香乙子が昨日から夜中のオンライン、頑張っています!



本来でしたら昨年の今頃、ワシントンにいましたし、今年も行くはずでしたが…



やはり帰国してから2週間の隔離があったり、香乙子の場合は海外留学に一度も行ったことがなく、経験が全くないなか、コロナ禍で行かせてしまうのは良い選択ではないと判断して、今回はオンライン参加となりました。


もし香乙子がコロナ前に小さな頃から短期留学を繰り返していたら、私も「いってらっしゃい!」となりましたが、私だけではなく、ご家族も、香乙子本人もオンラインを希望して、今回(夜中から朝ですが!)日本で受講することになりました。


以前にもお話しましたが、香乙子はくみ先生が以前指導していたカルチャーセンターから移籍してきた生徒で、とにかくレッスンは休まずマイペースに週2-3回だけ通い、コンクールなどには一切参加しないものの、マイペースに通ってきてくれていました。


うちのスタジオは


「皆がコンクールにエントリーしている」


みたいなイメージが未だにあるみたいなのですが、それはもう昔の話です。改名してから、なおさら昔のうちのスタジオの面影はないのですが、どうやら世間のイメージはまだまだ定着しているみたいです。まあ当事者でないとわからないですよね?そんなものです。

実は現在、週1-2回しかレッスンに通ってきていない子供たちもいますし、コンクールにエントリーしようとしている子は数人しかいません。

しかし、レッスンだけはしっかりと受けていますし、それぞれのご家族が考える「バレエとの向き合い方」もバラバラではありますが、マイペースですし、無理にコンクールに出場する事は一切ありません。

私も全国各地で指導をしてきたり、海外のバレエ学校を見てきた結果、いまの指導法にたどりつきましたが、昔は本当に試行錯誤でした。

子供や親御さんから

「コンクールにどうしても出場したい」
「どうしても留学したい」

と望まれたら、教師なら当たり前に、その望みを叶えていこうと必死で指導します。

しかし、現実問題を言うと、全員が全員コンクールや留学にチャレンジすれば幸せか?と言えば、そうではなかったりするのです。

人間には「器」と「時期」がある、と私も最近ようやく理解できるようになりました。

「器」や「時期」とは身体面だけではなく、精神面もありますし、本人だけではなく、親御さんも該当します。

いくら本人が身体面が強くても、精神面が幼く、また親御さんも子離れしていなかったり、家族の誰かがバレエに対して全く理解がないところで無理してコンクールや留学にチャレンジしても、本人が苦しむ場合があるのです。その悲劇は日本に限らず、世界各国で耳にします。

たいていは親御さんや指導者が焦ってしまい、子供がその熱意と真逆で冷めてしまうパターンだったり、その逆で子供の熱意を周りの大人が認めないパターン。いずれにしても時期が整っていません。

ですから本人が自立して、何でも受け入れられる「器」が大きくなり、色々な困難を親御さんのサポートなしに(しかし影で全面的に応援する)解決できる「時期」に達した時が

「コンクール」「留学」を無理なくチャレンジする時期になるかと思います。

現在海外にいる3人、特に黎水那と蒼士にいたっては中3の秋から日本を離れていますが、それは彼らに「器」や「時期」が到達していたからなのであり、全員が全員ではない、と思っています。

彼らは日本を離れる前から既に英語も自炊も問題なく出来た2人でしたし、親御さんも本人たちも同年代の男子と全く比べず、過酷なコンクールにエントリー出来るだけの精神的な芯の強さが備わっていました。


指導者でしたら、だいたいコンクール前のレッスンの集中具合で


「あ、この子はもう時期に達している。これなら留学出来る」


と見通せますよね?しかし本人にはそれを絶対言わないほうが賢明。


なぜなら本人に変な期待を持たせていたとしても、親御さんにその意志がない場合があるのです。


子供が準備が出来ていても、親御さんがその時期に達していないと悲劇です。


ですから子供の成長は


「子供ー親ー教師」


のトライアングルの整う時期が一致する必要があり、その時期は人それぞれなのです。


香乙子のコンクールデビューは高3でしたし、別にそれが遅いわけでもなく、香乙子の「時期」がたまたま高3だっただけです。



もし焦っている方がいるとしたら、私は断言出来ることがあります!


「絶対に人と比べて、無理矢理時期を早めたり、器を力ずくで広げる事は、一切しないで見守ってあげてください」


と。


人間には「器」と「時期」があり、それは無理をしなくても、いつか必ず整っていきますので。


左右木健一