7月1日、大型基幹ロケット「H3」3号機の打ち上げに成功し、日本は宇宙への輸送手段を維持できました。


現在運用中の「H2A」は、今年度中に打ち上げ予定の50号機までで製造を終え2025年度以降は「H3」に完全に切り替えられる予定です。


内閣府の宇宙基本計画によると、「H3」の打ち上げは、今回の打ち上げも含む今年度に3回、来年度に6回など、2032年度までに少なくとも22回が計画されています。


「H3」は打ち上げ成功率98%を誇る「H2A」から基幹ロケットのバトンを引き継ぎます。


2024年度中に自衛隊の部隊運用に使う衛星や、日本版GPSの衛星を打ち上げる予定です。


2025~2026年度には、国際宇宙ステーションなどに物資を運ぶ新型無人補給船や、月の水資源を調査する探査機を打ち上げます。


「H3」は「H2A」に比べ部品を2割減らすなどして、低コスト化にこだわってきました。


運用が順調に進めば、1回あたり100億円かかった打ち上げコストを50億円まで下げられると見込んでいます。


打ち上げ業務は、将来的には「H2A」と同様に三菱重工業に移管し、民間の力を活用し、国際競争力のある輸送サービスの確立を目指します。


「H3」の打ち上げの成功は、国際的市場に進出するための基礎ができたと評価できます。

  
ただ、現状では日本のロケット開発は、世界に後れを取っています。


先頭を走るのが、米国のイーロン・マスク氏が率いる米スペースXで、世界のロケット打ち上げ件数の半分近くのシェアを持ちます。


主力の「ファルコン9」は機体の一部を再利用する技術を実現し、高頻度の打ち上げとコストの低減を図っています。


現在、コストは7,000万ドル(110億円)とされますが、現在開発中のロケットシステム「スターシップ」が軌道に乗れば、100万ドル(1億6,000万円)まで下げられる可能性があるといいます。


円安が続けば、海外からの受注においては「H3」のメリットは増します。


「H3」は今後20年間の運用が見込まれており、早い時期に打ち上げの事業化を成功させる必要があります。


将来的に世界をリードするには、日本のロケット開発は、機体の再使用や新燃料の採用など新しい技術の開発を進めていかなければなりません。