遂に「コンクールに向けて」最終回のPart 100!

今までお読み頂いた皆様方に、心から感謝申し上げます!

最終回前に、色々と質問フォームに寄せられたSOS...あまりコンクールには関係のない事が多くて。ですから、質問に関しましてはまた形式を変えてお答えしようと思います。

さて…何を書きましょうか?

もう書き尽くしましたし、質問にも答えるだけ答えたつもりですが…

とりあえず、強調したかったことをまとめておきます。ここで書くことは、今まで私がコンクールの審査員室で実際に審査員たちから出てきた意見を元に書いております。参考になれば幸いです。


1 コンクールで受賞したからプロになれるとは限りません。バレエ団のオーディションに小学生の頃に頂いた賞状は、さほど役に立たないです。役に立つのは、それまで培ってきた経験。ですから受賞の有無は、その後のバレエ人生において、特に影響はないと思って下さい。

これは日本に限らず、世界中で誤解されている部分だというのが判明しました。指導者が何百回、何千回と説明しても、親御さんが理解しない部分でもあるようです。

マスコミが「〇〇コンクール受賞が、プロへの登竜門」という報道をされ続けている限りは、この問題は解決されないでしょう。

実際「プロへの登竜門」的なコンクールもあります。しかし「バレエコンクール」と名前のつくコンクール全てが「プロへの登竜門」ではないんです。その辺の誤解が解ければ、受賞出来た、出来なかった、で一喜一憂しなくなると思います。

何度も書きますよ!

「コンクールは通過点」

一刻も早く誤解が解けて欲しいです。


2 バレエが日々進化しているように、コンクールの審査基準も流動的になりつつあります。昔はトウシューズを小学低学年が履いても何のおとがめもなかったですが、今は大問題に発展しかねない。しかし全世界の国の法律で「11歳まではトウシューズを履くべきではない」と定められているわけではない以上、既存するコンクールの審査基準が今すぐに改正するわけにもいかないだろうし、移行期間を要するでしょう。

この問題は「時間が解決する」と願いたいです。

現時点では「論争」とまでいかないものの、混乱している部分もありますし、今までの歴史を全否定するわけにもいかない事情もあるはずです。

その時代、その時代で「これが、今、現時点においてベスト」だったわけですし、しかし問題点は改善されていくべきだからこそ、色々な意見が出てくるのは素晴らしいことだと思います。

しかし、決して誰かが誰かを裁くような強引なやり方で変革をするのではなく、柔軟な姿勢を保ち、スマートに、品格を損なわないように、時代の流れに沿えることが出来たら嬉しいですね。


3 youtubeにより、誰でも情報を収集出来る一方で、観る側の価値観次第でまるで伝言ゲームの如く、本来あるべき振付が正しく継承されるどころか、全く違う方向を向いている場合があります。これは指導者の責任もありますが、昔のような「師弟関係」が気薄な今、指導者の意見が「絶対」という価値観も薄れてきていて、個人で創意工夫してコンクールにエントリーする場合もあるでしょう。しかし個人が「アマチュア」である以上、動画の真似こそ出来ても、その振付の意図とするもの、役の解釈などは指導者無くしては決して完成するものではないことを理解しなくてはいけないです。

この「振付問題」も世界的に問題視されています。審査員も(全員が全員ではありませんが)YouTubeをチェックしています。ですからどの動画を真似しているのか、どこから振付を真似したのか、踊りを見たらわかる審査員はわかります。

振付を「動画で覚える」作業は、プロのバレエ団でも日常的に行われます。しかし最終的にはバレエマスターの指導が必ず入ります。

ここが「プロ」と「アマチュア」の動画の使い方の差です。

YouTubeが「指導者」にはなり得ないです。

平面の映像だけでは、100%真髄は理解出来ませんし、あくまでも「参考」だけに留めるべきです。

以前も書きましたが「〇〇コンクール第1位」の映像の振付が正しい、とは限らないんです。振付が間違っていたとしても、可能性や伸び代を評価して「1位」と評価されただけであり、振付を評価したわけではない。その辺の誤解も解けて欲しいです。


私自身がコンクールにエントリーしたこと(予選落ちも、受賞も経験しました)生徒たちがエントリーしたこと、審査員を務めるようになったこと、裏方をお手伝いしたこと…

この経験の1つでも欠けていたら、多分ここまでコンクールについて書くことはなかったと思います。

そして現在進行形で審査員を務めさせていただいているおかげで、様々な情報がリアルタイムで収集できる環境にあるのは、非常にありがたいと思っております。

この「コンクール」シリーズは終わりになりますが、また違った形でコンクールについては書き続けたいと思います。

バレエの世界に限らず

「Life is not fare」

の部分はあります。皆が皆、平等に、幸せになれるわけでない。

真面目に努力を積み重ねたから、それが結果に繋がるとも限らない。

権力によって、何かが覆される場合もある。

バレエ団に入団したら、毎日がコンクールみたいなものです。

人に評価され、貶され、羨ましがられ、妬まれ…

そんな日々を過ごしていくうちに、色々なことが見えてきます。

すべては「一過性」のものであり、その渦に飲まれるか、自分を見失わないか、は自分次第。

コンクールはそれを学べる機会ですし、そのコンクールが「絶対必要」でもなければ「絶対に要らない」わけでもない。

あくまで「活用する」

ぜひ覚えておいて下さいね。

最後になりましたが、ご好意で全てのブログをまとめてくださったいとうさちさん 

本当にありがとうございました!

左右木健一