備忘録:禅と茶~小川隆先生講義 令和元年石州連合会夏期講習会にて  | 茶道を学ぶ理系歴女のBlog Essai “且座喫茶”

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ちょっと座ってお茶でもいかが?~石州流怡渓派茶道と日置流印西派弓道を学ぶ歴女の世界観をエッセイにしていきます☆

7/21(日)。今年も恒例の石州連合会の夏期講習会の時季がやってまいりました。

今年は駒澤大学教授 小川隆先生の講義で<禅と茶>。

お話が大変面白く、少し綾小路きみまろを思わせる(?)ウィットに富んだユーモア満載の講義でした。

 

特に印象的だった禅と茶の湯の系譜の話。概要を備忘録としてまとめます。

 

 

禅は開祖と聖典のない宗教で、<以心伝心>によって伝承されていった、と言われています。

 

略系譜:   釈尊(インド)-摩訶迦葉・・・・菩提達磨(中国)-二祖慧可・・・・栄西・道元(日本)

 

禅(ここでは中国禅宗を指す)は己の身に元々備わっている仏性に気づくことが悟りとされ、その悟りは他者から与えられるのではなく、禅問答により自ら会得するのだそうです。

従ってこの伝承は、蝋燭から蝋燭へ火を灯すように伝えられ、それぞれの悟りは等価であるとされました。

これは外来の宗教(夷狄の宗教)を受け入れることを潔しとしなかった中華思想が生んだ虚構; 自身の悟りが釈尊などの系譜の僧と等価であることを主張するために生んだ虚構といわれますが、系譜を共有する者同士の一体感・連帯感を保持し、上下親疎の関係を明確にすることにも役立ったようです。

宗教や思想にカリスマ性を与えるのに利用された方法だったのですね。

 

山上宗二記をはじめとする茶書には、茶の湯は禅と結び付きが深いこと、一休-珠光-紹鴎-利休の系譜に沿って禅の心と茶の湯が円悟克勤禅師の墨跡とともに伝承されたと述べられていますが、これもまた虚構であることは今日では常識となっています。(実際には利休は、円悟克勤禅師の墨跡を千貫文で買っているそうですから。。。)

おそらくこの虚構の系譜は利休の、茶の湯を無限の禅のネットワークに組み入れる意図により作られたものですが、このようにして利休が崇高なものに仕上げた茶の湯は現在まで連綿と受け継がれています。

 

史実にあらざるがゆえに虚偽ではなく、虚構の創作者は実在でその意図もまた真実である・・・・というのが本講義のメッセージの一つだったように思います。

 

参考文献:

 

 

以下は小川先生の著書です。