コンクールに感謝!

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オールジャパンバレエユニオン(以下AJBU)の高瀬元子先生のインタビュー記事に、とても感銘を受けましたのでご紹介します。

震災後の2012年から毎年こちらのコンクールの審査員を務めさせて頂いております。

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生徒も毎年欠かさず出場しています。

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AJBUさんのコンクールで、私は3つの違う役割を学びました。

1 生徒の指導者、付き添い 引率として
2 出場した娘の親として
3 審査員として

本当にありがたい経験、勉強をさせていただきました。

私自身が娘をコンクールに参加させていましたので「出場させる親の気持ち」を経験出来たこと、そして「舞台に生徒を送り込む教師の気持ち」を経験したことは、後々審査員を務めるにあたり、非常に助けになっております。

もちろん、そのような経験をされていないほうが、私情を交えずバッサリと切り捨てるような採点が容易いかも知れません。私自身もいくら親や教師としての立場をわかっていたところで、私情を交えずに公平に審査はしておりますが。しかし少なくとも、300名出場者がいたら300通りの家族の思いがある…それは重々承知していますし、私が親として、教師として、コンクールに関わっていたからこそ理解出来る面は多々あります。

そして、いつも思うのは

「コンクールの結果だけでバレエを諦めないで」

と…もちろんプロになるには実力が不十分な子もいますし、コンクールに出場すると、まるでそれがあからさまな結果で出てしまう、と思われても仕方ないです。

私は初出場の東京新聞のコンクールでは予選落ちでした。ですから私自身が落ちた子の気持ちはわかります。自ら経験しましたから。

しかしそんな惨めな私に対して

「部活にも入らないでバレエばっかりやってるくせに負けたの?」(この、負けた、という時点でバレエを全くわかっていない)

と言ったのは、バレエという芸術を知らない中学校の先生くらいで、それ以外はバレエの先生、親、周囲から

「才能ないし、体の条件悪いからバレエ辞めろ」

とは言われませんでした。この点は感謝しています。

もちろん毎年コンクールに出続けて、思うような結果が得られなくて焦る気持ちはわかります。特に親御さんにしてみれば

「いつまでこんなことをさせればいいんだ?だったら受験勉強に専念させるためにバレエに見切りをつければ」

とか

「賞を取れるようなお稽古場に移籍すればどうにかなる」

とか…しかし、そのような事を考えてしまう時点ですでにバレエという芸術には程遠いスタンスになってしまっている、と思います。バレエを本当に愛していて、謙虚な人は冷静に考えればわかるはずです。

主役級の踊りを、大人ではないしかもアマチュアの子供が踊り、それを少なくとも審査員は美辞麗句を並べて「上手上手!」と褒めて誤魔化して煽てるわけでもなく、冷静に真剣にその時の踊りを見て分析して、嘘偽りなく評価する。しかもアマチュアなのにプロのようなストイックな生活習慣をコンクールに向けて調整して、それに向けて親や教師が真剣にサポートして、しかもたった1人の自分の為だけに時間が流れ人が動き…それがいかに貴重な経験であるか、社会人になったらそんな風に「私の為に人が動く」なんて至れりつくせりはない、と…

築き上げてきた密度が濃くて、なおかつ上記のような謙虚な気持ちでさえあれば、どのような結果でも真摯に受け止められます。

バレエジャポンさんの私のインタビュー記事もお時間のあるときに是非ご覧ください。

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一昔前でしたらコンクール=ヴァリエーションを踊らせて競わせているだけ、みたいに思われていましたが、いまはそんなことないと思います。まずキチンと踊るための基礎はもちろん、解剖学をはじめ、ボディコンディショニング、作品全体の物語はもちろん、共演者とのシチュエーションからそのバレエの時代背景、音楽、衣装の細部にわたるまでの研究、心理学…その全てを指導される先生はたくさんおられます。むしろコンクールというキッカケがあったからこそ、そのような全般にわたる勉強をたくさんされていますから、一概にコンクールを否定してはいけない、と思います。その得た知識を競争するみたいに「勝った、負けた」「受かった、落ちた」ということだけがクローズアップされるから、コンクールが否定されがちだと思いますが、私はコンクールに無理に参加する必要はない、と思いつつ、コンクールに生徒や娘を出場させていなければ、こんなにバレエを研究しなかったのではないか?と思います。

まさに「コンクールに感謝」です。

左右木健一