なぜか質問が重複しておりまして、それぞれ微妙に違うものの、だいたい同じようなご質問がありましたので、お答えしたいと思います。

厳しい回答もあるかも知れませんが(笑)聞かれたからにはお答えします!

<Q>

いつも決まった同じレッスン内容と、同じバリエーションです。もっと他に習いたいのですが。そしてもっと注意してほしいです。


<A>

「いつも決まった同じレッスン内容」

その内容が、どのような内容かわかりませんが、たとえばプリエ一つとったとしましょう。

貴女のプリエ、完璧ですか?

ターンアウトは完璧ですか?

上半身と下半身のコーディネーションも完璧ですか?

そして貴女のプリエの動画。DVDにして「バレエ教則本」を発売出来るくらいの高いレベルですか?

小学生なら、これで十分なくらいです。これですら、大変!



バラエティに富んだアンシェヌマンで満足したいのであれば、大人のオープンクラスに行きましょう。基礎が十分出来てから、というのが原則ですが。基礎がなくて、バラエティに富んだアンシェヌマンばかりやったら、必ずいつか怪我しますよ。

正しいバレエスタンスも理解できていなくて、複雑怪奇なプティアレグロを運動神経で乗り切れるかも知れませんが、そんな毎日を繰り返していて、脚が太くなるケース、嫌というくらい見ています。

順番を覚えるのに精一杯。ターンアウトなんて忘れる、しかし先生から「ポジション!」と言われるから無理矢理五番に捻る。ジャンプや回転もねじれた身体でとにかく運動神経だけで乗り切り、ひととおり「できた!」みたいな達成感。先生にも頭の回転の良さを褒められる。しかし、残念!以下のオマケがついてきますよ。

レッスン後のへんな「痛み」
不必要な「筋肉」
最終的には怪我します。

まあ「趣味バレエ」で、身体の痛みだけを残して数年でバレエをやめるなら、アリですが、それでもバラエティに富んだ内容が欲しいですか?

同じ内容を丁寧に指導する先生は、貴女の数年後を保証していると思いますよ。

ヴァリエーションもです。コンクールで踊ったヴァリエーション、完璧でしたか?世界中に動画を配信されても良いくらいのプロ並みのレベルでしたか?一つのヴァリエーションを丁寧に踊り、何が問題か、を振り返らずにとっかえひっかえヴァリエーションを変えても中途半端になるだけです。

「もっと注意してほしいです」

教師が最初から全く何も指導していないなら話は別ですが、エクササイズを指導する際、必ず注意点は事前に生徒たちに話してるとは思うのですが…

が、例えばの話です。

お母さんが

「アイロン触っちゃダメ!やけどするから」

と注意した、とします。小学高学年になっても、毎日毎日ちくいちお母さんに注意されないと、アイロン触らないように出来ませんか?ダメだとわかっているのにも関わらず。

これは

「注意してもらうのは、当たり前」

というおごりですよね?これは年齢関係ないです。

6歳の子でもたった一度頂いた注意ですら、忘れずに自分で考えて事前に直せる子もいれば、60歳になっても人任せで自分からは何も解決しようとしない人もいます。

日本では趣味だろうが、コンクールに参加しなくても、大人リーナさんでも親切に指導してくれる素晴らしいお教室はたくさんあります。

しかし、親切イコール、どういうことか、わかりますか?

「親切心が当たり前」

という勘違いが生まれます。

先生にみてもらえるのは、当たり前。
バラエティに富んだクラス、当たり前。
いつでも先生は相談に乗ってくれるのは、当たり前。
好きなヴァリエーション踊れるの、当たり前。
発表会の振付忘れてもまた教えてくれるの、当たり前。

バレエの先生…コンビニエンスストア?(笑)

私が全国各地を指導して感じることは、上達する子は必ず私の全体的な注意を全て聴き逃すまい、と必死で、だれかが注意されると

「それって、私に対する注意ですよね!」

という態度で聞く。結果的にうまくなります。

しかし、他人の注意を

「わたしには関係ないのね。先生ってえこひいき」

みたいな態度の子は、全体的な注意すら聞いてない。結果的に好き勝手におどる…

これが海外の先生からみたら

「日本の子供たちは、いっけん真面目にみえるけど、獲物を狙うように教師の注意は聴いてない」

と言われる原因。

世の中、非常に便利になっていますし、バレエを習う環境も良くなりました。

昔は「個人指導」なんてなかったですし、大手のバレエ団付属スクールなんて、一時期は1クラス60名くらいでレッスンしていて、それが当たり前。個人的注意なんて皆無。海外バレエ学校校長が来日してスカラシップ授与もなければ、海外バレエ団の教師が大人リーナさんにレッスン教えるなんて、絶対なかった時代もあったんですよ。

きっと、私に質問を寄せてこられる方は、私よりも若いお母様やそのお子様かと思われるので、そんな時代は知らないのは当然。私も「昔は良かった」とか言うのが嫌い(と、言うか、老害にはなりたくない)なので、昔を肯定するつもりはないです。

しかし、バレエと言う芸術における、教師と生徒の間柄は、サービスする側、される側ではない、と思ってください。

指導する側も、習う側も、お互いの信頼関係があって、うまくいくもの。教師のサービスにしか満足できない生徒は、いずれサービスされるのが「当然」となり、そうなった時点で成長は止まります。

「踊る」と言う原点、考えたことありますか?

子供は嬉しくなるとキャ〜と飛び跳ねますよね。クルクル回りますよね。それが踊りの原点です。

そしてその踊りを「もっと向上させたい」と願うのは本人であり、教師はアドバイスはしますが、結局は自分自身でどうにか解決していくものなんです。なぜならバレエは、塾の先生に教わった通りのマニュアル、詰め込み丸暗記の受験勉強をしているわけではないからです。

「踊り」とはもっと自発的なものであり、それが理解できたら、すんなり問題は解決します!

左右木健一