✳︎皆様からの質問(質問内容重複しないと嬉しいです。重複された場合、スルーするかも知れないので)お待ちしております!

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あと、出来ればコンクールに参加される方は年齢やバレエ経験数を書いてくださいね。答える内容が年齢、経験で変わりますので。


<Q>

左右木先生、こんにちは。
バレエ歴5年の11歳の娘がいます。
家の事情で、現在はアメリカ在住です。

娘にとっても私にとっても、
左右木先生や佐藤愛さんのブログは日々の楽しみで、癒しでもあり、いつも勉強させて頂いています。


日本国内のコンクール表彰式での審査員長総評や、幕間に開催される審査員先生方の公開対談で
「日本の小中学生のバレエはレベルが高い」という話を耳にしました。
実際、娘がアメリカのバレエ教室やコンクールを体験して、日本には驚くほど上手な子どもがたくさん居たと実感しました。

ですが、高いと言われるのが「小中学生」なのはなぜでしょう?その後に繋がらないということでしょうか?10代からの世界の子どもたちの伸びが大きいのでしょうか?

(実は、やはり日本国内のコンクール審査員の先生のお話で、
 「日本は受験や怪我でバレエを離れる子が多い」
 「小さいうちから根を詰めすぎず、長くバレエを続けて欲しい」
 というお話を聞いたこともあります…。
 怪我に関しては、佐藤愛さんの本やブログで現状を知って納得し、
 自身でも気をつけて対策できる部分だと思っています)

世界のバレエを見聞し、各地でご指導もされる左右木先生が、日本の子どものバレエ環境について思うところがあればお伺いしたいです。


<A>

アメリカ在住ということですから、アメリカ人の子供たち、とりわけ8歳くらいからポアントを履いていて、物凄い柔軟性とテクニックを兼ね備えている子供たちも、ご覧いただく機会があると思います。

ポアントを履く準備が出来ていないのに、早期にポアントでヴァリエーションを踊るのは、日本に限らず、アメリカでも同じ問題みたいです。

ついに今年のYAGP日本予選(ニューヨークファイナルも)から、9歳、10歳のポアント使用が禁止されることになりました。11歳も「できる限り避けること」となっております。

日本のコンクール、例えば私が審査員を務める

「中学一年生(12-13歳)まではポアント、もしくはバレエシューズ、どちらでも出場可能」

と、要項が変わりました。日本のコンクールでも要項が変わるコンクールと、従来の要項のままのコンクールにわかれていくことでしょう。

「何歳から…」という年齢での制限は、世界的に賛否両論です。なぜなら、小さな頃からポアントを履いていても、プロとして活躍している人も昔は沢山いたからです。

しかしそれは、もともと「選ばれた存在」のラッキーなケースであり、万人に共通してるとは言えないところで「No!」と唱える先生方が増えてきたわけです。

早期にポアントを履いていないと、体型が変わってしまってから履くのでは手遅れだ、という海外の審査員の先生の意見も聞いたことがありますし、真逆を唱える先生も…とても難しい問題です。

ポアントに関する私個人の意見はありますが、ここでは伏せておきます。私の意見が「絶対」と思われたくないので…




「日本の子どものバレエ環境について思うところがあればお伺いしたいです」

とのご質問…書いたらキリがなくて、一冊の本になりそうですが(笑)

この写真は先日韓国で韓国の生徒さんを指導したときのものですが…私が働いていた30年前とは雲泥の差です。子供達の身体も綺麗になり、指導法も昔とは違います。


日本の子供たちも体型は良くなったと思いますが、個人の指導者が国からの支援ゼロで一生懸命指導している状態。熱心な国民性なので小中学生のレベルが高くなる一方で、そのような子たちが高校に入ると、バレエだけに集中出来る教育機関がないから、海外に助けを求める…

もし日本に中高一貫の全日制バレエ学校があれば「小中学生」ではなく「小中高生」のレベルが高い、と言われるでしょう。日本でも十分にバレエが踊れるのに、芸術に理解のない全日制の高校に進学してしまった場合、その差別に耐えられなくて、通信制の高校に転校して、海外流出しているのが現状です。

国際コンクールでも、参加者の団体名をみると

韓国ですと
「仙和芸術学校」「韓国総合芸術学校」

中国ですと
「北京舞踊学院」「上海舞踊学校」

など、個人のスクールではなく、学校単位で参加しています。日本とアメリカは「個人経営のバレエスタジオ」という点では似ていますが、それでもアメリカはサンフランシスコバレエスクール、ヒューストンバレエアカデミー、ジョフリーアカデミーオブダンスのようなYAGPスカラシップ校に認定されているスクールが存在します。

「日本国立総合芸術学校」
(カッコ良い…笑)

などが存在して、国がバレエを「学問」と認めれば、たぶん海外流出は食い止められるはずですが…

私も個人で指導している身分で、何の後ろ盾も、政治力もございません。

だからこそ、勉強する必要もありますし、逆に組織に属していない分、制限がないという利点のおかげで、自由に各地を指導出来ているので、ポジティブに考えるようにしています。

日本には私のようなバレエ教師が全国各地におりますので、ぜひ一時帰国の際はレッスンを受けて見て下さいね!

左右木健一