「臍帯血バンク」の画像検索結果

東京や大阪などのクリニックが他人のさい帯血を国に無届けで投与していた再生医療安全性確保法違反事件で、流出元の民間バンクが預かったさい帯血が識別番号と一致しないなど、管理がずさんだったことが分かった。バンクが2009年に破産した後、個人の識別ができず利用が困難になったため権利放棄されたさい帯血の一部は、事件に関わったクリニックで使用されたとみられる。子どもの将来の治療に備えてバンクに預けたにもかかわらず、貴重なさい帯血を失った親たちは、怒りを隠さない。
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 愛媛、京都など4府県警の捜査本部は先月27日、茨城県つくば市のさい帯血保管販売会社「ビー・ビー」社長の篠崎庸雄(つねお)(52)や東京都渋谷区の「表参道首藤(しゅとう)クリニック」院長で医師の首藤紳介(40)ら6容疑者を同法違反容疑で逮捕。容疑は、共謀して、厚生労働相にさい帯血を使う計画を提出せず、同クリニックや大阪、京都市の医療施設で患者計7人に投与したとされる。
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 つくば市の民間バンク「つくばブレーンズ」の関係者らによると、同バンクが09年に破産した当時、約1500人分のさい帯血を保管。500が病院からの無償提供、残り1000は、赤ちゃん本人や血縁者が白血病などになった時に備え有料で預けたものだった。

 だが破産手続きの過程で、個人から預かったさい帯血の一部は、本人特定に必要な識別番号がなかったり、現物と一致しなかったりしたことが発覚。多くは、債権者だった篠崎容疑者に譲渡された。

 ◇治療に使えず

 東京都内の30代主婦は、08年4月に長男を出産した際、さい帯血を「つくばブレーンズ」に預けた。2人の親族を白血病などの血液疾患で亡くしており、「子供の将来に備えるため」と考えたからだ。妊娠中に同バンクの施設を実際に見学した上、10年分の保管料30万円を支払った。

 しかし、それから1年半ほどで同社は破産。同社が保管するさい帯血を引き継いだ篠崎容疑者経営の会社から10年2月に、破産後の保管料約5000円を追加で支払うよう求める文書が届いた。「勝手に移しておいて、なぜ追加料金を求めるのか」と不審に感じ、別の民間バンクに預けることを決めた。

 その翌月、この民間バンクから、本人特定に必要な識別番号がずれるなど、つくばブレーンズの保管がずさんだったとして、白血病治療に使えない危険性を伝える文書が届いた。それを見て破棄を決めたという。

 主婦は「30万円の保管料は安くないが、それで、がんとか重い病気が治るなら安いと思って支払った。親心を利用されたようで本当に腹立たしい」と憤慨した。

 ◇全容解明急ぐ

 捜査本部の調べでは、無償提供分を含む計千数百人分のさい帯血を入手した篠崎容疑者は、京都市の医療法人「愛幸会」を実質経営する坪秀祐(しゅうすけ)容疑者(60)や、福岡市の医療関連会社「レクラン」元代表の井上美奈子容疑者(59)に販売。首藤容疑者ら各地のクリニックに卸され、1回300万~400万円で投与された。捜査本部は、篠崎容疑者らが数億円以上の収益を上げたとみて全容解明を急いでいる。篠崎容疑者らは国への届け出が不要な病気へのカルテ改ざんを医師に指南した疑いがあり、捜査本部は違法性を認識していたとみている。【加藤栄、木島諒子】

 ◇民間は規制対象外

 さい帯血バンクには、無償提供に同意した女性からさい帯血を集めて保管し、第三者に提供する「公的バンク」と、子どもやその血縁者のために保管する有料の「民間バンク」がある。

 公的バンクは、造血幹細胞を多く含むさい帯血を白血病治療などの目的で第三者に提供するため、厳しい管理が求められている。国は2014年に施行した造血幹細胞移植推進法に基づき公的バンクを許可制とし、さい帯血の保管などについて指導や監督ができる。一方、民間バンクは、第三者の治療目的での提供が想定されていなかったため、規制の対象外とされてきた。

 さい帯血は、他にもさまざまな細胞になる幹細胞を含み、再生医療への期待も大きい。だが、厚生労働省が有効性や安全性を認めているのは、白血病や悪性リンパ腫など27種類の病気だけだ。事件で問題になった他のがん治療や、「アンチエイジング」など美容目的での利用については認められていない。

 今回の事件を受け、加藤勝信厚労相は先月末の閣議後の記者会見で、民間バンクの規制を検討する方針を示している。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170903-00000006-mai-soci