こうして
卯月先生と私が
嘗て2人切りで経験した
なんとも云えない様な
不思議な感覚を、今まさに
お互いが再び共有して居る
と云う事も有ってか、なんだか
親近感や共感度が更に
増々、高まって来た様な
感じがして居ました。

そして
この様に2人で
話しを続けて居ると、更にあの時…
私が高校生時代の…あの時に
感じて居た様に、卯月先生と私は
やはりお互いに、こうして
いつまでもずっと、このまま
一緒に話しをして居たいと云う
感情が湧き上がって来るのでした。

この様に
私達が以前から
こんなにも気が合って居た事や
それ以上に、何よりも
お互いの事を本当に心から
信頼し切って居た事などが
鮮明に思い出されて来ると
その度に、私も卯月先生も
それこそ驚きや興奮と共に
嬉しさや喜びで、完全に
高揚しながら、なんとも堪らず
2人共、ずっと笑顔のまま
だったのでした。

ここまで来ると
もう、私達の間には
割り込める様なモノなどは
一切、全く何も無いと云える程
本当に私達の絆は太く繋がって
居る様にも感じられました。

そして
実際、何よりも私自身が
この卯月先生の事を本当に
『好き』なのだと、この時
改めて認識したのでした。

そして
それは、卯月先生自身も
きっと同じ事で有ると
この時の私には、それこそ
ハッキリと感じられました。

ところが
私達の感じて居る
この様な『好き』と云うのは
まるで心…魂が一つになった様な
そんな感覚で有り、つまりそれは
お互いの体が、それぞれ
別々で有りながらも、まさに心は
共通して居ると云った感じで
だからこそ、それによって
相手の思いや考えて居る事が
何のゴマカシも歪曲も無しに
それこそダイレクトに
お互いの魂に伝わり、そして
それが、まさに感覚として
入って来るのでした。

「天田…俺はな……
ここまで…こんなにまで…
気持ちが合う様な人間は、
今までには居らんかったゾ!
しかもな…実際、血の繋がりの有る
親や兄妹なんかよりも、
もっと、ずっと…他人のお前の方が
全く俺の事がよく分かると云うか…
なんだか深く繋がって居る様な
感じもして居るんだ……」

「せ、先生…私もです…
私も、実は、そうなんです!
本当に…一緒に暮らしてる
自分の家族や、友達なんかよりも、
ずっと、ずっと、先生の方が
気持ちが通じ合う…って云うか…
とにかく、先生と居ると…
なんだか、まるで自分自身と
一緒に居るみたいな…
そんな、感じなんですよね……」

「おぉ…天田、本当にそうだな…
まさに、その通りだ!
しかし…全く…不思議なモンだなぁ……
…あ…それじぁ…これが、アレか?
つまり『人を好きになる』とは、
こんな風に感じると云う事なのか…?」

「え?…ん~~…まぁ…
ソレも有るって云えば…
有ると思いますけどね……
だけど、実際は…
ソレだけじゃぁ無いんですよ…」

「ほぅ…それじゃ…
他には…一体、何が有るんだ?」

「ん~~…なんて言うか……
そうですねぇ……やっぱり…
一体感かなぁ?…なんか…ソレも、
もっと完全に、一つになる様な
そんな感じですかね……?」

ここまで
ずっと、卯月先生と2人で
話しをして居る内に、なんだか
私の中でも段々と変化が起こって
来て居るのが分かりました。

と云うのも
初めはそれこそ
単に『人助け』のつもりで
卯月先生にとっては可なり難しい
問題で有る『人を好きになる』
と云う事を、なんとか少しでも
理解して貰おうと、ただ、ただ
それだけを考えながら
一心に卯月先生に対して
関わって来たものの、ところが
それが、いつしか気が付けば
そんな私自体が、まさに
『ミイラ取りがミイラになる』
と云った具合いに、この純粋で
真っ直ぐで真摯な卯月先生の事を
本当に好きになって居た様でした。

それは
やはり…どんな事に於いても
この超天然と云える
まるで天然記念物の様な
卯月先生を相手にするとなると
それこそ、取って付けた様な
下手な小細工やゴマカシでは
全く何の役にも立たず、結局は
こちらも真っ直ぐに、しかも
可なり本気で関わるしか
他にはどうにも遣り様が無い
と云った状況下では、ある意味
私自身のこの様な変化も
致し方無い事だと思われました。

そして
実際、これほど純粋…と云うか
或る種、恐ろしいくらい
真っ直ぐな人間が、この世に
存在して居る事や、しかも
更には、それが子供では無く
完全に大人の男で有る事自体も
衝撃的な事でしたが、しかし
なんと云っても、この私自身が
生まれてからこの方、全く
その様な人間には、一度たりとも
遭った事が有りませんでした。

