うさぎカウンセリング代表、トータルライフカウンセラーの西岡です。
今日はアドラー心理学について私的な見解で簡単な解説をしたいと考えています。
詳しく書くと100ページを超えてしまうので要点のみかいつまんでの説明です。

アドラー心理学と聞いて一番に思いつくのは「嫌われる勇気」ではないでしょうか?
でもアドラー先生は「嫌われる勇気」を持つのが良いとか言っていません。
アドラー心理学の解説書本のタイトルにインパクトがありすぎて
有名になったことで誤解を生じたと思っています。

 

 

 


アドラー心理学を少し学んだ人だと思いつく特徴が
1.目的論
2.対人関係(共同体感覚)
3.勇気づけ
4.課題の分離
5.ライフサイクルとライフタスク
辺りではないかと想像します。
5のライフサイクルとライフタスクについては複雑なので今回は説明を省略します。

・特徴解説
【目的論】
一般的に結果は原因があって結果が生じると考えられます。
アドラー心理学では目的があって、その結果に至っていると考えます。
原因論「いじめられたから、引き籠る」
目的論「心配されたいから、引き籠る」
原因ありきでは無く、どういう目的でその行為をしているか?

原因は気にするのではなく、どのような目的で、その行為をしているか?に着目し、
目的を明確にすることで、解決の手法を図ろうという考え方です。
場合によっては物理的な原因も考慮しますが、あくまでその人の目的は何か?
にフォーカスして考えることを大切にします。

 

 

 

 

 

【対人関係】
アドラー先生は人間関係の全ての悩みは対人関係にあると言っています。
そりゃそうですよ。他人がいなければ人間関係の悩みなんて無いですし、
一人で生きられる訳ではないので、対人関係は嫌でも発生します。
対人関係で悩んでない人は探しても全く見つからないでしょう。

私もアドラー心理学を学んだ時に「何当たり前のことを」と少し思いました。
対人関係で悩むとき、どのような悩みが多いでしょうか?
Aさんと比べて収入が少ない
Bさん家族は先日5泊6日の家族旅行に行った
Cさんがどうも私の悪口を吹聴しているらしい…etc

Aさんで考えます。
 1.Aさんより収入が少ない自分
 2.Aさんの収入
 3.Aさんとの繋がり
 4.働く環境
どれが一番変えやすいでしょうか?

3と4は転職や引越しなどで可能かもしれませんが難しそうですよね
2についてはどうしようもありません。
では、アルバイトをして収入を増やす1の自分を変えるのが手っ取り早いですね。
アドラー心理学では自分自身を変えることを重要なテーマとしています。

アドラー先生に何日あれば自分を変えられますか?と学生が質問した時に
「自ら変わりたいと思い努力すれば、性格は死ぬ1、2日前まで変えられる」と答えたとか
私は性格を変えるのに半年ぐらい必要かもしれません。

そのように自分を変えていくことで、他者との人間関係を円滑にし
他者も仲間とみなし、自分の居場所を感じて共同体感覚を身に着ける。
他者貢献をし、自分の存在価値を自ら認識することを目的としています。
この考えは禅の「無功徳」の考えに似ている部分があると思います。

 

 

 

 

 

【勇気づけ】
アドラーと言えば「勇気づけ」が一番というアドレリアンもいます。
「勇気づけ」は褒めたり、励ましたりすることとは違い、
「自分を認め、他人も認める」ことを表しています。
私個人は「勇気づけ」とは「勇気くじき」をしないことと言う解釈が好きです。

勇気くじきとは「どうせあなたなんて・・・」「君はDさんに比べるとダメだね」などと
やる気や個人を貶める発言がわかりやすいと思います。
勇気づけは「他人も認める」ことですが、「君は大丈夫」「きっと出来る」などと
急に言われても委縮するケースがあると思います。

私は信頼関係が出来上がっていれば、他人を認める言葉がけ。
知り合って日も浅い関係であれば「勇気くじき」をしない言葉を選んだ会話で
相手の悩みや、行動の目的をしっかりと聞いてあげることが「勇気づけ」になると
考えています。

 

 

 

 

 

【課題の分離】
アドラー先生は対人関係のトラブルについて、その問題は「誰の課題か?」を
一番に考えた方が問題解決に有効であると考えていたようです。
例えば子供の成績に対する問題で考えるのが分かりやすいと思います。
最近の子供の成績が上がらないことについて考えてみましょう。

親がいくら口うるさく勉強しろと言った所で子供は言うことを聞かない。
学習塾に通わせているが、先生に聞いても普通に学習していると言う。
学校の先生からも授業態度は悪くなく、学校では友達と元気に遊んでいる。
親としては進学校に進んで欲しい。

この時、親がいくら子供に注意しようが、子供の成績が上がるかどうかは
子供がやるかどうか?(子供の課題)なのでどうしようもありません。
お子さんは学校では友達と元気に遊んでいるようですので、
今は勉強よりも友達が大事で過ごしているのかもしれませんね。

子供がもっと成績が上がる学習をしたいと親を頼ってきた時にサポートしてあげるのは
親の課題になりますが、このような場合一度目的論に戻って子供の目的をそれぞれ明確にし、
その上で家族の課題として対等な立場で話し合いをするのが有効と考えます。

家族の課題として、父親・母親はどういう考えで子供の成績が良くなって欲しいと
思っているかをしっかり話して、子供も今の自分の考えと思いを話して、
お互いの意見を認め合うことから、家族としての共同体感覚を強く持って
課題解決に進めるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 


【嫌われる勇気って?】
『嫌われる勇気』は自分の存在価値を自分で認め、他者も認める
共同体感覚をもって生きることで他人の評価ではなく、自分基準で生きることを

敢えてインパクトのある書き方をしたものだと私は考えます。
おかげで、アドラー心理学も日本で一気に有名になったのだと思います。

今回は私なりの理解によるアドラー心理学の概要を書かせていただきました。
学べば学ぶほど奥が深いので私もこれからもっと理解を深めたいと考えています。