祈っていた

なにもきこえなくなりますように


ある朝目覚めると

そこは音のない世界


男の怒鳴り声
女の金切り声
なにもなにもきこえない
もう耳を塞がなくていいんだ

音楽も愛しい声もなくしたけれど

もう耳を塞がなくていいの


なのに

耳鳴りがする
止まらない

争う響きが止まらない

からだじゅうに響く

耳を塞いでも

それは耳鳴り

きこえない
それしかきこえない

耳鳴りが止まらない
わたしの世界を支配する