今日の質問は…小学6年生からです!
待ってました!参加する子供たちからの質問は大歓迎ですよ。

では、いきましょう!


<Q>

左右木先生、こんにちは!
小学6年生、12歳、女子、バレエ歴7年、コンクールに出場するようになって3年です。

今年の夏、サマーインテンシブに参加することができました。参加する前から気になっていましたが、帰ってきてからは今までよりも気になってモヤモヤしています。

ワガノワメソッドをたくさん教わってきました。全く知らなかったので、すごく勉強になったし、いろんなことを知ることができて、残ってレッスンしたいと思いました。

日本に帰ってきてVaを練習したのですが、教わったことをVaでもやってみると、アラベスクの形やアームスの通り道、顔のつけ方など、今までとは全然違う踊りになりました。良くもなっていたし、悪くもなっていたみたいです。

いろんな所が今までみたいに外れてなくて綺麗になっているように思うけれど、今までみたいに大きくも踊れてなくて、コンクールで踊った場合にはどうなのかな??と思うようになりました。

留学先では、脚を高く上げたり、おもいっきり跳んだり、たくさん回ったりということは全くしませんでした。

お姉さんやお兄さんのクラスを見学しても、プロの人が舞台で踊っているような身体の使い方はしていませんでした。

海外のバレエ学校を卒業してソリストや主役を踊っている人達の踊りをみると、バレエ学校の上級生よりももっともっと大きく身体全部を使って踊っているようにみえます。

ちゃんと基礎ができているから、大きく動いても大丈夫なのですか

舞台の上もレッスンも、基礎は忘れてはいけないけれど、役を表現すると自然に大きくなるから、プロの人のような動きになるのですか?

私が役のことを考えて踊ると、手が高く上がりすぎたり、体のポジションが外れてしまって、教わってきたワガノワメソッドとは全く違う動きになってしまいます。

基本を忘れず役になれるようにレッスンを頑張れば、プロの人達や、海外や日本の同じ年の子たちが踊っているみたいに、しっかり身体を使ってVaを踊れるようになりますか?

教えてください、お願いします。

<A>

この素晴らしい質問!しかも小学6年生、12歳!

まず、結論から先にお答えしますよ。

「基本を忘れず役になれるようにレッスンを頑張れば、プロの人達や、海外や日本の同じ年の子たちが踊っているみたいに、しっかり身体を使ってVaを踊れるようになりますか?」

はい!踊れますよ。しかし、今の年齢、12歳でプロみたいに踊れる、とは思わないで下さいね。そして、そんな風に踊る必要…全くないですから!

…と、いうのは私個人の意見です。全員の指導者、審査員がそのように感じているか、は別ですからね。





さて…ここから話、長くなります。覚悟してお読みください。





12歳の彼女。

私も実は彼女を知ってます(実名で投稿してくれて良かったです!)

とても舞台で輝いていて、将来的のある優秀な生徒さんです。

「日本に帰ってきてVaを練習したのですが、教わったことをVaでもやってみると、アラベスクの形やアームスの通り道、顔のつけ方など、今までとは全然違う踊りになりました。良くもなっていたし、悪くもなっていたみたいです」

これは短期留学から帰国した子供たちが、真っ先にぶち当たる「壁」です。

日本では毎日のようにヴァリエーションをしていたのが、留学先では基礎、基礎、基礎。

当たり前に基礎が大事なことは理解していても、留学しなくて毎日日本で練習していたお友達は、何の苦労もなくヴァリエーションを踊っている…

留学先ではジャンプもピルエットもほぼ練習することなく、ひたすらターンアウト。

だから今までの感覚とは違う…

留学先から帰ってきた生徒に

「なんか下手になったんじゃない?」

と言う教師もいる話はたくさん聞きます。

そして、国内コンクールを見てみると、基礎から外れて、回ったり、跳んだり、派手な子が(毎回とは言わないが)上位入賞している…

「基礎が大事とか言ってて、結局審査員は基礎を無視した踊れる子を受賞させるのですか?」

というご意見も実際聞きました。そして残念ながらそのような基準のコンクールも…ございます。

「海外のバレエ学校を卒業してソリストや主役を踊っている人達の踊りをみると、バレエ学校の上級生よりももっともっと大きく身体全部を使って踊っているようにみえます」

この着眼点、素晴らしいです。

その通り。プロのダンサーたちは、学校の生徒たちみたいに四角四面では踊らないですよね。

バレエ学校は「基礎」を学ぶ場所です。ですからバレエ学校の生徒のような振る舞いをしていては、バレエ団には入れません。

しかし…(ここからが大事!よく読んでね)

