三題噺4 | 柿ピーの執筆活動

柿ピーの執筆活動

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コーヒーショップ

サイコロ

歌う


「センパイ、今日お昼どうします?」

「うーんどうしようか?」

午前の仕事時間が終わり、お昼ご飯のことを考える。

「じゃあ、ちょっと気になってるお店があるんですけど、そこ行きませんか?」

「お?そっちから誘うの珍しいじゃん。そこいこっか」

「やったぁ」

今日のお昼は後輩の提案に乗ることにした。うちの部署は20人ほど所属してるのだが、ほとんどの人が外に出ている。社内で作業しているのは、自分と後輩以外に50代の部長だけだ。部長はいつも愛妻弁当を食べている。

去年まで、1人で食べていたが、今年からは新入社員の後輩と一緒に食べるようになった。入社3年目で年も近いこともあり、接しやすい。

「あそこです」

「コーヒーショップ?」

「そうなんです!ランチも食べれるみたいで、気になってたんです」

オシャレというよりは、シックで落ち着いた雰囲気のお店だった。店に入ると、初老の男性がカウンターに立っていて、いかにもマスターっぽかった。

「いらっしゃいませ。お好きな席どうぞ」

優しい口調で案内してくれた。俺たちは窓際の明るいテーブル席について、メニューを広げた。「お?意外としっかりしたメニューだな」

サンドイッチやパンケーキみたいな軽めなものを想像していたが、メニューには、パスタやハンバーグなど、喫茶店には無いようなメニューが並んでいた。

「お冷やです。オススメはパスタセットです。お決まりになりましたら、お声掛けください。」お冷やを置くとカウンターに戻っていった。

「パスタセットがオススメだそうですよ」

「そうだな。好きなパスタとコーヒーの種類選べるのか。しかもコーヒー2杯まで飲めるのか」

「これで500円は安いですね」

「じゃあ、ナポリタンとアメリカンにしようかな」

「私はミートソースとブレンドにします」それぞれ注文を伝え、出てくるのを待った。

5分ほどして料理が届いた。

「本格的だな」

「コーヒーもすごくいい香りです」

まずはコーヒーを一口のみ、その後パスタを食べる。どちらもすごく美味しい。

「すみません、砂糖とミルク遅くなりました。」

「あ、ありがとうございます」サイコロ状の角砂糖が入った小瓶と、可愛らしい猫のミルクピッチャーを持ってきてくれた。

「センパイ!これ可愛くないですか!?」

「猫は珍しいかもね」

そんな話をしながら、昼食を楽しんだ。もう一杯のコーヒーはエスプレッソを注文して、食後の余韻を楽しんだ。

会計を済ませ、会社に向かう。上機嫌な後輩から鼻歌が聞こえる。

「それ何の曲?」

「あ、○○って曲で、最近ハマってるんです。」

「そうなんだ、よく歌うの?」

「最近はよく歌うかもです」

「今度、その曲聞いてみるわ」

「ぜひぜひ」

後輩の鼻歌と、鼻に残るコーヒーの香りが妙にマッチして、また行きたいなと思った。