。
②の後進の育成とは、今後SORAYONが次のステップに進む
ために、自分以外のセッターとノウハウを共有し、自分がいなくても
SORAYONが目指す課題をリリースし続けられる体制を構築する
ということです。
3周年を節目にして、これからは複数のクライマーとコンセプトを
堅守しながら課題をリリースしていきたい。タイミング的には今回、
その作業を共有するのがベストと判断しました。
ウォール構築のノウハウはジム毎に異なり、なかなか形式知化
しにくいものです。マニュアル化できるものならマニュアル化したい
のですが、クリエイティブな側面が多く属人的です。そのブラック
BOX的なノウハウをウォール構築作業を通して共有できればきっと
SORAYON的な「何か」は消えることなく続いていく・・・。
自分はアルパインを舞台に登攀行為を続けてきた人間です。
剱の壁、黒部の谷・・・様々な山岳地帯でのクライミング経験が
課題創りのベースになっています。そのアルパインの核心は
尽きることがない。
そして月イチで開催しているアルパインアクティビティで初心者の
皆様と外岩に行く度に、強化すべきムーヴや課題が見えてきて
課題創出の意欲は衰えるどころか高まるばかり。課題創出の
ためのアイデアは枯渇するどころか年々増加していきます。
しかしながら、加齢とともに集中力と体力をキープすることが
難しくなりつつあることも事実。
初年度オープン時には100本を越える課題をセットしました。
1課題につき10回以上は試登し、ホールド角度調整を繰り返し
ながらルートセットしたので都合2000本以上をわずか一ヶ月で
登った計算になります。
当時自分は47歳で、こんな年をとってもまだまだ伸びるんだ!
と自分のクライミング力の再生に驚いたことを昨日のように
覚えています。
そんなまだまだやれる!的な無双状態も長くは続かず、短期間で
身体を酷使した結果、オープン直前に腱鞘炎を発症。一瞬で
グレードが最低レベルまで落ちてしまい、養生しつつだましだまし
腱鞘炎と付き合いグレードを戻してきました。だがしかし・・・
完治には至らずホールド替えをする度に腱鞘炎に負荷をかけて
しまいクライマーとしての健全な肉体を維持しているかと問われれば
厳しい状態と判断せざるを得ないのが現状です。
今はまだ何とかなっていても、明日完全に壊れるリスクがある
状態を放置するのはあまりにも無責任。現在50歳。あと5年は
現状維持はできるかもしれない。ボディメンテナンスは今まで
以上しっかりやるし絶対維持すると願えばたぶんできる。
5年で全ての経験を若手と共有するためには、ただ一度の
ウォールリニューアルも無駄にしたくない。今回その第一歩
としてLVR氏がSORAYONの正規ルートセッターとして参加
を決断してくれました。
SORAYONの400を越える課題全て攻略し、SORAYONが
目指すスタティックムーヴを体内に完全に取り込み今も尚
進化し続けている白眉なクライマーです。サマーチャレンジ、
オータムチャレンジの結果からもテクニック(スラブ)とパワー
(強傾斜)を兼ね備えた隙がないオールラウンドクライマー
であることを実証済みです。
LVR氏がSORAYONのルートセットに加入してくれることで、
SORAYONはジムコンセプトを保ち続け化学反応を起こして
更なる進化をすることができる。そう信じています。
尚、ルートセットスキルはクライミング力だけでなく、
下記10項目が求められます。
①クライミングスキル(外岩グレード・室内グレード)
②発想力(創造力クリエイティブスキル)
③熱い好奇心(好奇心と感動が課題創出のエネルギー)
④ストーリーを語れる能力
⑤ホールド特性知識(形状・テクスチャ)
⑥空間把握スキル(ホールドレイアウト)
⑦グレード評価スキル
⑧ウォール構築マネジメント(作業工程管理・安全管理知識)
⑨お客様の特性把握(コミュニケーション能力)
⑩トレンドキャッチアップ(課題傾向の情報収集力)
この10項目を5年以内に、LVR氏だけでなくスタッフKGM氏・
MZN氏とも共有し、オリジナリティのある「SORAYON的な何か」を
創出していきたいと考えています。
俺が俺がでやり続ければマンネリ化を引き起こす。
前職で痛感した「水は淀めば腐る。」
強い組織は常に勝ち続けるために変化する。
ジャニーズ戦略は凄いです。(下から戦力が供給される仕組み)
少年隊のノウハウは下のグループに吸収され別のカタチに進化する。
今動いている戦略と異なる戦略を同時並行で動かすチャレンジ。
SORAYONはこれからも淀むことなく進化していきたい。
お客様が来店する度に新たな感動や発見があるジム・・・
いつかきっとなれる筈。
スタッフ、セッターそしてお客様が一体となり、常に進化していく・・・・。
オールSORAYONでこれからも上手くそして強くなっていきたい。
それでは4年目の空四もどうぞ宜しくお願い致します☆



