10代のころからの付き合いで、大将・奥さん、とよんで
足繁く通い、常連さんとも仲良くなり、とても楽しかった。
番犬に大きなシェパードと、かわいいビーグルを飼っていて
子供のいない二人にとても丁寧に扱われ、その犬たちにも
会いたくて、お土産などもよくもって行った。
大きなシェパードが先に逝き、大将が身体を壊し、
何度か入院してこの世を去ったのは約4年前。
奥さんが一人で切り盛りしている店に、ほんとうに時折にしか
顔を出さなくなってしまい、それでも行くと笑顔で迎えてくれた。
昨年の秋、近所に住む友人から連絡が入る。
「あのな、店の前とおったら、更地になっててん。なんか知ってる？」
寝耳に水。
なんもきいてへん、奥さんはどないしはったんやろう、と
憶測が小さい守備範囲を駆け回る。店は夏ごろに閉めたらしい。
あの、気のいい奥さんは、どうしているの？
では奥さんは、近所にある自宅にビーグルと住んでいるの？
年明けて年賀状が来る。
苗字が変わっている。差出人の住所は北海道になっている。
なんだって？！
矢もたてもたまらず、手紙を書く。
そうしたら、今日返事が届いた。
再婚したって
ビーグルは昨年11月に一緒に行った
北海道で死んでしまったって。あうう。
お店をやっていたときのように入れ替わり
立ち代り誰かきていた生活から一転、
ちょっとさみしい。
でも、結婚相手が話し相手も
してくれているから。
だいじょうぶ、だいじょうぶだって。
雪だけなんとかして、ってさ。
会いにいきたいな。