雪国の3月はまだまだ寒い
外に出た私は泣きながら俊に抱きつく
俊のバイクの後ろに乗り
とりあえずここから離れた場所へと促す
暫く走っていると高そうなスポーツカーにパッシングされる
俊はスピードを上げたが直ぐに並走され、窓から何か叫ばれる
怖かった
バイクを止めるとスポーツカーから男が2人降りてきた
「どこにいくん?」
「こんな時間に国道でバイク2人乗りは危ないで」
「◯◯ナンバーやけど、そこからこれで来たん?」
私たちが黙っていると2人は一方的に話してきた
2人は私が働いている場所の近くに住んでいる大学生と言うことが分かった
私たちを安心させる為にこちらのことは聞かず
自分たちの素性を話してきた
悪い人ではなさそう…
私と俊は近くの駅にバイクを置いて、大学生の車に乗った
4人で海に行き、日の出を待った
だが薄明るくなってきても一向に日の出が見える気配がない
海を散歩するおじさんに話しかけられた
「何しとん?」
「日の出を待ってる」と大学生が答えると
「ここは日本海だから日の出は見れんわ~」
と笑われた
私たちもお腹を抱えて笑った
それから夕方まで
今度は夕陽を待った
1日中、海を見ながらたくさん話しを聞いてもらい
いっぱい泣いて、いっぱい笑った
その日の夕陽はとても綺麗だった