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はじめまして。いつもブログやInstagramを拝見しております。母親である私は全くバレエ経験がなく、分からないことが多いのですが、左右木先生が指導してくだされば、子供をバレエの世界に安心して送り出せるなと思っております。貴重な情報やアドバイスを発信してくださりいつもありがとうございます。

早速の質問失礼いたします。
娘は小学校低学年です。幼いながらバレリーナになりたいと一生懸命のため、親として出来る限りサポートできればと思っています。
所属教室は、コンクールには積極的に出す方針ではなく、週3回のクラスレッスンを受け、大きなイベントは年一回の発表会。上手な生徒は選抜クラスや附属のバレエ団の公演に出演させていただける状況です。
選抜は系列教室の生徒が受けられるので、他の教室でコンクール出場経験が豊富だったり、個人指導などを受けられた方々も多いです。残念ながら、所属教室は冒頭申し上げた通りコンクールや個人指導は積極的でなく、先生にご相談したことがあるのですが、クラスレッスンで充分とおっしゃいました。ですが所属教室の上級生を見ていると、選抜された後は他の系列校のお子様との差があり、なかなか思うようにいっていないようです。
親としてはコンクールや個人指導に積極的な系列校に移動した方が良いのではと思いつつ、狭い世界のことですのでなかなか難しい状況です。しかしこのままで良いのか疑問と不安があります。
将来附属のバレエ団に運良く入団したとしても、職業として成立できるようなお給料をいただくことは難しそうで、皆さん教えのアルバイトをされているようです。

もし全く別の教室へ移籍をするとしたら、何歳くらいまでが理想といったような目安を左右木先生はお持ちですか?
移籍をしなくても、例えば体の使い方を教えていただけるパーソナルトレーナーを探し指導を受けながら、娘の意思でコンクール出場のために移籍したいと思う時期を待つという方法もあるかとおもいますが、移籍は早い方がよろしいのでしょうか?
まだ娘はポワントは履いていません。おそらくあと1年で履きましょうとお声がかかる予定です。

長文失礼いたしました。
もしご回答いただければ大変ありがたいです。
よろしくお願い致します。




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移籍についてのご相談…全部を紹介出来ないだけで、実は続々と寄せられております。

移籍についてはこちらをお読み下さい。私の考えをまとめてありますので。

「所属教室は冒頭申し上げた通りコンクールや個人指導は積極的でなく、先生にご相談したことがあるのですが、クラスレッスンで充分とおっしゃいました」

お嬢様は小学低学年と記載されておりましたね。はい、そしたらコンクール、個人指導には積極的ではないかも知れないですね。バレエ団附属のスクール(もしくは系列)でしたら、尚更なことです。

個人のスクールのほうが、しがらみも少ないですし、時間がフレキシブルに変更出来ますから、個人指導も可能だと思います。


移籍が悪いとは言いません。必要な場合も絶対あります。

一番必要なのは、本人が進みたい道とスタジオの方針が違う場合。

男の子でしたら

「女の先生で、男性のパを全く指導出来ない(女の先生でも現在立派に指導されている方はおりますが)ゲストの男性教師もお呼びするつもりもなさそう」

な場合は、男性教師が常にいるスタジオ移籍を考える必要がありますし

「留学やコンクールエントリーを望んでいるにも関わらず、スタジオが消極的、もしくはノウハウを全く知らない」

という場合も、夢を叶えられない環境に我慢しているのは時間の無駄ですし

「気軽にバレエを始めたけど、いまは真剣にやりたい。バーレッスンも適当で、遊びの延長みたいなレッスンが続いている」

場合、サークル活動状態で、バレエ専用ではない床で跳んだり回ったりして、トウシューズの立ち方どころか、ターンアウトすら重視せず、生徒たちのマナーが悪くても何も注意しないスタジオにそのままいるのも、時間の無駄です。

移籍は必要(なるべく避けたいですが…)

しかし、気をつけて欲しいことがあります。

舞台を控えている最中(公演、発表会、コンクールなど)の移籍はご法度です。

私共のスクールに入校を望む親御さんにも

「舞台を控えているなら、それをきちんと終わらせてから、うちに来て下さい」

と、こちらからお願いしています。舞台を控えているのに移籍を容認するのも、いかなる事情があったとしても、バレエ教師は受け入れてはいけない。移籍を容認するのは、舞台を終えてから。これは常識です。

舞台に出る、と決めた以上「責任を全うする」のがマナーであり、それは子供には理解が出来ない分、親御さんである大人がすべき最低限の「教育」です。

なぜなら責任放棄を親が推進することを繰り返していたら、いずれ子供が大人になった時「罪の意識なく、放棄を繰り返す」という事例は、バレエに限らず一般社会でも同じですから。

そんな私も、実は子供の頃、ある大手バレエ団附属スクールに移籍を考えたことがありました。仲の良かった女の子がそこに移籍したのと、男の子がいなくて、男の子のいるスクールに行きたかったからなのですが、見学しに行ったら、とにかく人数が多すぎて、まるでオープンクラス状態。肝心の男の子たちのレッスン態度も悪く、遅刻した男の子を先生が注意もしない…

移籍を留まった瞬間でした。あの時移籍をしていたら、たぶん私は海外のバレエ団に就職していなかった事でしょう。そして移籍した女の子は、その数年後にバレエを辞めていました。移籍を誘われてそれに乗っかってしまった子もみんなバレエを辞めてしまいました。

「お友達が移籍するから、私も」

みたいな考えで移籍した子に、バレエを続けている子は少ないです。なぜなら

「お友達が受験でバレエ辞めるから、私も」

となるから。自分の意志なく、周りの評判や噂話だけを信じてしまった悲劇です。

移籍した当初は、誰でも新しい環境にワクワクしますし、以前のスタジオが辛かった場合は「良かった、移籍できて!これでどうにかなる」と思うみたいですが、とんでもない誤解なんです。

何が誤解って?

一番乗り越えなくてはいけない「バレエ」というハードルの高い壁は、移籍して乗り越えられるほど、甘いものではないからです。私の友達が移籍した当初、水を得た魚のようだったのに、バレエを辞めてしまったのも、それが理由。

「隣の芝生は良く見える」

しかし、いざ引越してみても、結局自分が変わらなければ、どんな素敵なお家に引越しても不満がつのり、最終的には帰る家すらなくなる…

もう一度、言います。

移籍が悪いとは言いません。しかし、移籍先がパラダイス、ではないことは覚えておいて下さい。

どんな環境でも、メリット、デメリット、必ずあります。

そこをきちんとリサーチ(評判や噂話のリサーチではないです。ご自身の目と肌で感じるリサーチ)してから判断すると良いかと思います。

ちなみに移籍を考えていた頃の私。


「友達が移籍したから自分も…」

といった安易な考えで行動しなかったから、今の私がいる…と考えると、選択を一歩間違えていたらどうなっていたのか?とちょっと怖くなりますが、友達に流されず、自分の意志で移籍を留まり、自分で決めてきた道ですから、誰を恨むわけでもないですし、今は幸せです。

とにかく「周りが」ではなく「ご家庭の方針」なによりもお子様の感じる具合で決めて下さいね。

そして移籍する、しない、を決めたあとは「自己責任」です。覚えていて下さい!

左右木健一