人は過去の亡霊。

やっほう!

車椅子シンガーソングライターの曽塚レナですよ!


わたしね、ずーっと汚部屋だったの。

しかも汚部屋が好きだったねんな。謎だけど。

どういうことか。


部屋がきれいに片付いて整理整頓されてると、

予想外のことって部屋で一切起こらないでしょ。

だけど、これ汚部屋の住民ならみんなわかるけど

散らかった部屋ってなんか

妙なタイミングでよくわからんもんが出てきて

「!?」ってことが

しょっちゅう起きておもしろいんだよな。


さあ逃げないでよ潔癖さん。

こっからちょっといい話だからさ。


世の中ではよく言うでしょ、

「部屋が散らかってる人は心が散らかってる」って。

でもさ、当時のわたしは

散らかった自分が大好きだったねん。

毎日よくわからんもんが発掘されたり

なんか降ってきてぎゃー!!ってなる人生を

その時は心から愛してた。

そんな自分も大好きだったんだ。


だけどさ、よーく考えてみると

汚い部屋で時間差で見つかる謎の物って、

過去にわたし自身が蔑ろにした何かなんだよ。


一目惚れして買ってずーっと忘れてたリップ。

友達にもらったちょっとした手紙。

大切にしてたおそろいのチャーム。

買ったのを忘れてて乾いちゃった床拭きシート。


そういう過去の雑な扱いをさ、

彼らはわたしに時間差で教えてるんよな。

そのくせ簡単に捨てられない。

寂しいから。

そういう思い出を簡単には捨てられない。


大事にもしないくせにね〜。

だけど罪悪感がないから、

「あー!これ懐かしい!あんなことあったなー!」って毎回ケラケラ笑ってきたよ。

ボロボロになったり埃をかぶった思い出を見て

笑ってまたぽーんとそのへんに投げてきたんだ。


でもさ、ってことはだよ。

今までおもしろがってきた

この部屋で起こるランダムな事件たちは

過去の自分の行いのリフレインでしかなくて

一切新しい情報ってないよな。

って気付いたんですよね。


子供がボロボロのおもちゃを捨てられなくて

一人でずーっとおもちゃの山に埋もれて、

雪崩を起こすおもちゃたちにキャッキャしてる。

それと似てんだよな。


実際、仕事や旅行でホテルに泊まると

昔は真っ先に自分の荷物を広げて置きまくってたの。

綺麗な部屋はしーんとして寂しいって。

でも、人が来るのは嫌なんだよ。

寂しいから愛着のあるものを散らかすわりに、

人間はリラックスできなくて嫌だった。

出先で、寝る前に友達をいっぱい呼んだりして

ホテルでお酒とおつまみでパーティーしてても、

寝る時は絶対ひとりがよかった。

人前で寝るのが怖かったからね。


んん〜これはやばいべ〜?

でもさ、それに気づいた時、

じゃあ次はわたし

どんな女性になりたいのかなぁ……って

めっちゃ考えたんですよ。


愛想もノリも滅茶苦茶いいくせに、

誰とも親密になれない女性。

わたしはきっとそういう女だった。

それでももしなんにも寂しくないのなら、

わたしはきっと部屋を散らかさなかったと思う。

自分の孤独と空虚感から

数え切れないごみや物が守ってきてくれていた。

ボロボロにないがしろにされながらね。


だからね、まずは

自分を大切にするというのを勉強しようかなって。

ほこりまみれでも、

落ちてるガラスで足を切っても笑ってたからね。

自分が傷付くことに無頓着だった。

むしろそれに耐えられる我慢強さが自慢だったよ。


でもね、わたしが足から血を流して

「麻痺してて感覚ないから全然気付かなかったwwww」って笑った時

ポロポロ涙を流した人がいた。


わたしの足を拭いて

きれいにクリームを塗って包みながら

「自分を大事にしてよ」って泣いた人がいた。


その時は意味がわからなかったけど、

今はなんとなくわかるよ。


さあ、

新しい人生を始めよう。




私の苦手なこと

 

 

 

 

 

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