「コンクールに参加すべきですか?」
「参加しないほうが良いですか?」

と言う親御さんの質問も、回答に迷います。

なぜならコンクール参加の意義は、国によって価値観が違うからです。

例えば韓国。徴兵制度のある韓国では、男子は国際コンクール金賞の肩書きがあることで兵役を免れますので、コンクール参加をしていたりします。

アメリカのバレエ団ですと、ビザ申請を有利にする為に、ある程度のコンクール受賞歴を求められたりします。

ですから、国際コンクールと、国内コンクールでは、少し価値観が違うかも知れません。


それでは…日本は?

私が子供の頃は、それこそ国内バレエコンクールは3箇所しかありませんでしたし、その限られた数のコンクールに、お教室のいわゆるトップ1人が参加を許される時代でした。

今は、違います。

それこそレッスン回数が週1-2回の子供や大人の方でも、コンクールはエントリー可能です。数えきれないくらいコンクールがあり、意義や趣旨は様々です。

ここで問題が生じます。

レッスン回数や経験数もない方が、ヴァリエーションを踊った場合…どんなことになるか、想像つきますよね?まず、身体のどこかに支障をきたす可能性がゼロとは言えないでしょう。

そして、ヴァリエーションを指導する、ということは、誰でも出来ることではないです。全幕物の舞台経験はもちろん必要ですし、身体の使い方、メソッド、音楽の取り方、衣裳、メイク、コンクール用とかではなく、本来あるべき振付をきちんと指導できるか、ヴァリエーションが踊れるだけの基礎レッスン、ポアントレッスン、エクササイズ、クールダウンなどを日々きちんと指導してきたか…指導者の経験、力量が必ず問われます。

私は、どちらかと言うと、コンクールは参加者よりも指導者の先生が採点されているような気がします。

踊るのは生徒ですが、それをサポートして、指導してきたのは紛れもなく、教師です。

生徒は先生の言うとおりに踊るはず。ですから間違った振付、間違った音の取り方、間違った身体の使い方、間違った役の解釈を指導した、としたら…

これは、私自身がいつもいつも反省することであり、だからこそ外に出て、学ぶことを大事にしたいと思うのです。

「コンクール」が一概に悪い、とは言いません。むしろコンクールがあるからこそ、情報交換も出来るし、見直したり、反省したりするきっかけにもなる…

まずは、きちんと親御さんや生徒さんが、指導者の先生がどのような目的を持ってコンクールに向けて指導するか、を聞くのも良いでしょうし、指導者の先生も、生徒さんが

「みんなが出てるから、週1回しかレッスン出来ないけど、出てみたい」

とか

「一回でいいからオーロラ姫踊りたい。でも塾があるから、そんなに練習できません」

みたいな、生徒さんの一方的な要求には、プロの見解として、迷わず

「NO!」

と言えたら、きっとうまくいくと思います。

「コンクールが子供の成長を妨げる」

のではなく、どのような過程を経てコンクールに参加したか、指導してきたか、習ってきたか…

そこを間違えたら、もちろん成長は妨げられるでしょう。

どう考えても、正しいターンアウト、ある程度の筋力、精神力がないと…ヴァリエーションは踊れませんし、無理して踊った場合は…

もう、私が何を言いたいか…おわかりですね?

左右木健一