小学生の時、おとなしくて授業中手も上げられない子でした。

人見知りが激しく、だからといって人の言いなりにもならず、
強い子から見ると一番イラつくタイプだったと思います。

小4の梅雨時、かたつむりを見つけて手に持っていると、
その強い子が私からかたつむりを取り上げて、放り投げました。

腹が立って悔しかったけど、なんせおとなしかったので黙ってました。

小6ぐらいになると、皆自我が出てきて、
それまでわがままを通してきた子に反旗を翻します。

かたつむりを投げた子も槍玉にあがりました。

でも、皆まだ恐怖もあるのでおずおずといった感じです。

ある日、その強い子がまた私に八つ当たりをしてきました。
そのとき「かたつむり」の怨霊が私にのりうつったのか
私は突如反撃をしたのです。

水飲み場での取っ組み合いです。

その戦いに勝ったか負けたかは覚えていませんが
相手が面食らってたのは覚えています。
いままでねじ伏せていた相手でしたから
びっくりしたのでしょう。

5年後、お互い高校生になって街中で再会しました。
私は相変わらずおとなしく、メガネをかけていました。

その子は、ヤンキーの格好してあちこち睨んで歩いていました。
私と目が合ったとたん「すぎちゃ~ん、元気~」と甲高い声で
卑屈な笑顔で声を掛けてきました。

私は普通に挨拶して通り過ぎたのですが、
それをどこかで誰かに見られていたみたいです。

またそれから5年後、高校の同窓会で
「すぎは、実は裏番」という噂が流れていたことを知りました。

人の口に戸は立てられない。
身をもって知りました。