本日のブログタイトル

「最大のチャンスは最悪な状況に隠れている。」

 

2019年60周年を迎えるよしもと新喜劇。

この歴史のなかで最大のピンチが30年目の1989年に。

 

「吉本新喜劇やめよッカナ!?キャンペーン」

 

キャンペーン直前、新喜劇に激震が走ります。

よしもと新喜劇の役者・スタッフ全員を一旦解雇。

全員、最初から面接をして再採用する。

そのため全員クビになります。

新喜劇の顔でもあった岡八朗さん、花紀京さんも解雇の対象です。

 

この騒動はスポーツ新聞を大いに賑わしました。

処遇に対するベテラン座員の怒りなどの記事を読みながら、大好きな新喜劇の惨状に寂しさを感じていたこともよく覚えています。

 

岡八朗さんも花紀京さんも退団することになるのですが、今でいうなら内場さんや辻本さん全座員が一旦退団するぐらいの衝撃です。

 

当時の新喜劇の若手だった内場勝則座長はこう振り返ります。

 

実は、新喜劇も嫌やった。

当時は、いかにも大部屋っぽくて、先輩方が大勢いて、ほんま怖かった。 

 

しかも「吉本新喜劇やめよッカナ?」キャンペーンの直前で、新喜劇が一番悪いとき。

下降線たどって、もう底が見えてた。

舞台で漫才が終わり、新喜劇が始まるとお客さん、帰ってましたからね。

ザァーッと。

なんやろうって思った。

楽屋には借金取りなんかも来てて、これは夢ないなって。

 

やってることはマンネリ。

先輩方は、今まで通りやっとったらええっていう、ある意味、ぬるま湯みたいなとこがありました。

その日、一回も受けへんかったから、普通、次、受けるにはどうしようかって考えるでしょう。

それがなかった。

えらいとこ入ったと思いましたよ。

これでは進歩ない、見習うてもしゃあないわって、見切ったんです。

 

なんとかせな、と、ちょっと上の先輩らと別の劇団組んで、新喜劇が終わった後、金曜の晩にコントとかやらしてもらってたんです。

でも、それですぐ、いけたわけじゃない。

 

読売新聞「光彩の時 光彩の時」内場勝則インタビューより

 

借金取りが楽屋に来る。

当時、まことしなやかにタレントさんがテレビでもこのようなことを語っていました。

「勉強せんかったら、吉本しか行くとこないで!」って子どもを叱る親が普通にいた時代です。

 

 

「いんがすんがすん!」の末成由美さんは当時について。

 

あの頃は漫才ブームで、お客さんはいっぱいでしたけど、漫才が終わったらダーッと帰りはるんですよ。
お客さんが3分の1くらいになるんです。


これはみんな「新喜劇、やばいのと違うかな」と言ってました。

私の中でも(芝居が)だるいというか、ゆるいと思っていて、結局、「やめよッカナ?キャンペーン」になって。

これはもう一掃して新しい風を入れないとアカンのやろなという思いはありましたね。

 

会社としてはすごい決断をなさった。
現在こうして残っているんですからね。

 

数珠つなぎ座員紹介より

 

 

今、ブサイクキャラで大人気の浅香あき恵さんは、座員でしたがキャペーンのことを新聞で知ります。

 

そう。突然、新聞で知ってね。

全然そういう状況になっているのを知らないから、(新聞に)先輩の名前と私の名前が出てて、「どこへ行く?」みたいに書かれていて。

でもピンと来てなかったんですよ。
で、1人1人、ミスター吉本と呼ばれた木村政雄さんとか大﨑さん(現大﨑洋社長)の面接があったんですよ。
その時に、「漫才やってくれへんか?」と言われたんです。

いくよ・くるよ姉さんとハイヒールまでの間がいないので、その辺の年代で女性漫才師が欲しい。
君はそっちの方がいけそうなんで、全部面倒見るからやってくれへんか、と。

後になって実はそれは辞めさせようとしていたと気づいたんですが、その時は会社に期待されてる、みたいに思ってしまって・・・。
自分は漫才をやる気もなかったけど、期待されているんやったら、一回はやって、また帰ってきたらいいわという甘い感じで受けました。

 

数珠つなぎ座員紹介より

 

 

当時、在籍していた島田一の介さんや浅香あき恵さんらは、新喜劇から離れることになります。

 

 

そして「吉本新喜劇やめよッカナ!?キャンペーン」が始まります。

1989年10月から90年3月。

半年間でうめだ花月に観客18万人を動員できなかったら新喜劇を閉じる。

 

それだけの覚悟を決めたキャンペーンでした。

 

末成さんは「会社がすごい決断をした」といわれましたが、このキャペーンを決めたのは、当時ダウンタウン、今田耕司さんを育てた大﨑洋さんでした。

吉本興業の現社長です。

 

大﨑洋さんの英断。

そして「若手が育つなら」と花紀京さんらのベテラン座員の決断。

 

英断、決断がピンチを最大のチャンスに換えたのです。

 

 

 

 

 

以前に、明るくなるコトバで辻本座長が出番の少ない若手のために考えたアイデアから出来たローテーショントーク。「困ったことは打ち出の小槌」の記事、まだ読まれていない方は、ぜひお読みください。

 

そして・・

「最大のチャンスは最悪な状況に隠れている〈中〉」

このお話のつづきはまた明日。

 

(終)

 

 

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※敬愛する新喜劇座員の氏名は敬称を省略いたしました。

 

まだまだあるよしもと新喜劇の楽しさを

これからも書き綴っていきます。

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