昨夜から雨でした。
そして日曜の朝はタカラヅカカフェブレイク。ここらへんは2週間おくれで今日は礼真琴くんと妃海風ちゃんの回。
出発前にガン見!
「買ってくれるのかい?」
わたしはこのお話は会津藩に思い切り感情移入しているのでたいへんだったんですよお。
「ながてる!たのもしいぞ!」からの、愛奈姫さま転落ですからね。きーちゃんが、きーちゃんがああ。
愛奈姫さま、さらばでございます!礼真琴は天才だから、いけないんだ!
そしてやっぱり大劇場も雨でした。けっこうな勢いで雨粒が落ちてきます。
ここからさき、ネタバレです。
お席はこちら、10列目のセンター右寄り。バウは5列目くらいまでフラットな床なので、前方席だとうまく舞台が見えないので、10列目って一番いい感じに見えます。
セットはビニールの幕に白っぽい背景、凝っているけれど無機質のような感じ。場面転換はなし。ついでにいうと衣装替えも主役の轟さんとみりおんがするくらいで、他のメンバーは基本的にそのまま。暗転も少ないし、ストレスもなく舞台はすすみます。
スカステニュース初日映像から。
お芝居の冒頭は嵐でした。そして冒頭で二人とも死んでいます。何で死んだのか、と、そらくんが始めます。
パパラッチというモブ。世間とか、心の中の群衆、架空の招待客などを演じます。群舞もあります。
役名があるのはたった7人。その中のフェリックス・ド・ヴァルレンスタイン侯爵・ずんちゃん(長い・・。)グレーの軍服でりりしい!でもその前髪はルドルフ皇太子~チャーリーみたい。いやもう長い長い長いセリフとすんごく難しい音程のお歌をよくこなして綺麗な滑舌。素敵!
みりおん王妃(名前はない。「王妃」だけ)婚礼の朝に夫になる王を殺されちゃう。そのまま虚無なモノトーンの世界で旅を続けている。そしてお金のかかるお城を建てているらしい→財政圧迫しているわるい王妃→でも皇太后は王妃の自費で建てろと言ってるよ?って屈折した世間の風評が聞こえてくるたびに傷ついている。長いセリフも難しい歌もさることながら、圧倒的に美しい。
暗殺者・スタニスラス(舌を噛みそう)轟さま。圧巻。声も所作もお顔もスタイルも。
パパラッチたちの中のスチ―リーテラー・そらくん。セリフも間合いもとっても難しい。ずっとでずっぱりでした。
フェーン伯爵・愛ちゃん。このスタイル。この衣装。ものすごい存在感とぶれない権力欲で出てくると舞台がピリリとします。
王妃が唯一心を許して身の回りの世話をさせているトニー・穂稀せり。手話もちゃんとできてました(ちょっと早かったけど、王妃と意思疎通するということならばこの簡略型と速さでも納得できます)
ストーリーテラーそらくんは、2幕冒頭で客席でアドリブをしてくれます。私の回では「相合傘で帰りましょう」でした。下手側ドアから登場。
みりおんと轟さまのデュエットダンス(少しだけ)。王妃が死を求め亡くなった途端に、舞台セットが転換し、パパラッチたちは赤の差し色の衣装を身につけ、暖炉には赤い花が盛られ、長椅子の白い覆いは外されてワインレッドの椅子が現れます。
そんな中、皇太后と意思疎通して国を陰から操りたい愛ちゃんが権力を振りかざしてきます。そしてスタニスラスを追い詰める。
「これがなんだかわかりますか?あなたの逮捕状です」愛ちゃんカッコイーーーイ(悪いヤツ)
そしてこのお話のキーパーソンであり、悲劇の引き金であり、一番蚊帳の外だったかも知れない、エディット・美風舞良・あおいさん。「心が複雑骨折している」とNOWONで言ってましたが、まさにその通り!
ずんちゃんフェリックス侯爵とかつて愛し合い結婚の約束もしたのに皇太后の反対であえなく頓挫、皇太后の命令で「王妃の読書係」という名の見張りをしている。でも一番王妃のそばにいて王妃を愛しているのは自分・王妃の素顔を見ているのは自分だけという自負、そして王妃に疎まれている悲しみと焦り、フェリックス侯爵が王妃を愛していることへの嫉妬、もうこれだけで十分なくらいてんこ盛りな複雑さ。あおいさんは冒頭から膨大なセリフをよどみなく発し、歌も歌い、ヒステリーを起こし、悲嘆にくれ、、圧巻です。
でも結局この暗殺者は自ら身を引くため、王妃をスキャンダルに巻き込むまいと服毒自殺をし、王妃に謀られたと思って刺殺してしまうのです。あああああ。愛ちゃんが悪いんだ~(ともいいきれないけれど)
これも愛の形のひとつなのでしょう。もう見事な悲劇であり愛であり密室劇であり圧倒される舞台でした。
パパラッチの綾瀬あきな・エビちゃんのショートボブとねっとりした視線がセクシーだったのと、桜音れいちゃんのミニスカートからすらりとのびる美脚が素晴らしかった。
瀬戸花まりちゃんが演じた皇太后が貫録たっぷりでいいお味。パパラッチたちはみんなセットの外側にスツールを置いて部屋をのぞいているような配置で座っていて、こうやって見られながら生活している、ってことを暗示してるようでした。
轟さまはすごい存在感で、流石でございます。もし、この役を他の人がやるとしたら?まぁさまはどうだろう。みりおくんならどう演じるか、、とか帰りの電車で想像するのは楽しかったです。
王妃は、いまの宝塚ではみりおんしかできません。
このお話は(宙組の娘1ではなく、宝塚歌劇団の)女優・実咲凛音の、間違いなく、代表作の一つとして表記されるでしょう。