ところが
そんな事以上に
この卯月先生と一緒に居ると
こちらの心まで…いや、魂までが
この卯月先生の波動に同調してか
それこそ、私まで真っ直ぐで純粋な
気持ちにもなって来るのでした。

しかし
そうなると、更には
先程、私自身が、あんなに
心配して居た舞島先生の事も
本当に、全く気の毒な事だとは
思いましたが、やはりそれでも
舞島先生には諦めて貰うしか
仕方が無い事の様にも
感じて居ました。

それと云うのも
とにかく私と卯月先生の2人が
これ程お互いに深く繋がって
居ると云う、この事実を考えると
舞島先生にとっては、例え
どの様に困難な事で有っても
やはりそこは、この事実を
受け入れて、理解や納得をして
貰う他は無いと思えたのでした。

そして
また一方、私自身の彼氏…
喜久雄の事に就いても
色々と考えて居たのですが
しかし、こちらはそう簡単に
スンナリと理解して貰うのは
さすがに喜久雄の性格を考えると
多少なりとも難しい事とは
思いましたが、しかしそれでも
やはり、私との結婚の事は
諦めて貰うしか無いとも
考えて居ました。

この様に
早くもこんな現実的な事柄が
チラチラと脳裏に浮かんで居た
私でしたが、ところが、先々の
しかもその様な重大な事までを
考えて居た割には、この私達…
卯月先生と私の間には、実際
なんと云うか…現実的な実体…
と云う様な、まさしく直接的に
実感出来る様な関係自体などは
全く有りませんでした。

それこそ
ここで云える事は
私達2人がお互いに好きだと
感じて居る事が、実際それは
本当にお互いの心や魂が真から
心地良く感じられると云う事で
それ故、お互いが純粋に好きだと
実感して居ると云う事…
まさに事実としては、唯一
それだけだったのでした。

「天田…その…お前の云う、
一体感…って云うのは…
つまり、どんな事なんだ…?
だってな…先程から、俺達には
お互いの気持ちが本当に
スーッと入って来て居るし、
だから、どんな事でも分かる様な
気がするんだがな……
コレは…全く…まるで俺達が
一つにでもなった様だったからな…
と云う事は、これが…その、
一体感って事じゃぁ無いのか?
それとも、なんだ?……
もっと、他に…一つになる
必要が有るって事なのか…?」

「まぁ…そう…簡単に言えば…
そう云う事ですが……
えーと…先生…!
…ところで…先生は…本当に…
私の事が…好きなんですよね?
つまり、他の誰でも無く、
この私が好きって事ですよね?」

「あぁ、そうだ、勿論だ!
俺は、お前の事を本当に
好いて居るんだ!」

「そうですか……
じゃぁ…それなら……
一応、念の為に…聞きますけど……
先生は…その……
私を抱きたい…と思いますか?」

「ん?…ダキタイ?…
…なんだ、その…だきたいとは…
一体、どう云う事だ…?」

この様な事を
イキナリ2人で話し出しても
不思議と今回は、どこからも
驚愕の声がしたり、慌てふためいて
止めに入る者も居ませんでした。

それは
先程からこの部屋に居るのが
私と卯月先生の2人だけだった
と云う事で、それと云うのも
どうやら私と卯月先生が殊の外
真剣に2人で話し込んで居た為に
きっと、蒲田と白衣姿の若い教師が
遠慮して声を掛けずに、多分
随分前に2人してこの部屋から
そっと出て行ったのだと
思われたからでした。

しかしこれで
本当の意味で、それこそ
全く誰にも気兼ねする事無く
私達2人が思う存分、お互いに
話しをする事が出来ると云った
状況になり、そう云う意味では
返って、増々安心して話しを
続ける事が出来ました。

「あ、そうか!
…そうだった…先生には、そんな…
「抱きたい』なんて言っても、
全く通じ無いんだっケ?…
え~と…ソレは…つまりですね、
性交渉…セックスの事ですよ!」

「な〜んだ…そうだったのか…
それなら、最初から
ちゃんと、そう言わんか…!?
…ダキタイ…なんぞと言うから…
こっちには、サッパリ
分からんかったゾ…」

「はぁ…やっぱり、そうですょね……
えっと…それで…どうなんですか?
先生は…私とセックス、
したいと思いますか…?
って云うか…そもそも…
大体…私に対して、
そう云う気持ちになりますか?」

