メルセデス・ベンツ日本株式会社「令和3年12月10日」 | 林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令・確約手続きデータブック

林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令・確約手続きデータブック

元政府委員・薬事法ドットコム社主の林田学です。景表法のプロ薬事法ドットコムが措置命令・確約手続きについてお伝えしていきます。

Ⅰ.分類

1.誤認類型

優良誤認

 

2.表示媒体

ウェブ、冊子

 

3.業界

車関係

 

Ⅱ.違反行為者

メルセデス・ベンツ日本株式会社

 

Ⅲ.措置命令の概要

⑴ 対象商品

「GLA180」と称する普通自動車(以下「本件商品①」という。)

「GLA200d 4MATIC」と称する普通自動車(以下「本件商品②」という。)
「GLB200d」と称する普通自動車(以下「本件商品③」という。)

「GLB250 4MATIC スポーツ」と称する普通自動車(以下「本件商品④」という。)

 

⑵ 対象表示 

ア 表示の概要

 (ア) 表示媒体 

a 本件商品① 別表1「表示媒体」欄記載の表示媒体 

b 本件商品② 別表2ないし別表6「表示媒体」欄記載の表示媒体 

c 本件商品③ 別表7ないし別表14「表示媒体」欄記載の表示媒体 

d 本件商品④ 別表15ないし別表17「表示媒体」欄記載の表示媒体

 

(イ)表示期間

a 本件商品① 別表1「表示期間」欄記載の期間 

b 本件商品② 別表2ないし別表6「表示期間」欄記載の期間 

c 本件商品③ 別表7ないし別表14「表示期間」欄記載の期間 

d 本件商品④ 別表15ないし別表17「表示期間」欄記載の期間

 

(ウ) 表示内容

a 本件商品① 

別表1「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本 件商品①に係る「AMGライン」と称するパッケージオプション(以下「A MGライン」という。)に含まれるサスペンションは、「スポーツサスペン ション」と称するサスペンション(以下「スポーツサスペンション」とい う。)であるかのように表示していた(別紙1)。

 

b 本件商品②

(a) 別表2「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品②について「ダイレクトステアリング」と称する機能(以下「ダ イレクトステアリング」という。)が標準装備であるかのように表示し ていた(別紙2)。

(b) 別表3「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品②についてサングラスケースが標準装備であるかのように表 示していた(別紙2)。

(c) 別表4「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品②について「自動再発進機能」と称する機能(以下「自動再発 進機能」という。)が標準装備であるかのように表示していた(別紙2)。

(d)別表5「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品②について「アクティブステアリングアシスト(アクティブレ ーンチェンジングアシスト、アクティブエマージェンシーストップアシ スト)」と称する機能(以下「アクティブステアリングアシスト」とい う。)が標準装備であるかのように表示していた(別紙2)。

(e) 別表6「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品②に係るAMGラインに含まれるサスペンションは、スポーツ サスペンションであるかのように表示していた(別紙1)。

 

c 本件商品③

(a) 別表7「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品③についてダイレクトステアリングが標準装備であるかのよ うに表示していた(別紙3)。

(b) 別表8「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品③について「オフロードエンジニアリングパッケージ」と称す る複数の機能がパッケージになっているもの(以下「オフロードエンジ ニアリングパッケージ」という。)が標準装備であるかのように表示して いた(別紙3)。

(c) 別表9「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品③についてサングラスケースが標準装備であるかのように表 示していた(別紙3)。

(d) 別表10「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品③について自動再発進機能が標準装備であるかのように表示 していた(別紙3)。

(e) 別表11「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品③についてアクティブステアリングアシストが標準装備であ るかのように表示していた(別紙3及び別紙4)。 

(f) 別表12「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品③に係るAMGラインに「Mercedes-Benzロゴ付 ブレーキキャリパー」と称するブレーキキャリパー(以下「ロゴ付きキ ャリパー」という。)が含まれているかのように表示していた(別紙3 及び別紙4)。 

(g) 別表13「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品③に係るAMGラインに「ドリルドベンチレーテッドディスク」 と称するベンチレーテッドディスク(以下「ドリルドベンチレーテッド ディスク」という。)が含まれているかのように表示していた(別紙4)。 

(h) 別表14「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品③に係るAMGラインに「スポーツコンフォートサスペンショ ン」と称するサスペンション(以下「スポーツコンフォートサスペンシ ョン」という。)が含まれているかのように表示していた(別紙3)。

 

d 本件商品④

(a) 別表15「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品④についてロゴ付きキャリパーが標準装備であるかのように 表示していた(別紙3及び(別紙4)。 

