60年代、70年代、80年代・・・いつになっても、その時代の最高のロック音楽を

懐かしさだけでなく辿りたいもの。 特に若い人達にとっては、「名盤100選」とか

「70年代ロック・ベスト100」と言った情報を手掛かりに昔の名盤を探求するのが

手取り早い手段。 そんな音楽雑誌の特集やネットの口コミで必ずと言って登場する

知る人ぞ知る的な「名盤中の名盤」と言われるアルバム。 大体、音楽評論家って

人種や自称ロックの達人ってのは俗っぽく見られることを極端に恐れ、一般的に余り

知られていないレア作品をこれでもかと探し出して来てはしたり顔になってるもの。

ま、そこしか大衆オーディエンスと差別化出来んもんな┐(´∀`)┌

 

そんな人達が必ず選ぶ「歴史的名盤中の名盤」という作品の中で、ロック入門者なら間違っても絶対にこれから聴いてはなりませぬ!というアルバムが幾つかあります。確かにこれらは、私的にも生涯一聴お薦めの超名盤には違いないですが・・・

 

先ずはこれかなあ♪  もうキワモノ感炸裂のジャケですねえ。

Captain Beefheart !!!  69年の快作!"Trout Mask Replica" !!! 

キャプテン・ビーフハートことドン・ヴァン・ヴリートと、彼が率いる変態系超絶

テク集団のマジック・バンド。 ブルースを基調としつつも、フリー・ジャズ等に

見られる変拍子や不協和音、ポリリズムを巧みに取り込んだその前衛的な音楽は、

後のプログレ、パンク、ニューウェーブの時代に至るまで大きな影響を与えた重要

作品として位置付けられています。 

 

只、彼らにとって3作目となるこの作品を聴き熟すには、先ずはこの前後のアルバム、

或いは、ブルースの入門編から初めて、60年代後半にセンセーションを巻き起こした

サイケデリック・サウンド、例えばグレートフル・デッドとかJ・エアプレーン、更に

それらの影響を受けたとされるビートルズの「リボルバー」近辺の作品も良く聴いて

先ず耳を慣らした上で挑戦すること。 さもないと「彫刻刀で盤を切り刻んだ」とか

「二階から天高く放り投げた」とか「重りを付けて池に沈めた」とか、眠っていた

自分自身の加虐的変質性を突如呼び起こすことになります。

 

では兎に角、先ずその取っつき易そうそうなところから・・・

出ました!バカボン・パパ!!! このダミ声、怪しい目つき! これは74年の

ラジオライブ収録時の映像のようですが、これなんかまだまだまともな方。

 

更にこんな映像もありました! 72年ドイツでのスタジオライブ♪ 

72年ドイツでのスタジオライブ映像ですが、何かおふざけで各人が適当にバラバラに

演っているように見えますがこれぞ彼らの真骨頂!変態リズムの洪水!そして見事に

ポリリズムしてますよね♪   このセッションなんかも「割とまともじゃん!」と

思われるかも知れませんが・・・

 

さて、遡りこれが69年の問題作!

この曲でスタートする全28曲からなるこの作品、ま、全編こんな感じですが( ̄_ ̄ i)

フリージャズ的アンサンブル、進化させたブルースの新解釈、変態度満点な歌詞、

それをバカボン・パパが変幻自在に表現。 ま、一度聴いて笑えた人は間違いなく

ハマると思います。 初挑戦の時、私はその「投げた」組でしたが・・・  

 

82年"Ice Cream For Crow"というアルバムを最後に音楽界から身を引き、以後は

画家として活躍の由。 映画監督、詩人・・・奇人、変人にして正に鬼才! 親交が

深かったとされるフランク・ザッパと同じく、商業的な成功とは全く無縁、しかし、

あの時代の前衛的ロックの旗手として、永遠に語り継がれるミュージシャンにして

万能アーティスト! 2010年「これでいいのダ!」の名言を残し?69歳で没。

 

そして、次なるは・・・

This Heat !!!  76年リリースの同名デビュー盤! 当時の大英帝国と言えば、

パンク以降ニュー・ウェーブが息吹を上げる中、もう一つの流れとして、形骸化した

ハードロックやプログレの音楽性を否定し、パンクが持つ暴力的とも言える攻撃性を

踏襲しつつ、それにファンクやらレゲエやら様々な音楽の要素を貪欲に取り込み、

また新たな音世界を創造。 その意味では、ニュー・ウェーブもポスト・パンクと

言えるし、逆に、ポスト・パンクもニュー・ウェーブであって、両者を同一視する

向きもあるが、ポスト・パンクの方がギター音やビートを強調しているのに対して、

ニュー・ウェーブの方はシンセ音を多用するところに違いがあるとされてます。 ま、そこまで細かく分けると、バンドによっては作品毎にカテが変わることになり、

そこらはもうどっちでも・・・┐(´∀`)┌ 評論家先生の仕事にお任せましょう。

 

