地域に根差すとは何か-「よそ者」と「元よそ者」というポジション-
地域を変えるのは「ばかもの」「よそもの」「わかもの」なんて
言われますが、
育て上げネットの活動のなかで「地域に根差す」ということを
テーマに取り組んできた4年。
拙著「NPOで働く」でも紹介したのですが、地域担当部長を設置し
とにかく「地域」というものと向き合ってきました。
片側で事業を回しながら、もう片側で地域に根差す。そんな地道な活動を
しながら、「あっ、なんだか地域の一員にしていただいている」と
本当に感じられるようになったのはここ最近です。
立川という地域で事業を始めて7年、地域に向き合って4年
やっと地域の仲間に入れてもらえたんだなぁと思います。
そんな地域に根差すことについて社内で話をしているときに
興味深いことを聞きました。
地域は、「地元（じもてぃー）」と「よそもの」がいるわけだが
実は「よそもの」よりも地元に近く、でも地元の一員とまでは
言い切れないポジションがあり、それを「元よそもの」と表現した
わけです。
「元よそもの」というポジションは、これまで「地域」や「コミュニティー」
形成で語られてきた文脈のなかであまり言語化されてこなかった
キーワードの気がしました。
地域（社会）の根底にあるのは何か。それは「安心」と「安全」が
担保される関係性の集合体です。そのため、地域への貢献度以上に
ずっとそこでともに育ってきた、生きてきたということが尊重されます。
よい意味もありますが、よくない意味では内部から変革は難しい。
現状で「安心」と「安全」を感じられる場所を変革すれば
それらが失われるリスクがあるからです。経済の話とか、人口動態とかの
話とは切り分けた文脈です。
面白くも、「そうなんだ・・・」と僕が思ったのは、
安心と安全の担保がどこでなされるかについて話がおよんだとき
キーワードであがってきたのが
「持ち家」と「自前店舗」
だったからです。実際に土地と建物を買うとか、そこで自前の店舗を
構えるということはとても大変です。お金もかかりますし、なかには
土地神話はないとか、返済リスクとか、生活の固定化とかいろいろ
考えられるわけですが、
地域に根差す、地域の一員の担保となる「安全」と「安心」の文脈から
考えるとこの二つのキーワードも理解できてしまうわけです。
それは、「この地域から出ることがない」を証明する証明書に
なるものが「持家」と「自前店舗」なわけです。もちろん、とはいえ、
その地域から出ていくことはあるわけですが、一方、このどちらかを持つという
ことは、そうでないひとと比較しても、地域で生きていく確率は高いのでは
ないかと思います。
この話を聞いてもすっきり腑に落ちないことも多いと思います。僕も
そうです。でも、何年もかかって地域に根差す活動を平日祝日・昼夜問わず
時に事業とはまったく別のところ（家族を巻き込んだり）も含め
向き合ってきた人間の言葉です。そんなに軽いものでもありません。
とはいえ、ひとの流動性が（過去に比べ）高い現代、入れ替わりは
あるわけです。「地元のひと」と「よそもの」だけの二項で地域を考えるよりも
「元よそもの」という地物にも顔が利き、かつ、他の場所から来られた
方々とも付き合える存在は大変貴重になってくると思われます。
--
NPO法人「育て上げ」ネット
理事長 工藤 啓
Blog: http://ameblo.jp/sodateage-kudo
Twitter: @sodateage_kudo
Facebook: facebook.com/kudokei
〒190-0011
東京都立川市高松町2-9-22生活館ビル3F
TEL 042-527-6051 FAX 042-548-1368
E-mail: kudo@sodateage.net
URL: http://www.sodateage.net
2011.07.01
新刊
「NPOで働く-社会の課題を解決する仕事-」
http://amzn.to/mkrUcH 東洋経済新報社
http://www.facebook.com/npo.works
---------------JustGiving Japanでチャレンジ！-----------------
●不要になった古本で若者に社会投資ができます
若者支援のためのキフボン・プロジェクト
http://www.kifubon.jp/
●あなたの1クリックが寄付につながります
プレコラ
http://www.precolla.jp/index20.php
●CSR/教育活動もやっています
