ジャズドラマー黒田和良さんのYouTubeチャンネルでお送りしている歌詞解説シリーズ!

 

今回のお題はアメリカが生んだ大作曲家のひとり、コール・ポーター(Cole Porter, 1891 – 1964) 作詞作曲、

 

 Love for Sale

 ラブ・フォー・セール

 

Songbird TAeKO最新アルバム「Here's to Life」の収録曲でもあります!

 

Here's to Life 絶賛発売中! 

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タワーレコード

 

Here's to Life こちらで少しお聴きいただけます↓

 

 

 

 

 

 

まずは、Love for Saleが登場するミュージカルについて。

 

The New Yorkers
 

コール・ポーターの作詞作曲による「Paris」 という名前のミュージカルが1928年の秋にNYのブロードウェイでヒットして、

 

 

続いて「我が愛する街ニューヨークを題材にしたミュージカルを作ろう!」てことになり、地方公演を経て1930年12月にブロードウェイに持ち込まれた作品が、その名も

 

「The New Yorkers」

 


英語ウィキペディア によると、プロデューサーのE レイ・ゴーツ(Edward Ray Goetz)と、有名な雑誌「The New Yorker」の表紙絵を長年手がけた著名イラストレーター、ピーター・アルノ(Peter Arno)  によるストーリーをもとにハーバート・フィールズ(Herbert Fields)が脚本、そしてコール・ポーターが作詞作曲。ハーバート・フィールズは、"The Way You Look Tonight" (1936),  "A Fine Romance" (1936),  "On the Sunny Side of the Street" (1930) などを作詞した著名な作詞家ドロシー・フィールズ(Dorothy Fields) のお兄さん。



「The New Yorkers」は禁酒法時代の上流社会の主婦から詐欺師、密造酒製造者、泥棒、売春婦まで、ニューヨークの人々を風刺した作品で、こちら↓のデータベースにあらすじが載ってました。

浮気、殺人、脱獄など、すごい内容・・。

 
 
 

 


ちなみに、ピーター・アルノが手がけた雑誌「The New Yorker」の表紙は私も昔から大好きで、最新アルバム「Here's to Life」のカバーデザイン作りの参考にもしましたニコニコ音譜 雑誌「The New Yorker」の表紙は、それだけで十分に研究価値ある秀作の連続。初刊1925年からピーター・アルノが亡くなる1968年まで101冊を描いたそうです。

 






The New Yorkersの劇中歌
Love for Sale

さて、ミュージカル「The New Yorkers」のオープニングナイトの翌日、新聞は Love for Sale について 'in bad taste' ' in the worst possible taste' 最悪な曲だ、と酷評。しかも売春についての率直な歌詞が入っているため当時の倫理観にあわず、Love for Sale はラジオでも放送禁止に。

 

苦情が多かったので、コール・ポーターはLove for Saleについては、白人女優 キャスリン・クロフォード(Kathryn Crawford)と他に白人シンガー3人が著名なミッドタウンの「ルーベン・レストラン」 Reuben’s Restaurant (6 East 58th Street, NYC) 前の路上で歌う設定から、黒人シンガーがハーレムのジャズクラブ「コットン・クラブ」(656 W 125th Street, NYC) の前で歌う設定に変更したそうです(あとの3人は同じ白人キャスト)。  資料: ウィキべディア jazzstandards.com

 

そのとき起用された黒人シンガーは、エリザベス・ウェルチ (Elisabeth Welch)。なお、「Stormy Weather」もこのかたの代表曲。
 

ラジオで禁止されたり、キャストが変更になったり、それがかえって話題をよび、翌年の1931年にはリビー・ホルマン(Libby Holman, ユダヤ系)の歌唱でヒットし、ポップチャート5位に。

 

白とか黒とかユダヤとか、誰の何が許されて誰の何が許されないか、このほんとうに微妙なアメリカの人種感覚・・

 

 

 

エリザベス・ウェルチ 
1930年から50年経った1980年のテレビ番組でのLove for Saleの歌唱。

これを聴くと、娼婦の仕事を描いた、もの悲しい憂鬱な曲だとわかります。

 

 

 

有名なエラのバージョンは、原曲に近いのですね

Ella FItzgerald のソングブックシリーズ




"Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book" (1956, Verve)

 


 

 

器楽ジャズ界では、Love for Sales をLatin&Swingで演奏しているこのバージョンが有名。よって、Love for Saleは派手に演奏されることが多いです。

Cannonball Adderley /  Miles Davis  "Somethin' Else" (1958, Blue Note)

 

 

 

 

では、いよいよ歌詞へ。
バースも読むと、情景が浮かびます。
いままでバースは歌ったことなかったですが、これを機にバース部分も覚えたいと思います。

のちほど、黒田和良さんとの歌詞解説動画のリンクもアップしますね!

 

 

 

Love for Sale
  Composed by Cole Porter 
  From the 1930 musical  “The New Yorkers” 
 

 

[Verse]

When the only sound in the empty street
Is the heavy tread of the heavy feet
That belong to a lonesome cop
I open shop

 

 空っぽの通りに
 孤独な警官の重い足音だけが響く時
 店を開く

When the moon so long has been gazing down
On the wayward ways of this wayward town
That her smile becomes a smirk
I go to work


 月がこの気まぐれな街の気まぐれなやり方をしばらく見下ろし 

 その笑顔がニヤニヤ笑いに変わるとき
 仕事に行く

 

 

[Chorus]

 

Love for sale
Appetizing young love for sale
Love that's fresh and still unspoiled
Love that's only slightly soiled
Love for sale

 愛、売ってますよ
 食欲をそそる若い愛、売ってますよ
 新鮮でまだ汚れていない愛
 ほんの少しだけ汚れた愛
 愛、売ってますよ


Who will buy?
Who would like to sample my supply?
Who's prepared to pay the price
For a trip to paradise?
Love for sale

 誰が買ってくれるかしら?
 お試ししてみたい人は?
 天国への旅をお金で買う覚悟がある人は?
 愛、売ってますよ

Let the poets pipe of love
In their childish way
I know every type of love
Better far than they

 詩人たちは
 子供っぽいやり方で愛を語ればいいわ
 私はあらゆる愛を知ってる
 詩人たちよりずっと

If you want the thrill of love
I've been through the mill of love
Old love, new love
Every love but true love

 愛のスリルが欲しいなら 
 私は愛の苦難を経験してきたわ
 古い愛、新しい愛、
 すべての愛、真実の愛以外はね


Love for sale
Appetizing young love for sale
If you want to buy my wares
Follow me and climb the stairs
Love for sale.

 愛、売ってますよ
 食欲をそそる若い愛、売ってますよ
 私の商品を買いたいなら
 その階段をのぼって付いてきて
 愛、売ってますよ

 

 

 

歌詞解説動画、こちらにアップされました!

 

 

 

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