バンドの中心、ドラムスのチャールズ・ヘイワード! このバンドを結成するまでは後にロキシー・ミュージック結成に参加するギタリスト、フィル・マンザネラ等と

ジャスロック系のプログレ畑でキャリアを積んでいましたが、ギタリストの実兄と

ベーシストを加え、パンク系の一つの型であるスリーピース・バンドを結成。 その

音創りは、24トラックのテープ録音技術を駆使し、スタジオ内に何本ものマイクを

立てて音を拾ってはそのダビングを繰り返し編集するという、やはり今から考えると気の遠くなるような職人技師的スタジオ・ワークによるもの。 そこがシンプルに

爆音をぶちかますパンクに対する「ポスト・パンク」の言われなのでしょうが、この半端ではない緊張感の音空間を醸し出している作品、単にポスト・パンクの草分け的存在に留まらず、この流れは、アート・オブ・ノイズやブリストル系のバンドにも

受け継がれ、90年代以降のハウスやクラブと言ったダンス系ミュージック、更には

アメリカのオルタナ・シーンにも大きな影響を与えた作品として評価されています。

 

では一曲!というかアルバム2番目の「音」

このアルバム、最初は「あれっ?音が良く聴こえない」からと、決してボリュームを

上げてはなりませぬ! 突如顔が南紳助さんになりますので。 正に音空間と言った

表現がぴったり来るでしょうか。 このアルバムが出た当初「キング・クリムゾンと

セックス・ピストルズの間を埋めるバンド」というキャッチ・コピーが付いていたと

記憶しますが、この実験的サウンドこそ正にプログレ! その彼らの真髄は、70年代

後半をして欧米のロック音楽が産業化して行くことへの強烈な批判というか、それは

大英帝国ロックの底流を支えるインディ出身のミュージシャン魂と言えるでしょう。

 

さてもう一枚、パンクの申し子として一世風靡したあの男がセックス・ピストルズを

脱退後、元クラッシュのギタリスト、キース・レヴィンや、凶暴性ベーシストとして

鳴らしていたジャー・ウォーブル等と結成したこのバンド!

Public Image Limited !!!   "The Flowers Of Romance" !!!

ジャー・ウォーブルが脱退し、ベース抜きとなった3人編成で収録敢行された3作目。

81年作。 ロック・ビートを完全に排除し、ドラムの重い音にジョン・ライドンの

呪文を唱えるようなボーカルが醸す暗黒世界。 時にアラビック、時に東洋的な民族音楽へのアプローチ。 ディス・ヒートの作品然り、それは産業化するロック音楽を

嘲笑うかの如く、やれニュー・ロマンティックだポスト・パンクだと言った連中をも

場外に蹴散らす快心作! と思えるまで10回は聴きましたが・・・

 

タイトル曲ですが、これなんか未だ「楽曲レベル」

ベースを排除した分ドラムスが大きな役割を担うことになりますが、それで重厚さが

失われることなく、呪術的な空気を醸成。 最近になって聴き直すと、「これって

結構計算づくしの美味しいフレーズ大盛りじゃん!」とも。 まあ、この男もただの

パンク野郎じゃないんですよね。 この作品から5年を経て、スティーヴ・ヴァイ、

ジンジャー・ベーカーと言った役者達を従え、気合一発!ジョン・ライドン80年代

ニュー・バージョンを披露! 

LP盤が”Album"、CDが "Compact Disc" 、カセットが"Cassette"とこれまた

人を食ったようなタイトルですが、もはや尖んがってもなく、煮詰まってもなく、

「普通にロックしてますが、何か?」的な気負いのなさが痛快! プロデユーサーは

ビル・ラズウェル!・・・って、あ!こんな「辣腕」がまだいましたねえ♪  PILの

作品は何れも素晴らしい出来栄え♪

 

妙に理屈っぽくもなりましたが、何れの作品も名盤と言われるのは、楽曲やら演奏が

どうこうではなく、ロック音楽の変遷を振り返った時、その作品が残した後々への

影響力、独創性、前衛性等からして極めて重要な「史料」としての意味合いが強い

作品として賞賛されて来たのだと考えます。 それは評論家やコアなロックマニアが

好む世界であって、決して「一般論」でもなく、「後から振り返ってみれば」という

評価であったことも否定できません。 ただ、素直に「色んな音楽を聴いてみたい」と願う人達にはやはり、十分な準備と心構えで一度はじっくり向き合ってもらいたい作品であることは間違いありません。