<Q>

いつも楽しく読ませて頂いております。
先生のお話はとても分かりやすく、大好きです。

「パキータ」のVaについて知りたいことがあります。

エトワールのVaではなく、その他のVaをコンクールで踊る場合、どういう設定の役で踊れば良いのでしょうか?
パキータに物語があることを初めて知りました。
色々読んでみましたが、後々たくさんのVa曲が追加されたのも知りました。
発表会やバレエコンサートで踊られているのも何度か観ましたが、コンサート形式で踊られているパキータしか観たことがありません

コンクールで踊る場合、曲の雰囲気に気持ちを乗せて表現するのではなく、どのような役で表現して踊れば良いのか教えてください。
よろしくお願い致します。


<A>

そのような着眼点を持たれただけでも素晴らしいです!たぶん貴女のように「どのような役で表現して踊れば良いのか」と考える参加者がたくさん増えたら、コンクールのレベルも格段にアップすることでしょう!

物語などは色々調べておわかりですよね。

「どのような役」

とのご質問ですが、残念なことに各ヴァリエーションに役名がないのはご存知ですか?

たとえば、極端な話(冗談ですからね!笑いながら読んで下さい!)

パキータの親友 コンチータ
パキータのジプシー時代の後輩 アビガイル
結婚をお祝いに来た女性 ジュヌヴィエーヴ
リュシアンの元カノ オーギュスティーヌ

(わざとスペインとかフランスの名前をつけてみました!皆さん、パキータにこんな登場人物いませんからね!)

パキータに、そんな登場人物の名前さえ出てこないんですよね。

まして結婚式で踊られるあの場面…



なぜ「ドン・キホーテ」のキューピッドのヴァリエーションが出てくるわけ?と思いませんでしたか?

私が子供の頃、東京バレエ団で見た「パキータ 」には、ドルシネアのヴァリエーションまで加わっていましたから。

そう。あの当時、ロシアのバレリーナたちは自分のお得意のヴァリエーションを「パキータ」のなかで踊ることがどうやら許されていたみたいですね。ですから様々なヴァリエーションがあるのは当然。

ですから

「ではキューピッドの役柄で踊る?」

となると、これは話が別で、チュチュを着て腰に手を当てた愛の妖精?しかも夢の場ではないし。ドンキホーテは「パキータ」には登場しない…

役柄は考える必要はないです。どちらかと言うと音の持つニュアンスと振付のテクニカルな部分をコーディネートさせて踊ることを考えてみて下さい。

なぜなら

「パキータ 」より キューピッドのVa

とは表記する必要がないからです。

ロシア人の先生のリハーサルを見学されていた方から伺ったのですが、リハーサルの際、先生方は

エカルテのVa
ピルエットのVa
アムールのVa
バロネのVa

など、と呼んでいたらしいです。

ね?残念なことに「役柄」というものが存在しない。

役柄と言えば、キトリの友人2人の名前

「ジャネッタ」「ピッキニア」

と、キチンと名前があるにも関わらず、ジャネッタが実はバジルの元カノ、ピッキニアはガマーシュが実は好き、とか(冗談です!)そんな設定すらなく、2人は3幕にヴァリエーションを踊ったりします。違う人が踊る場合もありますし、1つしかヴァリエーション踊らない場合もあるし…

クラシックバレエ、面白いですよね。
皆さんがよくご存知の「オディールのVa」ですら、作曲者がチャイコフスキーではないのはご存知ですよね?

ある先生が

「VariationはVariety(バラエティ)に富んでるのだから、どんな振付でもバージョンでも、好きに踊ればいいんだよ」

なんて仰っていましたが(笑)確かに時代でだいぶ振付変わりましたし…何がオリジナルで、何がそうでないか、の論議も交わされますが、結局ビデオのない時代…口伝え、ノーテーション、を紐解くしかない。

とにかく貴女のような着眼点は素晴らしいこと!私は役柄がはっきりしないパキータの各ヴァリエーションこそ、音楽の持つニュアンスを大事に踊って欲しいと思うので、ぜひ貴女の先生から音の取り方をキチンと教わって下さいね。

左右木健一