夕暮れに夫と散歩に出る。


山の向こうがオレンジ色に光り、

四方の山から心地の良い風が吹いて来る。



田んぼ道の中央に立った私は、

夫に人差し指を向けた。



この指見てて。



夫に言うと、私は人差し指をすっと天に向け、

ぐーるぐーると人差し指を旋回し出した。



みかん、何やってるの?



不思議そうな夫。



ちなみに過疎地なので人は他に誰もいない。




わたしは。。とりつかい。。いでよカラス🐦‍⬛!!




そう言うと、四方の山から、

一斉にカラスが飛び出し、

私の指の真上を旋回し出した。



二十羽はいただろうか。

夕暮れの山の中から、

私の頭上を大量のカラスたちが旋回して行く。



かあーかあーかあーーー



と大騒ぎしてしばらく旋回すると、

カラスはまた散り散りに四方の山に帰って行く。




みかんすげー!



と、夫はツボに入ったのか、

お腹を抱えて笑った。




知らない人が見たら、

本当に私がカラスを集めたように見えただろう。



二日前から一人で散歩していた私は、

この時間帯にカラスが旋回するのを知っていた。



お見合いなのかなんなのか、

この時期になるとカラスは集まって旋回する。



夫は私が鳥使いを熱演したのが面白かったようで、そこに本気でカラスが出て来たものだから、

ツボに入ったようだった。




本来はこんなふざけた人間の私だが、

今はその散歩道すら歩けないでいる。



鳥使いってなんだよ!と夫は大笑いしていたが、

なんかそれっぽかったー!と笑っていた。



過疎地だからできる冗談だが、

都会でこんな事をやればスルーされるだろう。



過疎地の夕暮れはとても美しい。

楽しい時間だった。