「ふむ…そうだなぁ…
そう言われると…まぁ、別に
そんな気持ちにはならんかなぁ…?
でもな、天田…そんな事が、一体、
どんな関係が有ると言うんだ?」

「それが大有りなんですよ、先生!
だって、実はですね…大概の人は、
相手を本気で好きになると…
それに連れて、その相手とは
セックスしたいと云う様な
気持ちにもなって来るんですよ…!」

「ふ〜ん……なるほどな…
そう云う事なのか……
ふむ…それでは…
お前はどうなんだ、天田?
お前は俺と、そのセックス?を
したいと思って居るのか?」

「ん~~?…そうですね~
いえ…別に…思っては居ませんね…」

「アハハハハ…
なんだ、そうか…
お前も、俺と同じなのか!」

「アッハハハハ〜
…ホント、そうですね、先生!」

私達は
こんなトコロでも
気が合う事が分かると
なんだか思わず嬉しくて
2人で笑い出して居ました。

「だがな…天田……
俺は、お前とソレをするのは、
別に嫌では無いゾ…だから
お前が、もしそうしたいのなら、
俺は構わんが…」

「ン?…そうですねぇ…
私も別にイヤでは無いですけどね…
もし、先生がそうしたいなら…
私も、別にいいですよ…」

「なんだ、そうか…ソレも一緒か…?!
全く、同じだなぁ…アハハハハ〜…」

「アッハハハハ〜!
だ、だから…ソレじゃぁ、
ダメなんですよ、先生!」

「ダメ?…何が…ダメなんだ…?!」

「だって、先生…本当に相手を
好きになるって事はですよ…?
そりゃあ、もう
ホントにどうしようも無く、
そう云う気持ちが強くなって来て…
まぁ…特に、男の人だったら
堪ら無い程そうしたくて、
しょうが無くなるんですからね…!
それにね、先生…
いくら私達がお互いに
好きだと云う気持ちが有っても…
コレじゃぁ…いつまで経っても
堂々巡りで、埒が明か無いし、
そもそも…本当の恋愛とは
言え無いって事じゃ無いですかぁ〜?!
つまり、相手とセックスを
したくなるって云うのはですね…
お互いの心だけじゃ無くて、
この体も全て…それこそ、
身も心も、何もかも…一つに
なりたくなるって事なんですよ!」

「ほぉ…なるほど……
そう云う事なのか…!?」

些か感心した様に
こう答える卯月先生を見ながら
それでも、なんだか本当に
分かって居るのかどうかは
怪しいモノだと、私自身
心ではそう感じて居ましたので
それと共に、やはりここは
他の面からも色々と卯月先生には
アプローチをしてみる必要が
有るとも思えました。

「そうだ!…あの…え~と…
私には今現在、彼氏が居るのを
先生は…知ってますよね…
それで…つまり、私とその彼氏は、
勿論、お互いにそう云った
気持ちにはなるので、やはり
心も体も一つになる為に…
当然、セックスするんですよ…
先生…コレ、分かりますか?」

「ン?…まぁ…ナ……
分かる様な…気もするが…
だがな…それが一体、
なんだと言うんだ、天田…?」

「はぁ〜?…ソ、ソレじゃぁ…
ちょっと、聞きますけど……
あのォ…先生は…そもそも、
私が彼氏とはセックスを
してると聞いても、全然、
ヤキモチを焼かない?
って云うか…全く、そんな気持ちさえ
起こなら無いんですか…?」

「あぁ…別に…そんな気持は
起こらんがなぁ…」

「フム…やっぱり…そうなのか……
だけどですね…先生…
私の彼氏が、もし
今日の先生と私の事を知ったら、
それこそ、気が狂わんばかりに
ヤキモチを焼いて、きっとココに
怒鳴り込んで来ると思いますよ…!
だって、ソレはですね……
ほら…つまり、自分の彼女である
私の事を、先生に取られてしまう
と思うからなんですけどね…
まぁ、だから…人を本気で
好きになるって云うのは、
ある意味、正気の沙汰では
居られ無くなるって
事でも有るんですよ……」

「ふ〜む…そう云うモンなのか…」

ここまで
色々と話してみても
やはり、卯月先生には
『人を好きになる』と云う事の
根本で有る、人間としての
熱い想い…つまり『情愛』の様な
感情が理解出来無いらしく
どうも、ピンと来ない様子で
しかも、恋愛期には必ず起こる様な
『ヤキモチを焼く』と云う
ある意味、男女間には有り得る
基本的な嫉妬の感情さえ
湧いて来ないのでした。

そして
そうとなれば
この様な私達2人の不可解な
関係性よりも、まさに
一見、ゴッコの様にも見える
小学生同士の恋愛の方が
それこそ、遥かに勝って居る
様にも思えたのでした。





続く…



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