(b) 別表16「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品④についてドリルドベンチレーテッドディスクが標準装備で あるかのように表示していた((別紙4)。 

(c) 別表17「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、 本件商品④についてサングラスケースが標準装備であるかのように表 示していた(別紙3)。

 

 

 

イ 実際 

(ア) 本件商品① 前記ア(ウ)aについて、AMGラインに含まれるサスペンションは、スポ ーツサスペンションではなく、スポーツコンフォートサスペンションであった。

 

(イ) 本件商品② 

a 前記ア(ウ)b(a)について、ダイレクトステアリングは標準装備ではなか った。 

b 前記ア(ウ)b(b)について、サングラスケースが標準装備ではない車両が あった。 

c 前記ア(ウ)b(c)について、自動再発進機能は、「ナビゲーションパッケ ージ」と称するパッケージオプション(以下「ナビゲーションパッケージ」 という。)を別途装備しなければ、機能しないものであった。 

d 前記ア(ウ)b(d)について、アクティブステアリングアシストは、ナビゲ ーションパッケージを別途装備しなければ、機能しないものであった。 

e 前記ア(ウ)b(e)について、AMGラインに含まれるサスペンションは、 スポーツサスペンションではなく、スポーツコンフォートサスペンション であった。

 

(ウ) 本件商品③

a 前記ア(ウ)c(a)について、ダイレクトステアリングは標準装備ではなか った。 

b 前記ア(ウ)c(b)について、オフロードエンジニアリングパッケージは標 準装備ではなかった。 

c 前記ア(ウ)c(c)について、サングラスケースが標準装備ではない車両が あった。 

d 前記ア(ウ)c(d)について、自動再発進機能は、ナビゲーションパッケー ジを別途装備しなければ、機能しないものであった。 

e 前記ア(ウ)c(e)について、アクティブステアリングアシストは、ナビゲ ーションパッケージを別途装備しなければ、機能しないものであった。 

f 前記ア(ウ)c(f)について、ロゴ付きキャリパーが装備されていない車両 があった。 

g 前記ア(ウ)c(g)について、ドリルドベンチレーテッドディスクが装備さ れていない車両があった。 

h 前記ア(ウ)c(h)について、AMGラインにスポーツコンフォートサスペ ンションは含まれていなかった。

 

(エ) 本件商品④

a 前記ア(ウ)d(a)について、ロゴ付きキャリパーが装備されていない車両 があった。 

b 前記ア(ウ)d(b)について、ドリルドベンチレーテッドディスクが装備さ れていない車両があった。 

c 前記ア(ウ)d(c)について、サングラスケースが標準装備ではない車両が あった。

 

ウ 打消し表示

(ア) 本件商品②

a 前記ア(ウ)b(c)の表示について、別表18「表示期間」欄記載の期間、 同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄のとお り表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ア(ウ)b(c)の表示から 受ける本件商品②の装備に関する認識を打ち消すものではない。 

b 前記ア(ウ)b(d)の表示について、別表19「表示期間」欄記載の期間、 同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄のとお り表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ア(ウ)b(d)の表示から 受ける本件商品②の装備に関する認識を打ち消すものではない。

 

(イ) 本件商品③

a 前記ア(ウ)c(d)の表示について、別表20「表示期間」欄記載の期間、 同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄のとお り表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ア(ウ)c(d)の表示から 受ける本件商品③の装備に関する認識を打ち消すものではない。 

b 前記ア(ウ)c(e)の表示について、別表21「表示期間」欄記載の期間、 同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄のとお り表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ア(ウ)c(e)の表示から 受ける本件商品③の装備に関する認識を打ち消すものではない。

 

⑶ 命令の概要

ア 前記⑵アの表示は、前記⑵イのとおりであって、それぞれ、本件商品②ない し本件商品④の内容又は本件商品①ないし本件商品③に係るAMGラインの内 容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すも のであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底するこ と。 

イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 

ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

 

Ⅲ.メディアの報道

 

・対象商品は、日本国内で1万6000台が販売されたGLAとGLBという2つのモデルのうち、GLBの販売・宣伝用の日本語のカタログの一部と、2つのモデルの装備などを示した冊子の一部に、17点の事実と異なる記載があった。

・「メルセデス・ベンツ日本」は「誤表記のチェック体制が適切に働かなかった」としている(NHKニュース)

 

Ⅳ.薬事法ドットコムからのコメント

三菱自動車事件のような機能に関するものではなく、単純なチェック洩れと思われます。