来年5月上演する「劇団昴」アトリエ公演のキャストオーディションを、私の住むマンションのコミュニティルームで行った。
オーディションのスケジュール表を見て驚いた。
一同に会してのオーディションが出来ず、時間単位で、細分化されている。
ベテラン俳優は仕事の関係上やむを得ない事は承知の上であるが、若手の俳優陣の中に何時から何時迄、「一時間のみ可能」と指定している者もいる。
私達の若い頃と比べる事自体、時代錯誤であろうが、少々寂しい気持ちにもなる。
劇団昴の悲哀なのか、アルバイトが彼等の生活を支える唯一の収入源である。
アルバイトを解雇されれば、たちまち明日からの生活は貧苦に喘ぐことを余儀なくされるだろう。
いつの日か、俳優として生活出来るという、保証も希望も持てないのが現実である。
そこで、やむなく、アルバイト業の間隙を縫って、オーディションに参加せざるを得ないのだ。
その痛々しい彼等の心情を思えば、責める事は勿論、返す言葉もない。
これらの事柄は、劇団や集団では程度の差はあれ、多かれ少なかれ抱え持ち苦渋する、逃れられない現実なのだ。
だが、何かがおかしい。
答えは、有って、ないのだ。
そんなわけで、結局一日を、時間帯毎に三組に分け、二日間に分けてオーディションのスケジュールを作成し実施する事となった。
実は、それぞれ分散して行われる、オーディションは、肝心の俳優間の比較査定が難しく、配役決定にニ転三転、いや、四苦八苦したものだ。
さあ、いよいよ僕らの前に、臥薪嘗胆の苦労が待ち構えている。
敢えて、俳優のプライバシーを守るため、オーディションの写真は掲載しないことにします。