向こうから歩いてくる人を見て驚き、固まってしまった

相手も私に気づいたのか目を丸くしていた


そして...





「...久しぶりだね...理佐ちゃん。」

私に声をかけてきた

あの頃と変わらずに声が小さかった
だけど、聞き取れるように言ってきた

「うん...久しぶり...だね...










梨加ちゃん...」


表情を見ると、悲しげに微笑んでいた


なんで、微笑みかけられるの?
軽蔑してもいいのに...

あんなにひどく傷つけてしまったんだから


なのに

「元気だった?」

「...梨加ちゃんは?」

「私は...元気だったよ。」

「そっか...」

あの時と変わらない優しさを私に向けてくれる


あのことを忘れたことなんて1度もない
だけど、それを心の片隅に必死に隠して、蓋をして出てこないようにした


そうでもしないと、梨加ちゃんが言ってくれてことを守れない気がしたから...


でも、やっぱり罪悪感はずっと強いままだった

「理佐ちゃん。」

梨加ちゃんは私の名前を呼ぶ

それをきっかけに、抑え込んでいた感情が爆発した

「梨加ちゃん...ごめん。ごめん...ごめんなさい...」

「理佐ちゃん...」

その場にいるのが苦しくて思わず走り出した


「待って!」


その声が後ろで聞こえた気がした