こんばんは。いつもお世話になりありがとうございます。

前回の自閉スペクトラム症に続き、今回はADHDについてのお話です。ADHDは、注意欠陥多動性障害(注意欠如多動性障害)の略です。

大きく分けて
1 落ち着きがなくじっと出来ない
2 衝動性が強く突発的に行動してしまう
3 不注意傾向があり集中する事が苦手
4 忘れ物やうっかりミスが多い
5 物やお金、時間の管理が苦手
などの特性が見られます。

このうち、1、2の特性はなく3~5だけが見られるグループを、ADD(注意欠陥障害(注意欠如障害))と呼びADHDと区別しています。

多くのこども(特に幼児期の男の子)は多動性や衝動性が強いので診断が難しくなりますが、小学校に入学する頃には落ち着く子は落ち着いてくるので、診断が分かりやすくなります。そして小学校の高学年くらいになると、多動性や衝動性は落ち着いてくるようになってきますが、3以下の特性は大人になってからも続く事が多く、気付かれにくい場合があります。

落ち着きのなさや集中力のなさがありADHDを疑い受診される方も多いのですが、必ずしもADHDとは限らず、自閉スペクトラム症や知的障害などとの鑑別が重要になります(もちろんADHDと合併する事も多いです)。

ADHDの診断がついた時は、学校では注意が逸れないように机を一番前の真ん中にしてもらったり、宿題などの課題を少し減らしてもらうなどの工夫をしてもらいましょう。家では、机の周りに注意が逸れるものを置かない、宿題は少しずつ細切れにして取り組むなどの工夫をするようにします。

そのような環境調整でも改善せず、お子さん自身がしんどいと感じる場合、落ち着きのなさや集中力のなさなどを治す薬の内服が有効になってきます。現在、ADHDの治療薬としては3種類が承認されておりそれぞれ特徴があるため、外来で説明させていただきます(近々、4種類目の内服薬が承認される予定です)

ADHD(ADD)の特性のお子さんは、落ち着きのなさや勉強の面で、家族や学校の先生から怒られることがどうしても多くなってしまいます。いつも怒られてばかりいるので、自己肯定感が低くなり、どうせ自分はダメな人間なんだなどと卑下しやすくなります。またいつも落ち着きがなく言う事を聞かないため、ご家族もずっとイライラしがちになってしまい、怒る事と問題行動が悪循環になります。そのため、なるべく些細な事には怒らないようにし、ちょっとした事でも褒めるように接してあげてください。

落ち着きのなさや集中力のなさなど悪い面もありますが、このようなお子さんはとても活動的で社交的であり、好きな事に対する集中力は目を見張るものがあります。単純作業は苦手ですが、体を動かしたり、新しい事を産み出す事には長けているため、将来は適性に応じた職業選択をするようにしてください。

ADHDの内容は以上になります。次は学習障害やその他の発達障害のお話を予定しています。またよろしくお願いします。