<Q>

いつも、左右木先生のブログを楽しみにして読ませていただいております。

今回、思い切って投稿させていただきました。よろしくお願い致します。

小4の娘が、小さい頃からバレエが大好きで、バレリーナを夢みて頑張っていました。小学生にもなると週4回レッスン、学年が上がるとともに、増えていき、小3にもなると週6回の毎日、二レッスンをしておりました。

それが、小3で初めて地方のコンクールに出場することになり、初めて知ったのですが、振り付けが正規の振り付けでは、なかったということです。親の私もバレエは、まったくの初心者で、私も娘も所属先の先生を信頼していたので、どうして先生が正規ではないフロリナを躍らせたのか、わかりませんでした。ただ、初めて出場したコンクールだったからかな、と思っていました。
しかし、出場していたほとんどが皆、正規のバリエーションでした

そこで、左右木先生に教えていただきたいのですが、振り付けで、正規のものではない場合、コンクールでは、減点はありますか?
それと審査員の先生方はどのような印象を持つのでしょうか?




<A>

「振り付けで、正規のものではない場合、コンクールでは、減点はありますか?」

これは…非常に悩ましい質問ではあります。

ただはっきり言えることは、国際バレエコンクールでは不利です。

例えばマリインスキーで踊られているヴァリエーションをRADメソッドで踊るのは、ご法度です。ロシアとイギリス、スタイルが全く違いますから。

かと言って、英国ロイヤルバレエ団の振付がRADメソッドか?と言われたらそうとは言えません。これはロンドンで働いている先生に直接伺って判明したのですが、RADのシラバスによく出てくるものは、あくまでレッスンのスタイルであり、それがヴァリエーションにあまり直結していない、ということらしいです。

振付で減点…というのは、ないようにしたいのですが、例えば音楽コンクールで、楽譜に書かれていない装飾音が出てきたり、弾かなくてはいけない音が省かれていたら?減点ですよね?

バレエも同じではないでしょうか?

残念なことに、バレエは音楽の世界と違い、楽譜がございません。もちろんベネッシュノーテーションのような舞踊譜は存在しますが、それを解読できるのはノーテーターという世界でも数少ないエキスパートしかいません。

ですから、バレエの振付は

「人づて」
「動画」

で伝えられ、その解釈が伝言ゲームのようにとんでもない方向に行く場合がある…怖いです。

何しろ「白鳥の湖」初演の際は、バレリーナがチャイコフスキー以外の曲をどこからか持ってきて差し入れたり「パキータ」にいたっては、パキータと全く関係ないバレエから、バレリーナたちが勝手に持ってきたヴァリエーションが踊られたり…もう無法地帯(笑)

ですから、バレエのコンクールも同じかも知れません。原型が何か?をはっきり示すものがなければ、振付は指導者の好みになるかも知れないし。

私がこのブログで

「この振付は…」とか
「この音の取り方は…」とか
「この役の解釈は…」とか

残念ながらお伝え出来ません。ですから全国各地に出向いたとき、お招き頂いた先生方に聞かれたら教えますが、聞かれない場合は、自分からはお伝えしません。そこまで私が何かを発言する権限はないからです。

ただ、私個人として、絶対に避けて欲しいことがあります。

もし先生に直接

「このYoutubeの動画を見て、振付を覚えてね」

と言われた場合、それがアマチュアの子供のコンクール受賞動画の場合、その振付は絶対に真似して欲しくないです。振付も近年海外の先生から指摘を受けて、改善されたものの、未だに「日本風にアレンジされていて、良いとは言えない」と指摘されてしまっています。

特に学年が低い場合は、その子に合わせて振付が変わっている場合もあります。そして

「〇〇コンクールで1位だったから、振付が正しい」

とは限りません。以前にもお伝えしたとおり、審査員が満場一致で1位を認めたわけではない場合もあります。特に振付に関してかなり間違いがあるものの、踊っている子の「将来性」を高く評価してあげた場合、完成度としては審査員も高く評価出来なくても、参加者の将来を考えてあげるべく、得点を高く付ける(しかし、トータルクオリティは納得はしていない)場合もあることを覚えていてください。

結論は…

振付で減点、ということはないように審査員も配慮していますが、間違った振付や不必要なアレンジ(それが海外の先生に指摘される「日本風」)メソッドのミックスはあまりプラスにはならないことは覚えておいてくださいね。

左右木健一