「基礎」のないところで、大きく踊れて、回れたり跳んだり出来ても、将来にはつながる可能性は低いです。

小学6年生ですから、バレエ団のオーディションは知らないかな?

ヴァリエーションを最初に見られるのではない、って知ってますか?

どんなバレエ団でも、オーディションの最初はバーレッスンです。だからスクッと立ったときにキチンと立てていなくて、プリエやタンデュがダメなら、その時点で落とされます。

かと言って「基礎だけキチンとやってきました」と言う子も落とされます。基礎は基礎です。そのベースプラス、何でも要求に応えられるダンサーでいないといけないんです。

難しいですね…「じゃあ、私はどうすればいい?」ですよね?


では私からあなたへ質問!

「あなたの最終目標は、どこですか?いま、コンクールのヴァリエーションだけを評価してもらいたいですか?それとも基礎を積み重ねたいですか?」

どこが最終ゴールか、で、これからのあなたが決まります。

短期留学のあと

「やはり基礎基礎ではなく、今までのやり方でヴァリエーションを踊って、いまを評価して欲しい」

と言う考えもあり。しかし将来には繋がる可能性は低いです。バレエを「趣味で」と割り切るなら、その選択が「悪い」とは断言出来ません。人それぞれの幸せの価値観がありますから。

「いま、ヴァリエーションを一時的に器用に踊れなくなったとしても、ターンアウトやコーディネーション、腕の使い方やポジションをキチンと毎日考えながら、踊っていこう」

と言う考え方もあり。しかしもしかしたら、コンクールの趣旨によっては、あなたが正しく踊っていても評価してもらえないコンクールもあるかも知れません。

あなたのように短期留学から帰国して、悩んでいる子供たちはたくさんいるのは知ってます。

でもね?プリエの踵をずらして、ねじって捻って軸足内足で、ピルエットをグルグル回っていたら、海外では

「そんな風に回らないで!ターンアウトして、ポジション外さないで、回数は一回でいいから」

と言われて忠実に守っていたら、帰国したら今までみたいに回れないですよね。

アラベスクも外して、へんなアクセントつけて踊っていたら

「そんなポジションない!見栄切って変なアクセンつけないで!」

と言われたら、帰国したら動きは小さく感じますよね。

小学6年生のあなたがこのような疑問を抱いたことだけでも、大革命!

まさに、コンクール乱立時代のなか、遂に訪れたターニングポイントです。

あとは、個々の選択にかかっています。

生徒、指導者、審査員。

何をしたいのか、何が最終目標なのか。問われています。そして新しい選択をした場合、昔ながらの風習を否定することにも繋がるから、相当な覚悟が要ります。一歩踏み出せないまま、ズルズルと暮らしていく人もいるはずです。

あなたのすべきことは、まずは自分の最終目標は何か、を考えて、先生に相談すること。

人生は長いですが、踊れる期間は短いです。

短い期間をどのように過ごしたいか、の結論を出すのは、あなたです。

頑張って下さい!


ちなみに私は「最終目標」に達してしまいました。

最終目標でもあったヴァルナ国際バレエコンクールの審査員を務められたので、これ以上何かを…はあまりないです。

ですから自分自身というよりも、少しでも誰かのお役には立ちたい…という気持ちが強いです。

質問コーナーを締切にしていない理由もそれ。

SOSがありましたら、是非お寄せくださいね。


ただし!

私は心理カウンセラーではないですから、コンクール以外に関するお悩み相談にはお答え出来ませんので、すみません(笑)

人生お悩み相談は、その道のプロにどうぞ!

左右木健一