一言で「物流分析」と言ってもその内容は千差万別です。
目的が何で、分析結果をどう使うかによって方法も分析の深度も全く異なってきます。要求精度、要求スピードが確実に異なるのです。
よくコンサルタント会社で「1日診断」や「3日間診断」といった簡易型分析を試みているものがあります。実はこの診断、分析だけで何割かは達成できるところが多いのが物流現場です。今まで全く物流現場の問題に手を付けてこなかったところでは細かい分析をするまでもなく、少し手を入れたところの事例を参考にするだけであっという間に改善効果が現れます。そうです、目に見えている部分ではっきりと悪さ加減が表出していることが見えるのです。従ってチェックシートに沿って点数を付けていけば分析データとなって洗われます。
とにかく手を加え少しでも改善効果を出したいというところはスピード重視のこの方法で入っていくのがいいのでしょう。
一方、財務データ、経理データである程度の物流コストなどを把握しているというところはもう少し手の込んだ分析を要求するのでないでしょうか。この場合もどの程度の分析を行えばいいのかというところがポイントになります。普通、物流ABCなどの手法で分析するとすれば準備1ヶ月、調査1ヶ月、解析とレポート作成で1ヶ月程度というのが常です。時間をかけただけの分析内容は出てきます。全く想像もしていなかったデータに驚かされることもあります。改善のやり方自体が違ったところから手を付けることがいいのに気づかされることもあります。
しかし、企業活動はスピードも要求します。3ヶ月間という余裕があるのかというところでしょう。3ヶ月の猶予を見てくれるところはそう多くはありません。走りながら考える、そんなところが多いとも思われます。
スピードと精度、どうすればいいのでしょう?
二つのレールを敷くしかありません。スピードのある日々の簡易診断を行い改善しつつ長期的なスパンでの分析を行うことです。これにより精度とスピードの両方を満たすことです。確実に成果を得られるのでないでしょうか。付け加えれば物流ABCも最初の導入期は時間と手間がかかりますが各企業にあった方法が定着すれば導入期ほどの手間はかからないのは言うまでもありません。
今日のキーワード
“日々改善と深読みする分析を織りまぜてみる”