昨年、アユモドキの論文を紹介した。その後、すぐに下のような論文が公表されていたのだが、紹介する時を逸して今に至った。

 反省方々、早速、紹介しよう。


 前回の論文では、アユモドキは、一時的な水域を利用して産卵する行動について論じられていた。今回のは、アユモドキの産卵は、一時的な水域が作られた直後の期間に限られていることを論じている。


大雑把に、

 アユモドキは、日本の数本の河川の流域だけに生き残っている絶滅危機種で、6月の初めに川から移動して水田で産卵する。アユモドキの産卵に必要な環境状況を特徴づけるために、産卵行動の直接観察と、6月から10月までの卵、稚魚、幼魚の様子を2年間に渡って調べた。
 アユモドキの産卵のすべては、水位の著しい増大による一時的な水域の形成後の二日以内に限られていた。
水温と日雨量は調査期間の間に変動し、これらと産卵とのはっきりした関係は見つけられなかった。しかし、産卵のすべては、陸生植物が生えている一時的な水域にだけ観察された。

 アユモドキの産卵期間が、陸生植物の生えている一時的な水域の形成後に限定されていることから、一時的な水域の適切な管理が、この種の存続のために重要である。

という上のようなことが、


  Abe, T., Kobayashi,I., Kon, M., and Sakamoto, T.

  Spawning of the kissing loach(Leptobotia curta) is limited

  to periods following the formation temporary waters.

  Zoological science. Vol. 24: 922-926 (2007)

 

に掲載されている。


 次は、この産卵行動を誘発する物質の解析か、産卵行動を起こすアユモドキの体内のメカニズムの解析かな?


 こうして、水路でのアユモドキの産卵に関わる外的要因や内的要因が解析されてくると、それらのことから、世代交代を脅かしているマイナス要因や、欠落している要因が解ってくるから、それらを保全しつつ、フィードバックをかけていくといいのだろうなぁ。

 


アユモドキ003