最近、過食していない




すると自分でもびっくりなほどてきぱき行動できる




 




重いおなかをひきずらなくていいし




浮腫んだ顔から目を逸らさなくてもいいし




吐かなくちゃ、と自分を追い詰めなくていい


 




なにより、ほんのすこし自分を愛せるのだ




 




 




「あなたならできる」と信じてもらえることが、




うれしくもあり プレッシャーにもなる




 




そんな当たり前のことを、悲観する必要はない




 




「あなたならできる」と言ってもらえることを、




皮肉に感じたり 重く受け止めるのは




 




相手よりも 自分を疑っているからなのだ




 




 




過食をしなければ、




自己嫌悪→自分不信→自暴自棄




という悪魔のスパイラルに嵌らずに済む




 




負は負を呼ぶ




 




 




この気持ちを モチベーションを




バランスを保ってうまく持続させていけるかどうかは自分次第。




 




 




「あなたはできる」と信じてくれたひとを信じ返す勇気を、




わたしはきっと持っている。




 


 




秋の空

澄んだ空気

甘い香り


深く息をついて


わたしは祈る


どうか どうか

このまま穏やかに


安らいだ心で

いられますように




(過食なんてせずにいられますように)


壁越しに聞こえる会話
心臓が脈打つ
男の怒鳴り声
女の悲鳴にも似た声
そのうち子供の泣き声も聞こえてくる
眠れるわけがなくて
目を閉じて耳を澄ます
夜よりも大きな闇が
心に積もってゆくのを感じながら


わたしは酷く憂鬱で
何もかもなくなればいいと願う
男と女は止まらない
張り裂けそうな子供の泣き声さえ無視して


「オンリーワンになりたい」と
あなたはいった

「わたしにとって、
あなたはかけがえのないオンリーワンです」
伝えたくても今となっては
言えるはずない遠い距離

あなたにとってわたしは
ただの過去の一部
もう踏み越えた

そんなわたしの言葉が
あなたを救えるはずないわ

だけどどうか悲観しないで
あなたはそのままでいい
あなたは大丈夫よ
ルサンチマンなんかじゃないわ

その胸に抱く醜いと嘆く感情より
もっともっとおぞましいものがあるわ
この胸に あるわ
ぜんぶから逃げ出して
閉じこもる覚悟をしたのだから

食べない誓いを守り通したいのに

その代償は死でもいい
不安定 貪る手
閉塞感 逃走中
夜明けとともに眠りにつく惰性まみれの日々
ごはんもまともに食べれない
なのにまともに出来っこない
暴走した本能が赴くままに眠り走り逃げる
誰にもあいたくない
ひとりでいた方が楽
鏡にうつるのはだあれ
夢をみた


痩せても痩せても、自分は太ってるって思いこんでいる夢

頭のどこかで「この体重は別に太ってはいないんじゃないか」って考えても、「脂肪ばっかりだから見た目は体重より重いんだ」とか自分にいいわけしてた



わたしにとって体重は、受験生にとっての志望校で

わたしにとってのダイエットは、受験生にとっての勉強だ


わたしから、痩せること(同時に、食べること)を除いたら

なにも残らない
そのあとクロエは食べた皮をすべて吐いた。

消化できないものまで、食い意地張って食べるから。

わたしたちはとてもいい関係だけど、

プラマイゼロの関係などないと知った。

わたしは空豆を食べる
クロエはその皮を食べる

わたしたちはとてもいい関係だ。



男と女が空豆を食べる

お互いに皮をむいて中身をを譲り合う

そうやって少しずつ食べ始める


だんだん、男も女も「僕が」「私が」と空豆の中身を食べたがる

食べ始めたときのお互いのやさしさはどこへやら

空豆の皮をむき合いながら
お互いの皮もむき合っていたようだ


そこで空豆を食べるのをやめてしまう人もいるけれど


いつしか『自分が食べたいとき』と『相手が食べたくないとき』、『相手の食べたいとき』と『自分の食べたくないとき』が重なるようになってくる

そうなると気分がよくて、男と女は契約をかわす

『これからもずっとふたりで空豆を食べ続けよう』

だってふたりでなら、こんなにおいしく自然に空豆が食べられるんだもの


それからまた時が経ち
再び、お互いが我先にと空豆を食べたがるようになる

だけれどふたりは契約をしたのだから、どうすればふたりでうまく空豆を食べていけるかを考えなくてはならない

そこである取り決めをする

最初から自分たちの食べる量を分けてしまうのだ

決めた量を破って相手の分を食べれば、悪い方は明らかだ

契約の上で争いを起こさないよう、ふたりはそれぞれの分け前の中で、自分なりにおいしく空豆を食べようとし始める



いちばんはじめは、お互いの皮をむいてあげて、食べよ食べよと譲り合い、終わる頃には自分ひとりで食べるようになる



ふと振り返ると、
今まで食べ尽くしてきた空豆の皮が今にも崩れそうなほど、積み重なっている

欲のなれの果てだった。

そのときやっと思い知る

良くも悪くも、男女はそれほどに、共に時を重ねたのだった。
食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたい

ベーグル甘いものカロリーメイトぜんぶ胃にぶちこみたい

たべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたい