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前回は慢性炎症は全身の症状に関わるとても良くない状態であり、分泌型IgA抗体は、腸内に多く、腸内での免疫に非常に重要な役割を持っていることを説明しました。今回は、最近よく聞く、副腎疲労とブレインフォグという概念について解説したいと思います。

 

副腎疲労は、最近、よく色んな所で耳にする言葉だと思います。文字通り、「副腎が疲れている状態」ということなのですが、それがどういうことなのか説明します。まず、副腎は、3-4cmほどの大きさの臓器で、腎臓の上に乗っていて、左右に1個ずつあります。副腎の中心は副腎髄質、副腎の外側は副腎皮質と呼ばれ、異なる働きを持っています。副腎髄質からは、危険やストレスを感じると、アドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが分泌されるのですが、このホルモンの作用で血圧や心拍数を上げ、体を興奮状態にします。よくテンションが高くなると「アドレナリンが出る」と言いますが、まさにその状態です。

 

外側の副腎皮質からは、いくつかのホルモンが分泌されます。まずコルチゾールは、ストレスホルモンとも呼ばれ、血糖値を上昇させたり、炎症を抑えたり、免疫を抑制する作用などがあり、体の中でとても重要な働きをしています。次にアルドステロンは、大会の水分やミネラル分のバランスを調整し、腎臓に作用し、血圧を維持する働きをしています。そしてテストステロンは、男性ホルモンとも呼ばれ、思春期の発達や性機能に関与します。男性ホルモンという名前ですが、女性にも存在し、女性ホルモンの調整をしています。これら副腎皮質ホルモンのコルチゾール、アルドステロン、テストステロンは、コレステロールから作られるのですが、いわゆる「ステロイド」という薬は、これらの作用に関わります。特に、この中でもコルチゾールの作用として重要な働きをします。

 

人間は危険や肉体的・精神的ストレスを感じると、副腎皮質からコルチゾールが分泌されます。急性的なストレスでは、血圧を上げたり、体の中でエネルギーを作り出す働きをし、ストレスに対抗しようとします。しかしストレスが強くてコルチゾールの分泌が増えてしまうと、免疫力が低下したり、不眠、うつ症状が出るなど不具合が見られるようになってしまいます。更に、この分泌が増えた状態が長期化すると、副腎で十分なコルチゾールが作られなくなり、疲弊した状態になってしまいます。

 

このような「副腎疲労」の状態では、常に疲労感が強くなったり、朝が起きられない、起床後に疲労がある、寝つきが悪く熟睡できない、集中力や意欲が低下するなどの症状が見られてしまいます。コルチゾールは通常、朝に一番分泌量が多くなり、目覚めることができるのですが、副腎疲労の状態だと朝にコルチゾールが出ず、朝が起きられない症状が強くなってしまいます。この症状も、「OD症状が悪化した」のか判断が付きにくい状態と言えます。

 

そして副腎疲労の状態が続き、コルチゾールが不足すると、脳へのエネルギー提供が不足したり、脳で炎症が起きてしまったり、神経伝達物質に乱れが出てしまいます。その結果、集中力が低下したり、頭がぼーっとする、記憶力や判断力が低下するなどの症状が見られるようになります。このような状態を、「脳に霧がかかった」ような状態から「ブレインフォグ」と呼ばれています。副腎疲労もブレインフォグも、医学的には病名と認めておらず、否定するドクターもいますが、そのような症状が実際にあると肯定的なドクターが増えてきています。

 

自費診療をされている医療機関では、唾液からコルチゾールの分泌量を調べたり、腸のバリア機能が落ちて、リーキーガットの状態になっていないかを調べることによって、副腎疲労の有無を評価する場合もあります。しかし一般的には検査ではなく症状から判断することになります。これまでのブログでも説明しましたように、体のどこかに慢性炎症があったり、腸内にリーキーガットがある場合は、副腎疲労やブレインフォグの症状が出やすくなります。そしてSIFO(小腸内真菌異常増殖症)の場合は、小腸の真菌が腸の中の糖分を大量に消費するため、血糖値が下がってしまい、ブレインフォグの状態になりやすいと言われています。以前よりOD症状が悪化したり、はじめからOD症状が強く、1日のほとんどをずっと起きれないで過ごすような子は、副腎疲労やブレインフォグの状態と言って良いかも知れません。

 

治療としては、これまでのODの治療は継続しながら、慢性炎症があればその治療を行い、腸のリーキーガットが疑われたり、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)やSIFO(小腸内真菌異常増殖症)がありそうな場合は、そちらへのアプローチが必要になります。その治療法は、10話目のブログでまとめて解説する予定としています。1点だけ重要なことになるのですが、副腎疲労が副腎皮質ホルモンの分泌が低下することによって起こるのであれば、そのホルモンであるステロイドの内服をすれば良いのでは?ということになります。副腎皮質からコルチゾールなどのホルモン分泌がかなり低下してしまう副腎皮質機能低下症と呼ばれる病気では、実際にステロイド薬の内服で治療を行います。しかし副腎疲労の状態では、副作用や依存性の観点からステロイド薬の内服は行わないのが一般的ですのでご注意ください。

 

今回は、普段受けているストレスが強く、長期化すると、副腎疲労と呼ばれる状態となったり、頭がぼーっとするなどのブレインフォグの症状が出るという説明をしました。小児科でも精神科でも、なかなかこの辺りの対応をする医療機関は少ないので注意が必要です。次回は、栄養の話で、まずは三大栄養素である「炭水化物、脂質、タンパク質」について説明したいと思います。