Money Connection with 新生フィナンシャル株式会社
www.moneyconnection.jp
Mobile Connection with NEC
http://www.nec.co.jp/community/ja/archives/mobile2008.html
Green Connection with GISPRI
http://www.green-connection.net/
●書籍も出版しています
「NPOで働く-社会の課題を解決する仕事」（東洋経済新報社）
「16才のための暮らしワークブック」（主婦の友社）
「育て上げ-ワカモノの自立を支援する」（駿河台出版）
「ニート支援マニュアル」（PHPエディターズ）
言われますが、
育て上げネットの活動のなかで「地域に根差す」ということを
テーマに取り組んできた4年。
拙著「NPOで働く」でも紹介したのですが、地域担当部長を設置し
とにかく「地域」というものと向き合ってきました。
片側で事業を回しながら、もう片側で地域に根差す。そんな地道な活動を
しながら、「あっ、なんだか地域の一員にしていただいている」と
本当に感じられるようになったのはここ最近です。
立川という地域で事業を始めて7年、地域に向き合って4年
やっと地域の仲間に入れてもらえたんだなぁと思います。
そんな地域に根差すことについて社内で話をしているときに
興味深いことを聞きました。
地域は、「地元（じもてぃー）」と「よそもの」がいるわけだが
実は「よそもの」よりも地元に近く、でも地元の一員とまでは
言い切れないポジションがあり、それを「元よそもの」と表現した
わけです。
「元よそもの」というポジションは、これまで「地域」や「コミュニティー」
形成で語られてきた文脈のなかであまり言語化されてこなかった
キーワードの気がしました。
地域（社会）の根底にあるのは何か。それは「安心」と「安全」が
担保される関係性の集合体です。そのため、地域への貢献度以上に
ずっとそこでともに育ってきた、生きてきたということが尊重されます。
よい意味もありますが、よくない意味では内部から変革は難しい。
現状で「安心」と「安全」を感じられる場所を変革すれば
それらが失われるリスクがあるからです。経済の話とか、人口動態とかの
話とは切り分けた文脈です。
面白くも、「そうなんだ・・・」と僕が思ったのは、
安心と安全の担保がどこでなされるかについて話がおよんだとき
キーワードであがってきたのが
「持ち家」と「自前店舗」
だったからです。実際に土地と建物を買うとか、そこで自前の店舗を
構えるということはとても大変です。お金もかかりますし、なかには
土地神話はないとか、返済リスクとか、生活の固定化とかいろいろ
考えられるわけですが、
地域に根差す、地域の一員の担保となる「安全」と「安心」の文脈から
考えるとこの二つのキーワードも理解できてしまうわけです。
それは、「この地域から出ることがない」を証明する証明書に
なるものが「持家」と「自前店舗」なわけです。もちろん、とはいえ、
その地域から出ていくことはあるわけですが、一方、このどちらかを持つという
ことは、そうでないひとと比較しても、地域で生きていく確率は高いのでは
ないかと思います。
この話を聞いてもすっきり腑に落ちないことも多いと思います。僕も
そうです。でも、何年もかかって地域に根差す活動を平日祝日・昼夜問わず
時に事業とはまったく別のところ（家族を巻き込んだり）も含め
向き合ってきた人間の言葉です。そんなに軽いものでもありません。
とはいえ、ひとの流動性が（過去に比べ）高い現代、入れ替わりは
あるわけです。「地元のひと」と「よそもの」だけの二項で地域を考えるよりも
「元よそもの」という地物にも顔が利き、かつ、他の場所から来られた
方々とも付き合える存在は大変貴重になってくると思われます。
--
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E-mail: kudo@sodateage.net
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2011.07.01
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「16才のための暮らしワークブック」（主婦の友社）
「育て上げ-ワカモノの自立を支援する」（駿河台出版）
「ニート支援マニュアル」（PHPエディターズ）