ピーマンの法則

今日は、世界パスタデーなんですね。

よく食べるパスタは「きのこパスタ」や「明太子パスタ」なんだけど、思い出に残っているのは「インディアンスパゲティー」です。このパスタにお目にかかったのは、小学生の時。給食のメニューとして出てきたんです。　　　　　　　　　　　　　　　　

「インディアンスパゲティー」と聞いて、私が最初に思ったのは、アメリカのインディアンの人が食べていたパスタなのかなっていうこと。でも実際はアメリカ発祥のパスタではありませんでした。

なんとこれは、日本の独自のメニューだそうです。どんなパスタなのかといえば、カレー味のパスタなんです。そういうところから、この「インディアン」っていう言葉は「インドの」っていう形容の意味になるみたいですね。　　　　　　　　　　　　　　

このパスタには二種類あるそうで、ひとつはカレーソースがかかったもの。もう一つはドライカレーにパスタをまぶしたものになるそうです。私が初めて食べたのは、ドライカレーの方でした。

小学一年生の頃、私はピーマンが苦手だったので、給食にピーマンがでないかと不安でした。けれど、一ヶ月のメニュー表の月の真ん中に、モロにピーマンの文字を目にしてしまったのです。それが「インディアンスパゲティー」でした。　　　　　　　　　　

「インディアンスパゲティー」って、いったいどんなパスタなんだろうと、頭の中で不安な

妄想がふくらんだのです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

「ピーマンの丸焼きがパスタの上にのってるやつ？？」　　　　　　　

「それとも、インディアンの帽子の羽みたいな形のざく切りピーマンが、

パスタの上にいっぱいのっかってるやつ？？」

「あああああああああああ、食べれんかったらどうしよぉ～～～～」　　　　

頭の中がピーマンだらけになって、両耳を押さえて、小さい私はおののきました。

それから何日かが過ぎ、いつものように給食を食べる時間が来ました。

「来週の今日は、インディアンスパゲティーだぁぁ。」　

そんなことを思い出しながら席に着きました。

「いただきま～す。」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

「今日は、やきそばかな？変わってるなぁ。」

そう思いながら口にすると、プチプチッと、小さな歯ごたえとほどよい刺激が・・・。

「う～～ん！おいしい～～♪」

「あれ？？？」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

口にしたものはやきそば麺ではなく、カレー味のパスタでした。

「え？もしかして？？？」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

そうなのでした。私は一週間、メニュー表を間違えて見ていたのでした。

今日は、あの、ピーマン入りの「インディアンスパゲティーの日」だったのです！！

「なんか、想像していたのと違う・・・」　　　　　　　　　　　　　　

見た目はカレー焼きそばのよう。ピーマンは細かく刻まれていて、私は気が付きませんでした。

カレーが好きな私には、カレーの変わったスパイスのような感覚で食べることができたのです。この小さなな苦み。これがその時の私にとっては初めての感覚で、ドストライクに！！そして、ピーマンが食べることができた喜びでいっぱいになりました。

家に帰って、食べられることのできたうれしさを家族に報告しました。　　

それから、小さく刻んで食べられるようになったピーマンの大きさは、ゆっくり大きくなって、ふつうの大きさのものが平気に。大人になってからは、居酒屋でピーマンの大きな肉詰めをほおばるくらいになりました。　　　　　　　　　　　　　　　　　

小さい時、あのメニューに会ってなかったら、今でもピーマンは食べられなかったかもしれません。あの時、ピーマンが大好きなカレーと一緒だったこと。小さくそっとパスタの中にあったこと。もうすぐピーマンの日だって構えていた日以外に、そのメニューと遭遇したこと。3つのいいことが重なって、ピーマンと仲良くなれることができたのでした。

大人になってから、入った飲食店で「インディアンスパゲティー」という文字を見つけて、懐かしくなって注文したのですが、そのパスタはドライカレーではなく、カレーソースのもので、ピーマンも入っていませんでした。あの時以来、小さい頃の「インディアンスパゲティー」に遭遇していません。だけど、今でもうれしい味には変わりありません。　　