私はゆっくりと、途中で止まりながら、か細い暗い声で、問題となっているケースの経過を話した。

「申し訳ありませんでした」と最後に言うと、

「…分かった」と上司。

それから、沈黙がしばらく続く。

「もう終わりだ。

私は有り得ないミスをしてしまった。

だから、患者さん、うちの部署に迷惑かけてしまった。

病棟、他部署からどんな目で見られるんだろう。…怖い。

これからどうしたらいいんだろう。

どんな顔して、仕事やったらいいんだろう。

悪いのは全て私だもんね…」

こんなネガティブなことばかり、私は考えていた。


ちょうどその時内線が鳴り、上司が呼び出された。

昼休憩の時間でもあるので、「とりあえず先にお昼食べておいて。午後からまた話を聞かせてちょうだい。」

………と、足速に部屋を出て行き、部屋は私一人になった。


お昼食べる気力なんてない。

今は何も考えたくない。

でも、午後からまた続きがあるしな…

私が起こしたミスだから、私が積極的に動いて解決しないといけないんだろうけど…

それは分かってるけど、頭と体がついてこない。

頭は重くて頭痛するわ、体は震えるわ…

ため息をつきながら、窓から景色を眺めた。

………私、今なら飛びおれそう。

私がいなかったら、こんなミスは発生しなかったんだ。

みんなにこんな迷惑かけずに済んだんだ。

私って、何のためにここにいるんだろう。

私って、この病院の職員として失格だよね。

私って、不必要な人間だよね。

………

そう考えているうちに、いつの間にか昼休憩は終わった。

午後から予定通り、話の続きが始まる。

午前の私からの説明を踏まえて、上司から質問、指摘があった。

…私をとりまく全ての人へ本当に申し訳ないと改めて思った。

このケースへの対応は、病棟や他部署とも話して決めるとのこと。


そして、上司は私の顔を見るなり、体調不良なら早く帰りなさいと言った。

このまま職場にいても、何も仕事に手つかずだと思い、再び早退した。


電車の中では、ぐったりして、ため息ばかりだった。

「この人どうしたんだ?」と言いたげな表情の高校生がじろじろと私を見ていたのが分かった。

帰宅後、すぐにベッドに寝転んだ。