三菱重工業株式会社(MHI)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、防衛省のXバンド軍用通信衛星「DSN-2(Kirameki-2=きらめき2号)」を搭載したH-2A-204型ロケット3号機(F32)を、日本時間1月24日16時44分(UTC協定世界標準時同日07時44分)に、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター吉信第1射点(YLP-1)から打ち上げた。


H-2AロケットDSN-2打ち上げ

H-2AロケットDSN-2打ち上げ2

打ち上げられたロケットは順調に飛行を続け、約30分後に衛星を分離。その後、打ち上げに成功した事が発表された。

H-2A-204タイプの打ち上げは、2015年11月24日のカナダ・テレサット社(TeleSat Canada)の「Telstar-12V」以来、通算3回目となった。

ちなみにそれ以外は、H-2A-202又はH-2A-2022、H-2A-2024で、大型の補助ロケット4本が装着されるのはH-2A-204タイプのみである。


DSN-2きらめき2号
「DSN-2(きらめき2号)」

「DSN-2(Kirameki-2=きらめき2号)」は、スカパーJSATグループとNEC、NTTコミュニケーションズとの合弁会社であるDSN社によって運用され、2030年まで日本の防衛省軍事用通信サービスを提供する事を目的とした、初の軍用通信衛星である。

静止軌道で運用されるが、運用が始まると名称は「DSN-2」から「きらめき2号」と変更され、正式な国際衛星認識名となる。

「DSN-2」は打ち上げ時推定質量約6000kg(公式には非公表)、基本衛星バスに三菱重工業のDS-2000バスを使用、通信回線にXバンドトランスポンダを搭載し、設計寿命は15年以上となっている。


現在、防衛省(自衛隊)は、スカパーJSAT(株)が運用する商用通信衛星のうち、3機に搭載されている機能の一部を利用する形で部隊間の通信などを行っているが、このうち東経162.0°Eの「Superbird-B2」と、東経150.0°Eの「JCSAT-1B」、東経136.0°Eの「JCSAT-2A」が設計寿命を迎えた事や、大規模災害では地方自治体や首相官邸、マスメディアや放送局などが非常用通信手段として使う為、自衛隊専用の通信衛星の調達が望まれていた。

加えてより高速・大容量の通信を行う必要が近年生じている事などから、各部隊間での情報共有を密接にする必要があった。


軍用Xバンド通信


地方自治体や民間放送局、NHKや海外の通信社の素材伝送用、中継回線の確保の為、スカパーJSATは設計寿命を越えた衛星の新規衛星への切り替えを行っているが、回線使用の需要は高まるばかりで、防衛省のこれまでの回線の「間借り」にも支障が出ていた。

「DSN-2(Kirameki-2=きらめき2号)」は、これまでのスカパーJSATの周波数である、Kuバンド、Kaバンド、Cバンドとは異なり、Xバンドは主に移動体通信に適した周波数帯である事から、自衛隊の艦船や航空機、部隊などの活動における通信に利用される。


Superbird-b2
「Superbird-B2」2000年2月打ち上げ

尚、複数のアメリカの衛星アマチュア・オブザーバーによると、「DSN-2」の軌道位置は、東経162.0°Eの「Superbird-B2」と同一軌道に配備されるだろうと述べている。





ペタっとペタボタン