ブラッセリーはミドル用か
外来文化は、最初に必ずハイエンドなところから導入が始まる。私は全国25県程度はフレンチ/イタリアン/ワインバーを食べ歩いてきたが、どの県にも、数十年前から、一軒はフレンチはあるのだが、全て、接待用やお見合い用結婚式用など、ハレの日のものだ。
だから、日常使いの食堂フレンチが経営が成立した時、その街にようやく根付いた、と、言える。
ここも、意図的に狭く作った16席のお店は今日もいっぱいだ。
★
ところでここで気づいたのだが、普通、フレンチやイタリアンの新しいお店というと、間違いなく若い女性陣だらけ(男性の客は私だけということも珍しくない)なのだが、ここでは、私の年齢でも平均か、少し私のほうが若いんじゃないかなと思うような、しかもちゃんとカップルの客層だった。40台、50台の夫婦が、(ちょっとだけおめかしして)手をつないで入ってくる風景は相当にいい感じです。
これは面白い現象である。
もしかすると、15年前からブラッセリーが定着している東京でこの楽しみを知ったミドル層が、やっと長崎にも出来た、と思ってきているのだろうか?
もしくは、あまりに色気が無いから(食堂なんだから、それがアジなんだが)、若いカップルは選びにくいのか?
ま、いずれにせよ、流行っているから、まあいいか!
あ、勿論、私は、オヒトリサマ、ですが。
★
今年になって、休みが出来たら何をするかというと、「何もしないという楽しみ」を選ぶようになった。
去年までは、ラグジュアリーホテルに止まるのを楽しんだり、ただ雲の上を飛びたいという意味だけで飛行機に乗ったり、バーンと日本で考えうる最高のディナー&ワイン楽しんだりしていたが、
例えば、今日は、
秋の風を感じながら、先週買った、ピューリッツアー賞受賞のノンフィクション「倒壊する巨塔~アルカイダと9.11への道(上・下)」を読むだけで、いい。
そのあと、これまでとちょっと調理法を変えたマーボー豆腐を作って食べれば、いい。
★
上記のようにこころが萎縮した、去年末から今年前半に僕を同時に襲った、3つの理由。
秋、最強度(Grade-2)のステロイド剤を家に常備しておかないといけない持病(Mucha-Habermann症候群)をもってしまい何かが決定的に変わったという感覚。
冬、Love Affairの本当の終りを、"実感"し、憧れという名の妄想の霧が、現実という疾風に吹き飛ばされ、自分の中でその時代が終わったという認識。
春、サブプライムで自分の会社グループも私含めて全管理職一律100万円以上の減収。転職前の会社の昔の同僚がいる福島の会社は民事再生法適用で8月末に半数が解雇、と、衝撃が続く日々。
自分を大事に思ってくれる人が居ても、一緒にならないかとは、いえそうもなくなってしまった。
★
またいつか、「雲の上の空が見たいから」という、ただそれだけの理由で、ふらっとその日にフライトできる日が、来るといいなぁ、そう、思ったりは、する。

