👇の本がとても面白かったので。
👆はいうならば理論書。👇は実践の書ですね。
堀田季何著「人類の午後 堀田季何第四詩歌集」邑書林より。
世の中には理論家の実践倒れみたいなケースは少なくもなく。まあ、理論家が必ずしも実践に長けている必要はないのですが。
しかし、詩歌に限っては理論家がほぼ例外なく実践の人でもあります。本書もまた然り🖌
歌人であり俳人でもある作者。本書に収録されているのは俳句です。枝折(しおり)が中に挟まれていて、宇多喜代子・高野ムツオ・恩田侑布子の三氏による解説もなされています。
タイトルの「人類の午後」とはおそらく日野草城の句集「人生の午後」から。
日が西に傾き、翳りが見え始める時間。あるいは夜に向けて準備をする時間ということになりそう🌆
ページを開くといきなりハンナ・アーレントの言葉があり、そしてナチスの手による反ユダヤ主義暴動=水晶の夜を詠んだ句が並びます。
もしかしたら人類がこれから迎える「夜」はこの水晶の夜、それに続く独裁者の支配を示唆しているのかも😢
そして戦争、テロリズム、東日本大震災、原発と作者の類想は続きます。
俳句というドメスティックな文芸をしつつも視点が常に "世界" にあるのは作者の豊かな海外経験によるといえるかも。
そして作者の一族は広島出身で、その大部分が原爆によって命を落としたという事実も😢
……イスラエルの暴虐を目にした後だと「反ユダヤ主義」という言葉も別なニュアンスを持ってしまうこと否定できませんが、それでもナチスは論外です🙅🙅♀️🙅🏽♂️
にもかかわらず本書所収の俳句は一部を除けば575の定型を守り、季題を入れ込む定型的なものが中心。
確かな目があれば季語(季題)は優れてジャーナリスティックなものになり得ると再確認いたしました📸
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