<Q>

左右木先生はじめまして。
いつも楽しく拝読しています。


私が先生にお伺いしたいのは、先生との関係についてです。


私はバレエ歴5年目、10才の娘の母です。
週3日(バレエシューズ3コマとポアント1コマ)レッスンに通っています。

昨年、発表会もない年だったのでコンクールクラスのオーディションを受け、技術は未熟だったものの本人のやる気を尊重していただきコンクールクラスに入り、夏と冬にプレコンクールに参加をしました。(今考えるとコンクールクラスは時期尚早でした、、、)
出場するコンクールもバリエーションも先生が決めて下さいました

バリエーションは白鳥の湖パドトロワ第一vaを踊ったのですが、どの振り付けかわからなかったので、娘に先生に聞けば?と言ったのですが、先生は忙しくて話しかけるタイミングがない!といつもはぐらかせれていました。

わからないことがあるにも関わらずなかなか先生に聞こうとしないので、何故?と話をしていたら、先生が恐くて質問なんかできない。と娘に言われてしまいました。

親がしゃしゃり出ていろいろ聞いたりすると、過保護と受け取られてしまうので、本人に関わることは本人が聞かなければ解決しません。


今夏、発表会も終わり、冬のコンクールクラスのオーディションクラスがあったのですが、先生に何も聞けない話せないようではダメだと思い参加を見送りました。(見送った理由は他にもありますが、、、)

私からいろいろ言うと反発する年齢になり、なかなかうまく解決できません。娘に何かアドバイスをしていただけますでしょうか?

<A>

「私からいろいろ言うと反発する年齢になり、なかなかうまく解決できません。娘に何かアドバイスをしていただけますでしょうか?」

という言葉どおり、これはお嬢様の悩みではなく、お母様ご自身のお悩みだと察しました。

ある年齢に達した場合、子供は親の言うことも聞かなくなりますし、以前ブログにも書きましたが、子供は自分の都合の悪いことは親には言わないです。これは20年近く自分の生徒に限らず、たくさんの他所の生徒さんや先生方、親御さんとの関係を見てきましたから、わかります。

「お嬢様を疑って」と言う意味ではないですから、誤解しないで下さいね。

ご自身の目で目撃していない事は、ちょっと冷静になり、事実が何かをご自身の目で見ることをお勧めしたいです。

本当は生徒さんと先生はとても良好な関係だったのに、子供が都合が悪くなってしまう出来事があり、それを「先生が悪い」と言って、親御さんがその言葉を鵜呑みにするケースを、私はたくさん見てきましたし、聞いてきました。

ですから

「先生は忙しくて話しかけるタイミングがない!」

「先生が恐くて質問なんかできない」

とお嬢様が仰っているみたいですが、その現場をもしお母様が見ていないのであれば、お嬢様のその言葉を鵜呑みにするまえに、先生に相談するのはアリだと思います。それは過保護でも何でもなく、当たり前のことです。誤解しながら妄想するのではなく、きちんと事実を確かめるべきです。

他所を見ると、たいてい優しい女の先生方が多くて、生徒さんたちに

「何か質問ないの?」

と、その先生が優しく(!)生徒たちに投げかけても「はい」も「いいえ」もない現場を、私はたくさん見てきました。

先生が恐いのではなく、もしかすると、自分だけ先生に質問しに行ったら、周りのお友達にいじめられるのが怖い(よくあるケースです)ので、とりあえず「先生が恐い」と言ってるかも知れない。あくまで推測ですよ。本当に聞けないくらい恐い先生かも知れないし(笑)


コンクールに参加すると、それまで

「たくさんの生徒と1人の先生」

という間柄から

「私1人と先生」

の間柄に変化していきます。このときに、コミュニケーションがうまく取れないと

「コンクールに出たんだけど…辛かった」

となります。ですから、コンクールに出るまえから

辛かったら「先生…辛い」とか

痛かったら「先生…痛い」とか

悔しかったら「先生…悔しい」とか

常に先生に言えるようなコミュニケーション能力があれば、生徒自身も1人で悩んでバーンアウトしなくて済む。

もし「そんな事…先生に聞けない」と、お嬢様やお母様が思うなら、黙っているのもアリ。しかし、黙って自分で解決する、という「選択肢」を選んだ場合、責任は自分自身にあります。どんな結果になっても、誰のせいにも出来ない。そこを理解しないといけないです。

黙って黙って我慢して我慢して…結局妄想が膨らんでバーンアウトするケースにならない自信があれば、黙っていても良いでしょうが…私はそれはあまりお勧めしません。日本人の一番いけないところだ、と海外の先生も指摘しているところですから。

バレエを習っていく上で、一番養われるのは「コミュニケーション能力」だと、私は思っています。

そしてコンクールに出て遠征する、となった場合、親の付き添いなしで、自分の荷物、ホテルの鍵も自分で管理して、忘れ物ないかも全部自分でチェックして、先生に常に報告、連絡、相談をして、なおかつ、舞台では1人で緊張のなか踊りきる…こんなことが、早い子は9歳あたりから出来るようになるんです。いかがですか?素晴らしいことだと思いませんか?

しかし「出来ない」場合もあるし、解決出来ない場合もある。そんなときは親御さんが「そっと手を差し伸べる」出番です。そして、子供が大丈夫そう、と思ったら、その手を引っ込めてあげる。

いきなり補助輪なしで自転車はこげませんよね。それと同じ。今は補助輪がとれて1人で乗れるようになったものの、なんだかフラフラしていて「ママ、フラフラする」とお子さんがSOSを出している状態です。それが自転車のタイヤの空気が抜けているせいなのか、食事もまともに摂らずに乗っていてフラフラするせいなのか、道がボコボコしてるのか、ただ単に自転車に乗るのが面倒なのか、視力が低下してるのか、脚が疲れてるのか…

憶測で判断するのではなく、明らかな事実確認が必要なのは、おわかりですか?

「先生に何も聞けない話せないようではダメだと思い参加を見送りました」

とありましたが「これが出来ないからダメ」ではなく、色々な解決策を今後は考えてみましょう。

可能性を伸ばしてあげられるのは、バレエ教師のチカラだけでは限界があります。

親御さんの「価値観」と「根気」が成功への近道です。うまくいくことを祈っております!

左右木健一