同性婚に反対する意見の中で、「子どもを作れないのに結婚の制度的優遇を求めるのはおかしい」という主張を目にしました。これ以外の反対理由もあるんでしょうけどね。私が反対意見の中で最も目にしたのはこの意見でした。(意見として多いというより拡散されてるという印象)
そもそも結婚って“制度的なメリット”(この記事では税制優遇等指します)をだけを目的にするものなんでしょうか?

結婚の理由は人それぞれです。
心理的な安心、社会的承認、法的な保障、共同生活の仕組み、愛情。そういった「優遇以外の価値」もあるからこそ、多くの人が結婚を選びます。
現代の異性同士の夫婦も優遇目的だけで結婚しているわけではないと思います。
今回は、冒頭の主張――
「子どもを作れないのに結婚の制度的優遇を求めるのはおかしい」という考え方について掘り下げてみます。

「子どもを産まない異性夫婦はOK」なのはなぜ?
矛盾が浮かぶのはここです。
•子どもを産まないと決めている夫婦
•身体的等の理由で子どもを持てない夫婦
この人たちは制度上問題なく結婚でき、税制や社会保険の恩恵を受けています。それが問題とはまったくもって思いません。
ただ、本当に「結婚による優遇は子どもを産むため」だと考えるなら、この夫婦たちが優遇を受けている現状にも異議が出るはずです。しかし、そこは問題視されませんよね。つまり現実の制度は、生殖を結婚の必須条件にはしていないということです。
それにもかかわらず、同性カップルに対してだけ「子どもを産めないからダメ」という理由が持ち出されています。

仮に、「結婚制度の優遇は子どもを増やすため」と考えるなら、現在の優遇制度は少し外れています。
そういう目的ならば、本来優遇すべきは、結婚している人ではなく子育てをしている家庭です。実際、配偶者控除より「子どもを持つ家庭への支援拡大」や廃止された「年少扶養控除」の復活の方が、目的に合っています。
子がいる家庭のみ配偶者控除や社保扶養等の優遇制度を適応する等ならば目的に近い優遇だと思います。
結婚制度が「子孫を残すためだけのもの」なら子どもを持たない夫婦が優遇され続けている現状は説明できません。(だから削れと言いたいわけではありません。)
ただ、同性カップルに対して「生殖できないから結婚は認めない」という言い分だけが支持されていることには、やはり違和感があります。

まとめ
•そもそも結婚は「制度的優遇のためだけにするもの」ではない
•子どもを持たない異性夫婦が優遇されている時点で、同性カップルだけを「生殖ができないから」という理由で制度から除外する論理は成り立っていない
•結婚の優遇の目的が少子化対策なら、優遇すべき対象は“結婚”ではなく“育児”
個人的には、税制や社会保険の優遇がなくても、「家族として認められる権利」が制度として存在してほしい。(異性夫婦と同じように認められるのが理想ではあるけどね)
同棲や事実婚、パートナーシップでは、まだまだ「家族として扱われない場面」が多い。手続き上、「家族であること」を求められることは多々あるし…。
