この作者さんは👇で前に紹介したことがありますね🗡🌂

👆が実質的なデビュー作だった作者のこれが３冊目の作品、という言い方でいいのかな。

伊吹亜門著「幻月と探偵」角川文庫より。

まずは「刀と傘」そしてその前日譚でもある初の長編「雨と短銃」。

そして三作目の本作を書くにあたり、作者は改めてミステリー小説を読み漁り、小説の書き方を再勉強したそう。

そのためか本作は、陰謀渦巻く（帯書の言葉を借りれば）闇深き異郷・満洲を舞台に、前二作と同様に歴史とミステリーを融合させ更にスケールを大きく、かつエンターテイメントとしての面白さを追求した作品となっています。

まあ、闇深き異郷といっても、闇深くしたのはいつのどこの国ですかっていう話にもなるのですが……いや、もちろんその辺りの背景も出てきますが🤣

時代は大戦前夜の１９３８年。舞台は中国東北部＝満洲。

主人公はちょっとニヒルな私立探偵月寒三四郎。登場人物には革新官僚岸信介や、後にその内閣で官房長官を務める椎名悦三郎の名も😱

まず始まりは月寒探偵事務所に舞い込んできた一件の事件から。

恋人の死因を突き止めて欲しいという貧しい女性の必死の訴えを優しく諭して断り、代わりに向かった豪邸で受ける……殺人事件の依頼。

ミステリーに慣れた人なら、この二つの「事件」がどこかで交わるのだなと見当をつけるかも🕵️

とはいえ貧しい工員の恋人だった男性と、元高級軍人の娘婿候補だった男性。この両者がいったいどこでどう結びつくのか。

そして謎めいた暗号「三つの太陽」☀️☀️☀️

そこには目的のためなら手段を選ばない人間の冷酷さが隠されているのかも。

あるいは自覚できない人間らしさが表れているともとれますが。

その矛盾がタイトルの「幻月」。そしてその二つの領域をまたがるのが「探偵」ということなのかも

本作はテーマ的には「刀と傘」の続編という面がありますが、登場人物的な繋がりはないのでそれぞれ単体で読めます。

ただ、「刀と傘」を読んでから本作を読むとさらに深い味わいがあることでしょう😊