ルーヴル探検
外国旅行の楽しみのひとつに美術鑑賞がある。過去に何度かパリを訪れた時にも必ず美術館に足を運び、本物の名画などにふれて感動したものだ。
そんな私が今回注目したのは美術館そのもの──、つまり美術品を収蔵している建物自体の美しさである。特にルーヴル美術館はかつて王宮だったということもあって、その豪華なことといったら! それなのに、今までは建物の巨大さに圧倒されるばかりで細部には関心が及ばなかったのだ。
ルーヴル美術館のシュリー翼の3階で、14世紀からの古いフランス絵画を鑑賞していた。宗教画の連続にちょっと飽きてふと窓から外を眺めたら、このような素晴らしい彫刻が目に飛び込んできたのだ。
人の目に触れやすい1階部分を飾るのはわかるが、見る人も少ない最上階にこれだけの美しい彫刻を施すなんて。昔の人々の美に対する追求心には驚くばかりだ。
今度は天井に目をやれば、このような細工が。ここは階段部分だが、柱の繊細な彫刻と優雅なアーチ天井の組み合わせが実に素晴らしい。
収蔵されている美術工芸品ばかりでなく、建物自体が一級の芸術作品であることがわかる。
ところで、ルーヴル美術館はかつて王宮だったと書いたが、800年前に建てられた中世においては、今と違って小さなお城だったそうだ。
「パリ物語」宝木範義著
この本によると、当時の城は中央に本丸の高い塔を置き、その周囲を正方形の回廊と
小塔や門でかこんだ中世式のものであったとのこと。
それを示す一大発見があった。1980年代から行われたルーヴル大改造の工事によって、中世ルーヴルの遺跡が発掘されたのである。
かつての塔の基部が残されていたのだ。シュリー翼の半地階で見ることができる。
そして、ルーヴルといえばこれを忘れてはならない。
ルーヴル美術館と地下で直結している「カルーゼル・デュ・ルーヴル」というショッピング街にある。昨年、小説や映画で大変話題になった「ダ・ヴィンチ・コード」を観た人ならすぐわかると思う。ストーリーの最後で重要な意味をもつ場所である。その影響なのか、この逆さピラミッドをバックに記念撮影する人がとても多かった。
これから外国を旅行する方々には、一度建物をゆっくりご覧になることを勧めたい。意外な発見があるかもしれない。